後始末

 父上は自分がリーベと共に帰ってきた。

 その報告を聞いてから実に迅速な対応を見せた。

 まずはしっかりと王家の方に伝達を行ってリーベの迎えを寄越させた。

 事情説明なども勝手に父上の方がやってくれていたおかげで、余計なことを僕やリーベが聞かれることもなかった。


「それで?どこの組織とぶち当たったんだ?」


 リーベが王城の方に帰っていた後。

 僕は執務室の方で父上とただ二人だけで向き合って座っていた。


「一体、どこの組織が僕たちを連れ去ったのかも知らずに王家の説明を行ったのですか?」


 自分に向けられる父上の疑問に対し、僕は少し笑みを浮かべながら答える。


「大体、王家の問題は基本的に王家内部のゴタゴタが原因だろう?素直に答えるわけもいくまい」


「そうですね」


「それで?どこだった?」


「暗殺教団ですね」


「……暗殺教団。あそこか。あそこと繋がりを持っていそうな王家は、何処だ?」


「何処でしょうね……」


 ゲーム内で暗殺教団が暗躍した例というのもほとんどない。

 何故、彼らが今、動き出したのかはゲーム知識でもってしてもわからなかった。


「まぁ、考えても仕方あるまい。だが、一応こちらの方でも少しくらい調べておこう。それで、だ。お前はこれまで通り、リーベと仲良くしておけ。同年代なのだ。そのうま味を最大限に利用し……できれば、あの子が国王にもなれるような傑物へと成長させてやってやれ。第一王子と第二王子は今のところ一抹の不満が残るような成長具合だ。精神的にも、実力的にもな」


「それに関してはお任せを」


 リーベはゲームの主人公なのである。

 本編におけるルートのほとんどでも国王になっているので、その素質は十分あるだろう。

 例え、僕の影響でゲーム本編のようなルートは辿れなかったとしても、彼が国王になれるよう道を整えるのはそこまで難しいものではないだろう。


「気負うのは良いが、肩入れもし過ぎるなよ」


「さすがにそれはわかっていますよ」


「なら、良い……まぁ、お前であればさほど心配はしていないが」


「父上よりも自分は想定外の対応に強いですからね」


「……あの時のことを蒸し返すな」


「はい、すみません」


「それでは、私は領地の方に帰る。お前は数年ほどここに残り、ここである程度学んで来い。ただ、学園に行く1、2年前には領地の方にもしっかりと戻ってこいよ」


「わかりました」


 僕は父上の言葉に頷く。


「頼んだぞ。次期、当主として」


「はい」


 僕が己の告げた言葉に頷いたのを確認した後、父上は執務室を後にするのだった。

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