脱出
まずは現状の確認。
自分たちは今、王都どころかヘーリオス王国すらも飛び超えて国外にある巨大な地下アジトへと幽閉されている。
その中にある地下牢はそのアジトの中でも最下層の場所に位置しており、ここを抜け出すにはかなりの距離を辿って地上を目指していくことになる。
その間に立ちふさがるのは地下アジトに滞在している多くの黒ローブに男たち。
囲まれると詰む。
割と絶望的な状況だが、それでも不可能ではない。
アジトがデカすぎるので監視が完全に行き届いているわけではないので、割と穴がある。
集団で行動していることが稀なので、多数に囲まれる可能性が低い。
僕たちは体が小さいから隠れやすい。
僕は他人に魔法を使わせたことを感知させないように魔法を使うエキスパートであり、純粋に僕がこの状況を得意とする。
「ここまではわかった?」
それらの状況を最もわかりやすくなるように僕はリーベへと説明していく。
「う、うん」
その説明にリーベは頷いてくる。
「よし、それじゃあ、まずはこの地下牢から出ていこうか」
それを確認した僕は迷いなく魔法を発動。
地下牢全体の監視役として配置されている黒ローブの男、二人を一瞬で無力化させる。
「眠れ」
そして、その次にこの地下牢へと閉じ込められている自分たち以外の人間を眠らせる。
「よし、あとは普通に壊すよ」
「えっ……?」
ここまで出来た段階で僕は蹴りを地下牢の鉄格子へと蹴りを叩きつけ、思いっきり吹き飛ばしてやる。
ガラン、ガランという凄まじい音を立てて地面を転がっていく地下牢の鉄格子を見ながら僕はゆっくりと自分たちを閉じ込めていた地下牢の中から出る。
「ず、随分と力技なんだね……」
「最後に勝つのはパワーだよ。パワーがすべてを解決するのさ」
自分のずいぶんと粗っぽい解決策に少しばかり引いている様子のリーべへと軽い言葉を返した僕は彼の方に手を伸ばす。
「ほら、行くよ」
「う、うんっ!」
リーべは差し出された僕の手を取り、自分に追従してくる。
「……悪いね」
この場に監禁され、そして、僕の魔法によって眠らせされている者たち。
そんな彼ら、彼女らへと謝罪の言葉を口にした僕はリーベと手を繋ぎながら、今いる最下層から上へと上がっていくのだった。
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