第16話 ミリス大陸

食事を終えて歓談した後借りている部屋へと戻る。


「アート、ステイタスを出してくれるか?」


【表示しますマスター】



name:戸田藍

職業:"アート"のマスター

HP:21/21

魔力:12/12

筋力:6

器用:12

スキル:"アート"



前回よりHPだけが1上がってるな…


「ゴブリンとの戦闘で増えたのか、今日の訓練で増えたのかよく分からないな…」



今日の訓練を思い出しながら魔力操作をしばらく練習する。


「もう一度ステイタスを表示してくれ」


name:戸田藍

職業:"アート"のマスター

HP:21/21

魔力:12/12

筋力:6

器用:12

スキル:"アート"


魔力の数値は特に変わらずか…


【魔力操作は体外に魔力を放出しているわけではないので消費しない様ですね】



次は、以前リンを助けた際に受け取った魔石を2つ用意する。そしてその一つをスマホに近づけるといつもの様に吸い込まれて消える。


………

魔石の取り込みを確認

魔力を抽出します

一部リンク者に還元します

………

完了



何度か見たメッセージが現れる。


「アートもう一度表示してくれ」


【承知しました】


name:戸田藍

職業:"アート"のマスター

HP:21/21

魔力:12/12

筋力:6

器用:12

スキル:"アート"


「あれ?特に変わってないな…」


【魔石を取り込んでも毎回増えるわけではない様ですね】


もう一つの魔石もスマホに取り込んでみる。再度同じメッセージが現れた後にステイタスを確認する。


name:戸田藍

職業:"アート"のマスター

HP:22/22

魔力:13/13

筋力:7

器用:13

スキル:"アート"



「おお!?全てが1増えたな。メッセージからてっきり魔力しか増えないのかと思ってたけどこれは朗報だな。

魔石の種類と大きさとかによっても変わってきそうだな…

後はファイヤーボールの消費魔力とかも知りたいけど、この部屋じゃ難しいし後で検証してみるか。

アートが読んだ本の中にファイヤーボール以外の魔法も載ってたと思うけど、俺の魔力を使って発動できそう?」


【魔法の発動の為のプロセスのうち、魔力の集中と命令は共通する部分が多く可能だと推測しますが、変換と構築は実際に魔力の流れを解析しないと不可能です】


「魔法をなんでも使い放題なんてことはそう上手くはいかないか」


【マスターが発動者に触れていれば私が解析することができますので、レイに頼んで見せてもらうのが良いかと】


「それはいいアイディアだ!」


今日のレイさんとの魔力操作を思い出して顔が熱くなってくる。頭の中にポヨンポヨンと空耳が聞こえてきそうだ。



【念の為言っておきますが、触れると言っても胸じゃなくて手や肩などでも可能ですよマスター】


「わ、分かってるよそれくらい…」


少し、いやかなり残念そうに落ち込む藍であった。





「なぁアート、このステイタスってリンやレイさんのも表示できるのか?」


【おそらく現時点では不可能かと。大変不本意ですが、あくまで私はマスターのスキルという扱いの様なので】


「そうなのか…不本意で悪かったな。俺はスマホに魔石を取り込む事で魔力を増やせるみたいだけど、この世界の人はどうやって魔力が増えるか分かる?」


【レイから読ませていただいた本の中には、魔力は使えば使うほど増え、打てる魔法の回数も増えると言う記述がありました】


「筋肉と同じ感じか…」


【こちらの世界の人類は基本的には魔石から直接エネルギーを得られないようなので、マスターはかなりのアドバンテージが得られるかと】



「じゃあ勝てそうな魔物は積極的に狙っていくべきだな。といっても今の俺じゃあゴブリンにも苦戦するんだけどな。」


「ん?じゃあこの世界の人は魔石を何に使ってるんだ?リンも魔石をゴブリンから獲っていたし」



【魔石は魔道具と呼ばれる道具、この部屋でいえばこの電灯にもエネルギー源として使われていますし、レイが料理に使っているコンロも魔石によるものです。言わば電気の代わりで必需品の為、一般に売買されている様ですね。】


「そう言えば異世界で電気がある筈ないのに、夜でも明るいと思ったら魔石だったのか。日本では当たり前すぎて言われるまで気づかなかったよ」


【やっぱりマスターはポンコツですね。魔石は大きさだけなく、魔力密度が高いほど透き通った赤色になり価値も高くなる様です】



「じゃあ、ゴブリンの魔石は小さくて黒さが強かったからやっぱり質の低い魔石なんだな」



「アートが読ませてもらった本の中にこの世界の事とか獣王国家以外の情報とかって載ってたりしたか?」


【この世界はバルシェナと呼ばれているようです。そしてこの世界には大陸が大きく分けて3つあります。まず一つ目がここミリス大陸で、獣人族や森人族、土人族などの亜人族を中心として暮らしており、多種族が暮らしているのが特徴です。

次に人間族を中心として暮らしているヒーロ大陸。ここはミリス大陸とも交流があるようで貿易船も行き来している様です。

そして3つ目がビスタ大陸です。ここは情報が少ないのですが、魔物の強さが他の2大陸と比較してかなり強くなる様で危険地帯のようです。

その3つの大陸が三角形を作る様に位置しており、その中心にこの世界に来てすぐに見た終わりの見えない巨大な木である神樹:アーシャルクラフトがあります】


「ミリス大陸にヒーロ大陸、ビスタ大陸か。それにあの馬鹿でかい木はアーシャルクラフトって言うのか」


【ミリス大陸には獣人族中心の獣王国家レグナント、森人族中心の神森国家シンリーン、土人族中心の岩窟国家バルバトの3つの大きな国があります。

ヒーロ大陸には多数の国がありますが、その中でも勢力の大きな国だと、軍事帝国ティクト、多民族国家フレリング、神教国家アシャートが3大国家になります】


「うーん、名前でなんとなく雰囲気は分かるけど実際に行ってみないとなんとも言えないな。これは行きたいところが増えたな〜」



「それにしても異世界に来てからもやる事がいっぱいだな〜

でも、一つ一つが楽しいし目標もあるから頑張れるな」


【目標?】


「ん?アートは俺に世界最強のおれtueeeをさせてくれるんだろ?」


昨日の夜アートが俺に言った言葉を今度は俺からアートに言う。



【マスターのくせに生意気言いますね。そこまで言うのでしたら私が完璧な訓練メニューを組みます。鬼教官が裸足で逃げ出すようなメニューですので覚悟してください。】


「うへぇ〜藪蛇だったか…」


【とりあえずは、毎朝早起きして村をランニングして体力作りです】



「お手柔らかにお願いします…」


明日から待ち受けるアート教官の訓練の日々に少し不安になるが、それでもワクワクする心を感じながら藍は眠りにつく。

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