第2話 ご飯食べよ
「今日は私がご飯作ってあげるね! 頑張って美味しいの作るから!」
「……ん? 食欲ない?」
「えー……落ち込んだ時って食欲湧かないけどさー、何も食べないっていうのは心配だなぁー……。ご飯食べないと元気出ないよー?」
「うーん……それじゃあ、とりあえず作っておくから、食べたくなったら食べて? それならいいでしょ?」
「……え? 料理できるのかって? 失礼だなー、それくらいできるよ! 私これでも、料理得意なんだよ?」
「あー、疑ってるでしょー。よーし、じゃあ今日は私の料理の腕前を見せてあげよう!」
(キッチンに移動する音)
「何を作ろうかなー。冷蔵庫開けるよー」
(冷蔵庫を開ける音)
「えーっと、どれどれ~。玉ねぎとピーマン、ウインナー、卵、冷凍ご飯もあるね。この材料ならオムライスが作れそう! それでいい?」
「うん、じゃあオムライスに決まりね。手、洗ってくるー」
(洗面所に向かう音)
◆
「よし、準備オッケー。引き出しに入ってたエプロン借りるねー。そう、いつも着てるベージュのやつ。ふふっ、私が着るとカフェ店員みたいだねー」
(ガチャガチャと調理器具を出す音)
「じゃあ作るねー。最初は野菜から切っていこう」
「玉ねぎを縦半分に切ってー、横に切り込みを入れてから、みじん切りにしてー」(歌うように)
(シャク、シャクと玉ねぎを切る音)
「あ~、やだっ。玉ねぎが目にしみるっ! うう……涙出てきた。ティッシュ! ティッシュ取って~」
(ティッシュを取る音)
「ありがとう。……あー、だんだん収まってきた」
「ん? 心配だから後ろで見てるって? 平気だって。手、切ったりしないよ~。どんだけ信用されてないの、私? もーっ!」
「ほら、ちゃんと包丁握れているでしょ? 大丈夫だから」
(シャク、シャクと玉ねぎを切る音)
「はい。玉ねぎはこれでオッケー」
「次はピーマンを縦半分に切ってから、タネを取ってみじん切りにして~」(歌うように)
(トントンとピーマンをみじん切りにする音)
「そういえばさ、私昔はピーマン嫌いだったけど、今は普通に食べられるようになった。……ん? 一緒? 偉いじゃん。ピーマン食べられるようになって」
「ヨシヨシ、いい子、いい子」
「ふふっ、手が離せないからエアヨシヨシ。今はこれで我慢して?」
(ピーマンをみじん切りにする音)
「よし、ピーマンもオッケー」
「次はウインナーを一口大に切って~」(歌うように)
(トントンとウインナーを切る音)
「おっけー! 食材を切り終わったら、フライパンで炒めよう。今のうちに冷凍ご飯をチンしてもらえるかな?」
(ガスコンロに火をつける音)
「油をひいてー、玉ねぎ、ピーマン、ウインナーを入れて~」(歌うように)
(ジューッとフライパンで焼く音)
「塩コショウして、よーく炒めましょ~」(歌うように)
(ジュ―ッと焼く音)
「玉ねぎの焼けるいい匂い~。……ん? 音と匂いで食欲湧いてきた? なら良かったぁ。もうちょっと待っててね~」
「ご飯も解凍できた? ちょうだーい。あとケチャップもー」
「玉ねぎが透き通るまで炒めたら、ご飯とケチャップを入れて~」(歌うように)
(ジュ―ッと焼く音)
「うん、いい感じ。味見してみよっか」
「まだ熱いかな? ふー、ふー……。大丈夫かな? はい、あーん」
「塩加減平気? 美味しい? 良かったぁ」
「そしたら卵も焼いちゃおっか」
「卵を割ってー、菜箸でよーくかき混ぜて~」(歌うように)
(卵を割る音とかき混ぜる音)
「牛乳とマヨネーズを取ってもらっていい。……ん? なんでマヨネーズって? マヨネーズ入れるとふわふわになるんだよー」
(卵を混ぜる音)
「卵はこれでおっけー。そしたら、フライパンで焼きましょう!」
(ガスコンロに火をつけて、卵をジュ―ッと入れる音)
「焦げないように中火でね~」(歌うように)
(卵がジュ―ッと焼ける音)
「固まってきた。これでよしっと。そしたら卵の中心にケチャップライスを乗せて、そーっと包んでー」
「あー、怖い怖い! 破けないで~。うー……よしっ! 綺麗に包めた! 私天才! お皿に盛るねー」
「ん? ヨシヨシ、いい子、いい子って? もーっ、今日は私がヨシヨシする番なの! 勝手に取らないでよー」
「そうだっ! オムライスの上にケチャップでお絵描きしよ。……え? LOVEとか書かないよ~。恥ずかしいもん」
「えへへ~。何を描こうかな。あ、そうだ! ふんふんふーん♪」
「できた! 何を描いたかって? 見れば分かるじゃん。猫だよ、猫。……え? ナスカの地上絵かと思ったって? むー……それどういう意味?」
「まあ、味は美味しいはずだから、食べて、食べて! ローテーブルに運ぶねー」
(移動する音)
「隣座るね。よいしょっ」
「……ん、距離近い? だって、くっついてないとヨシヨシできないじゃん」
「ほーら、冷める前に食べて、食べて~」
(オムライスを食べる音)
「どう? ……卵がふわふわで美味しい? お店に出せるレベル? えへへ、それは褒め過ぎだよ~。でも、喜んでもらえて良かったぁ。たくさん食べてね」
「私が作ったご飯を食べてもらえるの、すっごく嬉しい。作り甲斐があるなぁ」
「リクエストがあれば何でも作るよ! カレーでも、とんかつでも、筑前煮でも。好きなの何でも作ってあげる」
「ん? 次はハンバーグが食べたい? おっけ! 次、来た時に作ってあげる!」
「ふふっ、本当に美味しそうに食べるねー。さっきまで食欲ないって言ってたのが嘘みたい」
「ヨシヨシ、いい子、いい子」
(頭を撫でる音)
「ん? 急にどうしたって? ご飯食べられて偉いねのヨシヨシ」
「そうだ、あーんで食べさせてあげよっか?」
「馬鹿にしてないって~! 今日はいっぱい甘やかしてあげる日だからいいじゃん」
「え? させてくれるの? やった!」
「はい、あーん。……ふふっ、餌付けしてるみたいで可愛い。ヨシヨシ。よく食べられました」
「美味しそうに食べてるの見てたらお腹空いてきちゃった。私も食ーべよっと」
「ご飯食べ終わったらさ、お風呂入っておいでよ。ゆっくり湯舟に浸かったら、疲れも取れるよ」
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