第7話 おはよう

(小鳥のさえずり。やかんの沸騰する音。カリカリとコーヒー豆を挽く音)


「あ、起きた? おはよー。ちょうど朝ごはんできたところだよ」


「今日はねー、お砂糖をたっぷりまぶしたフレンチトーストを作ったの。ふわっふわのやつ。コーヒーも入れておくねー」


(コーヒーをドリップする音)


「はああー、コーヒーの良い香り。癒される~」


「ん? ありがとうって? ふふっ、どういたしまして」


「昨日のことも? ヨシヨシされて元気出た? それなら良かったぁ」


「ん? それと昨日のキスもドキドキしたって……」


「え? え? ちょっと待って! 寝てなかったの?」


「嘘……絶対寝てると思ったのに……。うう……恥ずかしい……」


「寝たふりするなんて信じらんなーい! 意地悪っ」


「ん? もう一回キスして? しないよ、もうっ!」


「ほら、早く顔洗っておいで! 私そろそろ出るからね!」


(廊下を歩いて、洗面台で水を流す音)


「ふぅー……心配してたけど、元気になってくれてようで安心した……」(独り言)


「あ、やばっ! もうこんな時間!? そろそろ行かなきゃ」


(荷物をまとめて玄関に向かう音)


「それじゃあね。また何かあったらいつでも連絡して」


「落ち込んだ時はいつでも頼ってね。ヨシヨシだったら、いつでもしてあげるから」


「またそんなに寂しそうな顔してー……。それじゃあ、行ってきますのハグをしよっか。それだったらいいよ」


(床を歩く音と布が擦れる音)


「ぎゅー……」


「やっぱり落ち着くなぁ。こうやってぎゅーってしていると……。今日も一日頑張れそう」


「あ、今度は私のことをヨシヨシしてくれるの? 昨日のお礼?」


(頭を撫でる音)


「ふふふふっ……。いいね、これ。気持ちよくてハマりそう」


「もうおしまい? うー……そうだよね。もう行かないと」


(廊下を歩く音と玄関のドアを開ける音)


「じゃあ、行ってきます。今日も一日、頑張ろうねっ。バイバイ」

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