地下アジト
自分たちが閉じ込められた巨大な地下アジト。
「……」
そこを自分の隣で震えながら進んでいるリーベと共に進む僕は今。
おーっ、実際にゲームで見たところだっ!
自分たちの命の懸かった状況ながら、僕は一人で内心、テンションを大きく上げていた。
いや、不謹慎だとはわかっているけど……流石に、自分が大好きだったゲーム本編にも出てきたこの地下アジトを自分の足で見て回っているという状況には、どうしてもテンションを上げざるを得ない。
「なにやっ!?」
「しっ」
「ぐわっ!?」
「うっ……」
だが、それでもしっかりと敵が目の前に現れた時は対処する。
自分がポケットの中に入れていた地下牢の壁の破片を手に持った僕はそれを思いっきり投げつけることで、エンカウントした黒ローブの男たちを対処していく。
基本的にはこれだけで解決だ。
「よし」
やはり、ゲームの知識並びに自分が魔法で検知した通りっ!
この地下アジトを徘徊している黒ローブの男たちは三人以上で行動することはまずない。
既に十人ほど僕は倒しているが、それらは全員、2~3人による行動を保っていた。
「どんどんとこの調子で進んでいこうか」
「う、うん……そうだねっ!本当に、グラースがいてくれて、良かったよ」
「んっ?」
「僕一人じゃ、きっと何も出来なかったよ……間違いなく、何もわからないまま殺されていたよ」
「普通はそんなもんだし、気にすることはないさ。僕はちょっと、慣れているだけさ」
僕には前世の知識という半ば反則と言えるものがある。
そして、家の方でもゴタゴタとしたものが多かったからね。
もうそろそろ、僕もこういう不測の事態には冷静さを保って対処できるようになってきた。
「……本当に、グラースは凄いよ」
「ありがとっ。さっ、一緒にがんばろっ。絶対、無事に二人で脱出しようね」
「うん、ありがとう」
僕は少しばかり、自分の隣で自信を失ってしまっている様子のリーベと共に、地下アジトの中を順調に進んでいくのだった。
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