第二章 学園
始まり
剣と魔法たる中世ヨーロッパ風の世界を舞台としたRPGゲームである『黒い世界樹』。
その本編が始まるのはヘーリオス王国ハピスブルカ王朝の第三王子であるリーベ・ハピスブルカが十二歳となり、学園に入学した時から始める。
ゲーム本編の舞台となるのがヘーリオス王国内における貴族の子息子女が通うアーデル学園だ。
四年制の学園であるアーデル学園での物語がゲーム本編ストーリーとなっている。
「んー」
時が過ぎ去るのは実に早いもので、自分が十二歳へとなるのも実にすぐだった。
第三王子誘拐事件からの二年間はリーベと共に最も発達した王都内で様々なことを学び、それからの二年間をアークライト侯爵家内で貴族家の当主として知っておくべき基本的なことを学んだりしている間に、八歳からの四年の歳月は一瞬で過ぎ去っていった。
主人公であるリーベと知り合ってから四年。
自分が前世の知識を思い出してから七年。
それだけの時を生きて、ようやく僕はゲーム本編が始まる時間軸までやってきた。
「王都に来るのも久しぶりだけど、相も変わらずここは栄えているものだ」
というわけで、僕は今、アーデル学園の入学式に備えて学園のある王都へとやってきていた。
「貴方をこうしてご案内するのも久しぶりですね」
王都にやってきた僕はまず真っ先に王城を訪れていた。
「そうだね、二年前は毎日のようにやってきていたけど」
「あの頃のリーベ様の笑顔は常に輝いておりましたよ。グラース様が来なくなってから、リーベ様はひどく落ち込んでしまわれるほどに。きっと、また会えることをリーベ様はお喜びになるでしょう」
「それならよかったよ」
王城を案内してくれている使用人と僕は会話を交わしながら、レッドカーペットの上をゆっくりと進んでいく。
「こちらにございます」
そして、僕と使用人は一つの部屋の扉の前で立ち止まる。
「うん、ありがとう」
僕は自分の前にいるここまで案内してくれた使用人の言葉を受けてお礼を告げる。
「ここがリーベの部屋であっているんだよね?」
王城にやってきた僕の目的地は当然、ゲームの主人公にして自分の友人であるリーベの部屋である。
「はい、そうにございます」
「……よし」
王城の使用人から再三と確認した後、僕はノックもせずに迷いなく扉へと手を伸ばして勢いよく部屋の扉を上げる。
「久しぶりー!リーベ、元気にしていた?君の親友が久しぶりにやってきたよー!」
「ふぇぇぇぇぇぇえええええええええええっ!?」
一切のアポなしで訪れた僕に対し、部屋の中にいたリーベは驚愕の声を上げるのだった。
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