第25話 ヒモニート脱却
獲物を捕らえたので村へと戻る帰り道にアートが魔物の反応を感知する。
【マスター、この先にホーンラビットがいる様です】
俺はルークさんにそれを伝えるとついでにに狩っていくことになり、今度は俺がハントすることになった。
【マスター2本先の木の幹にホーンラビットが居ます】
「あそこか…少し距離があるし気づかれて逃げられる可能性もあるな。念の為身体強化を使って仕留めよう。頼むアート」
【了解ですマスター】
俺は体が軽くなるのを感じると、しっかりと槍を掴んで一気にホーンラビットへと突き進む。
「キュー!?」
動き出すとすぐに音でバレてしまったが、身体強化している今のスピードであれば体制を整えられる前にやれる!!
「ッシッ」
俺は槍をホーンラビットに向かって突き刺す。
「ギュ〜」
しっかりと一撃で仕留められた様だ。この世界に来てこいつに追いかけ回されて死にかけた思い出が懐かしい。
俺はしっかりと強くなっていることを実感する。
ホーンラビットは血抜きだけしてそのまま持ち帰ることにした。
帰り道にルークさんが真っ赤な木の実を見つけ、あれは美味しいと言って教えてくれた。ルークさんが腰につけていた鞭を取り出すとヒュンと振り赤い木の実を巻きつけて採ってくれた。
渡された木の実を見ると少し痩せ細ってはいるが完全にリンゴだった。木の実の名前も自動で翻訳されるのでルークさんに聞いてもリンゴと言っていた。
鞭でリンゴを傷つけずに取るとか流石の鞭捌きだ。
その後は特に何も起きずリンゴを食べながら無事にフォクス村へと帰って来れた。
「採ってきた素材を売りに行くぞ」
帰ってきたのも束の間、ルークさんはそれだけ言って村の中を進んでいく。
そして市場に着くと買取屋と書かれた店に入っていく。
「はいいらっしゃい」
メガネをかけて優しそうな狐人族の男の人がカウンターの奥に座っている。
ルークさんは「買取を頼む」とだけ伝えると、ボアを入れた袋を置く。俺も背負っていた袋を一緒に置いておく。
店主は「はいよ!」と言って袋を開けて査定していく。
俺が解体した方はやはり買取価値が下がってしまうことを伝えられたので、自分たちで食べる分を査定から除いて残りを買い取ってもらうことにする。
「ボアとホーンラビットの肉と皮、それに魔石とホーンラビットの角全部で大銀貨1枚と小銀貨2枚だよ」
ルークさんはその金額に頷くと買取金の半分を俺に渡す様に店主に伝える。
「おれルークさんにほとんどついて行っただけなのにこんなには…」
「ハンターとして俺とお前は対等だ」
そう言って譲らない為ありがたくいただく事にする。
【マスターできれば魔石は売らずに残してください】
確かに魔石はスマホに取り込めるんだった…
ルークさんは普段は魔石も一緒に売るとのことなので店主に行って買取から外して貰い、差額
はルークさんの取り分にしてもらう事にした。
「また明日同じ時間に来てくれ」
その言葉だけ残すと、ルークさんは颯爽と市場の中に消えて行った。
俺は手元にあるお金の入った袋をみる。
【この世界では大小の鉄貨、銅貨、銀貨、金貨にその上に白金貨があるようです。それぞれ小鉄貨10枚で大鉄貨、大鉄貨10枚で小銅貨と上がっていくようです】
「この村に来てからもお金を使う機会が無かったから初めて知ったな。物価的にはどれくらいの価値か分かる?」
【おおよそですが、日本でいう1000円がこちらの大銅貨1枚と言ったところです】
「大銀貨1枚と小銀貨2枚だと2人で12万円になるくらいか…」
俺は異世界で初めて稼いだお金に感慨深いものを感じる。森に入っていた時間は半日ほどで小銀貨6枚の稼ぎは高いように感じるが、命をかけていることを踏まえると妥当な金額だ。
それに武器は使えば消耗するし、怪我をすれば治療も必要になる。
命を大事に安全に行こうと改めて思う。
「それにしてもルークさん最初は寡黙で怖い人かと思ったけどいい人でよかったな…」
【完全にコミュ症発動してましたもんねマスター】
「だれがコミュ症童貞隠キャだ!!」
【そこまでは言ってませんマスター。気にしてたんですね…】
「あ……帰ろうか…」
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