第7話

「まあ、なんとなくわかってらっしゃるかもしれませんが、十五坂さんが元いた世界ではありません。」


やっぱり、いやこの突然の展開で同じ世界ですと言われてむしろ疑ってしまうと思う。


「それで、ここはどこなんだ。」


「その世界はウーデクセンといいます。」


うんそりゃあ聞いたことないな。


「それで?この世界はなんなんだ。」


「なんなんだと言われますとお答えしづらいですね、その世界は元居た世界と同じ世界です。ただし、とても遠いところとだけお伝えできるかと思います。」


「遠い世界か、俗にいう異世界転生とかいうやつなのか?」


「あ、それは違います。現に十五坂さんは死んでおりませんので。」


「え?俺死んでないの?」


「はい、今こうして話せてますので」


そういうことを知りたいわけじゃないんだけれどな。まあ言われてみれば確かに元居た世界で身に着けていた衣服だし、持ち物も一緒。背格好など身体的特徴も変化した様子がない。よくある異世界転生物であれば、ほかの姿に変わるのものではないだろうか。(いや、なんでいろんなものに変わるのか疑問はあるが)


「続けますね。端的に申しますとワープに近いものです。この間、炉におすすめしたあのバーナーの部品なのですが、こちらの手違いで別のものを送付してしまったんです。」


「え?あの部品が?どう見てもただの部品だったぞ。全然気にせず取り付けてもらったんだから。」


「はい、ものの形は全く一緒なのですが、エネルギーを込めることで空間を移動することができる装置なんです。こちらではシートライトと呼びます。今回は炉の出力がそのままシートライトの動力源となったのでそのまま起動してしまい。十五坂さんが巻き込まれてしまったという見解です。」


「なんだそりゃ、シートライト、そんなものがあるのか。というかなんで渡会さんがそんなものもっているんだ。こちらの世界を知っているのも不思議だし。」


「そこについてはお話したほうがよさそうですね。十五坂さん、私ども、キーホール株式会社ってやけに応対が早いなと思うことありませんでしたか?」


確かに感じたことがある、ほかの商社に見積もりを依頼して見積拝受→発注→納品までの流れがやけに早いのだ。単に企業努力なのかと考えていたが、渡会さん以外の担当者とお話したこともないしそもそも支社の場所もどこにあるかあいまいだった。


「確かに・・・会社と関係があることなのか?」


「はい、実は私どもの会社はもともとそちらの世界の会社です。」


「え!?、どういうことなんだ?」


「詳しいところまでは下っ端の私にはわかりません。正直私も入社するまでそんな話が存在するなんて信じられませんでしたし。入社して、営業の人間と、上層部だけが知っているんです。」


「ウーデクセンと地球は同じ世界に存在しているのは確かですが、同じ銀河にありません。その点からとても遠いところと表現しました。そして、ウーデクセンは私たちの住む地球と同じような環境にあります。」


「いま、十五坂さんが生きられている通り、空気が存在し、水が存在し、大地が存在します。ただ、文明の発達度と発達する方向が違うのです」


「文明の発達度?方向?」


「はい、平たく言えば超自然的ものといいますかそういうものが発展している世界です。魔法のようなものと考えてください。厳密には魔法ではないのですが。」


「そして、そちらの世界ではこちらの世界でいう科学が発展していません。必要がなかったといったほうがよいでしょう。」


よくある物語の展開になってきたなあ。つまりは科学以外のものが発展した世界線なわけか。魔法があるのはわかったが、転移ではなくて転送?された俺には関係のない話なんだろうな。


「それで?会社とどう関係があるんだ?」


「私の会社の創業者はそちらの世界の人間です、あ、これは不思議なんですが、基本的に姿形が同じ人間がそちらの世界でも存在しています。こちらの世界にいない生物もいますが・・・」


「そして地球には枯渇したエネルギーを取りに来ています。」


「エネルギーだって?なんでまた地球までわざわざ取りに来るんだ、しかもどうやって送っているんだよ。」


「すいません、これに関しては詳しいことが言えません。あ、ここでいう詳しいことというのは秘匿があるというわけではなく、私が専門家ではないという意味です。」


「渡会さんは地球の人間だし、という意味ですか」


「そうです、説明を受けましたがぶっちゃけ何を言っているかわかりません。どうやらそちらの世界ではエネルギーがこちらの熱と似ているらしいです。そして、熱源から魔法のようなものを構成するそうです。ただ、エネルギー元がなくなりつつあり社会活動ができなくなるリスクから他の世界、特に自分たちと姿かたちが似ている地球の私たちの世界に注目されたということらしいです。」


「まあ、なんとなくわかったが、それならなんで会社なんて作る必要が?」


「はい、場所はわかりませんが、私たちの会社は地球のどこかにそちらの世界に熱源を転送するための装置を持っています。ただし、その装置を維持するためにはこちらの世界の製品を使用してこちらの世界に擬態して装置を維持しないといけないそうです。炉のようなものがあり、炉が熱源転送装置となっていてそれの維持をこちらの世界に倣って行っています。そして、お分かりかと思いますが、維持には相当のコストがかかります。そして、その維持のために商社というものをやっているわけです。」


突っ込みどころ満載だなあ、それならなんで地球の装置でそんなもの作れるのかわからないし、何よりこちらからそちらにわたった人間?になるのかわからないがその人たちはどうやってそってにいったんだよ。

でも、これ以上渡会さんも知らないんだろうな。


「いろいろ知りたいこともあるが、とりあえず分かりました。今わかる情報がそれだけというのであればそうなんでしょう。」















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