第19話 俺だけの魔力チート法

【非常に有意義な時間でしたね。口伝の技術は大変貴重なのでしっかりと覚えて下さいねマスター】


「ポーションを作るにも魔力がいるみたいだから、魔力操作と魔力量を上げるのは急務だな。後で思いついた事があるからアートも協力してくれ」


【承知しましたマスター】




それじゃあ次は裏庭で魔力操作の訓練をするか。


裏庭に戻ると坐禅を組んで体の中に意識を集中していく。何故坐禅かと言うと、いろいろ試してみたが地球の偉人達はさすがな様で座禅を組んでいる時が1番魔力操作に集中する事ができると分かったからだ。


まずは心臓から流れる魔力を感知してそれを次第に素早く全身が一つの輪になる様にと押し出していく。


全身汗だらけになりながら暗くなるまで続けてていると昨日よりもかなりスムーズにできる様になってきた。


「よし、今日の訓練はこんなもんかな。

最後にアート、俺にヒーリングを使ってくれるか?そしたら消費魔力を知りたいからステータスを開いてくれ」


「了解ですマスター」


【ヒーリング】


俺の体が光に包まれる。

体の疲れが少し和らいだ気がするが、魔力操作による精神的な疲労は残ったままだ。


「精神には癒しの効果は無いみたいだな…」


【ステイタスを表示します】


name:戸田藍

職業:"アート"のマスター

HP:22/22

魔力:4/13

筋力:7

器用:13

スキル:"アート"




魔力が9減っている。ヒーリングは9の魔力消費のようだ。今の俺では1回しか使えない。

魔力が足りない状態でそのまま魔法を使おうとするとどうなるのだろうか。異世界物のお約束では気絶して、回復すると最大魔力が増えているんだが…


「アート、もう一度ヒーリングを使ってくれるか?」


【本の中には魔力の欠乏はかなり危険と書いてありましたがよろしいのですか?】


「やってくれアート。でも意識を失ったらあとはよろしく頼む」


【人任せ、いえAIまかせ過ぎる気がしますが…分かりました。それではいきます】


【ヒーリング】


光が俺を包み込む途中で今度は消えてしまう。それと同時に酷い目眩に襲われ立っていられず思わず座り込んでしまう。気絶はしなかったがとても戦闘ができる様な状態では無いな。


10分ほどすると目眩が治った。



【残念ながら気絶しませんでしたねマスター】


「なんで本当に残念そうなんだよ。あの目眩感はデスマーチで1週間徹夜した時と同じレベルだったぞ…」

かなりきつかったが社畜を舐めてはいけない。


「それよりステイタスを出してくれ」


name:戸田藍

職業:"アート"のマスター

HP:22/22

魔力:1/13

筋力:7

器用:13

スキル:"アート"



魔力が1回復したおかげで目眩が回復した様だ。


「魔力が足りないと魔法はやっぱり効果出ないみたいだな。それに魔力が回復するのは10分で1くらいのペースか。

魔力の最大値も1回使い切ったくらいじゃ増えないか」


【戦闘時の魔力管理は必須ですね。マスターでは心配なので私が管理します】


「頼むよ。それでマーラさんの家を出る時に言ってた試したい事なんだけど、俺が寝てる間にアートに魔力を使い切って欲しいんだよね。寝てる間なら、使い切った反動があっても俺なら問題なく寝れる気がするんだよね。それで、満タンまで回復してから使うパターンと、1だけ回復したら直ぐに使い切るパターンで比較して欲しいんだよね」


【かなり無茶な気がしますがマスターが言うのですからやってみましょう】



「こんなところで経験が役に立つなんて喜んでいいやら悲しむべきやら。

とりあえず今日の夜から頼むよ」



おれは訓練でかいた汗をタオルで拭き取り、家へと戻る。

そしてレイさんお手製の美味しい料理を食べて部屋で、眠りにつく。



その日は夜中に時々俺の部屋の窓から光が溢れていたがら誰にも気付かれることはなかった。



【マスター、朝ですよ。起きれますか?】



「ん〜〜。おはようアート」

おれは伸びをしてから起きる。


【体の調子はどうですかマスター】  


夜中にアートに魔力を使い切ると言う無謀とも取れる技をお願いしたが、起きて見ると特に問題はない。


「特に途中で起きたりもしなかったし体が痛いとかも無さそうだよ。大丈夫だね」


【あの反動がありながら寝れるのはマスターくらいですね。

ステイタスを表示します】  


name:戸田藍

職業:"アート"のマスター

HP:22/22

魔力:21/21

筋力:7

器用:13

スキル:"アート"




おぉ!8も魔力最大値が増えている!!これはチートをみつけてしまった!!


【いろいろと試してみた結果、魔力を満タンまで回復させるよりも1だけ回復した状態ですぐに枯渇させた方が時間効率がいいようです。おそらくですが、体が魔力を枯渇している危険な状態に対して早く魔力を供給しようとする為、より増加しやすいと推測します。昨夜の実験ではおおよそ2回の枯渇で魔力が1増えていました】



「なるほど…じゃあ寝てる間にアートに協力してもらえれば20分で1くらい上昇するってことか。これは魔力チートも夢じゃないな!」


この方法を思いついた俺を全力で褒めてやりたい。魔力が増えればおそらく使える魔法も増えるし、俺にはアートがいるから戦闘中に魔法を使う余裕がなくてもアートに使用してもらう手もある。



朝からとてもいい結果が得られて年甲斐もなく興奮したまま、井戸へと向かい顔を拭いたあと体力作りのランニングに向かう。


(うぉ〜待ってろ俺tuee!)


【子供ですかマスター】


だから心を読まないでくれ。

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