第9話
「はい、はいでは、また食料が切れそうなときに連絡しますので
はい、それでは。」
電話を切り通信室から出てくる渡会。
「ふう、やっぱりかあ、この間の電話でなんとなく向こうの世界に行っているんじゃないかと思ったけれど、人が送れるなんて聞いたことなかったからなあ。さてこれからどうしたものか。」
キーホール株式会社は全世界にユーティリティー製品を提供する総合商社である。
だが、それは地球にいる人達向けの話。本来は、ウーデクセンへエネルギーを供給するための転送装置を秘密裏に地球で製作し、その維持に務めている。
実際の供給装置は別の国にあるのだが、日本支社では転送機能だけ使用可能である。
日本の支社は3つあり渡会が勤める西日本支店はその名の通り、関西から西のすべてが管轄である。
だが、支社自体は小さく、町にある中小企業くらいの大きさの建家が田んぼの真ん中にポツンと存在していた。
基本的に営業と、営業事務、そして建家の設備管理たんとうしかいないため、そこまで大きい建家が必要ないのだ。
その代わり、ウーデクセンから物を転送するための転送装置だけは大きさがありこの装置が建家の半分をしめる。
「おっす、渡会。昼休みに通信室から出てくるなんて突発か?」
通信室からでて食堂に向かう際、廊下の後ろから同僚の利根から声をかけられた。
「よう、おつかれ。まあ、そんなようなもんだな。」
「昼休みも返上とは大したものだこと。」
気づけばもうすぐ昼休みが終わるころのようだ、通信室にいると時間の感覚がわからなくなる。
「そうだな、今日はコーヒーだけで耐え抜くさ。」
「あんまり、むりすんなよ。トラブルが起きたらすぐ上に報告しようぜ。」
「ああ、そりゃあもちろんだよ。俺だけで対応できるきがしないしな。」
「なに?そんなに大事の発注なのか?」
「まあな。なあ、利根。シートライトで人を転送したことあるか?」
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