第4話
とりあえず元居た世界で俺がどうなったのか分かった。
しかし、なんでメールだけつながるのかは分からない。
なんなら、異世界転生したかもしれないこの状況でわざわざ会社携帯がつながらなくてもいいんじゃないかなと思った。
受信箱を眺めているといつも鋼材や工事の材料を頼む商社からメールが入っていることに気が付いた。
十五坂様
いつもお世話になっております。
さて、先日電話にて相談いただいた材料について見積書を送付いたします。
ご不明点ございましたらなんなりとご連絡いただけましたら幸いです。
キーホール株式会社
渡会
そういえば炉の修理を行う際に、もしかしたら炉を温めるために必要なバーナー
が問題かもしれないと思い、代替品の見積もりをお願いしていたんだった。
まあ、今となっては必要ない品物であるが。
不思議なもので見知らぬ土地に来ていても日ごろから見ているものに触れていると心が落ち着くものである。何回も言うがそれが会社携帯なのが不本意なんだが。
「これってこちらからメールすることはできるのかな。」
とりあえず上司と商社へメールを返信してみることにした。もしかしたら新規作成もできるのかもしれないが、職業病からか来ている問い合わせに返信したほうが良いだろうという気持ちが働いた。
キーホール株式会社
渡会 様
お世話になります。
申し訳ございませんが、先にご相談しておりました物品について担当者が変更にな
りました。新しい担当は別途〇〇から改めてご連絡させていただきます。
お手数をおかけいたしますがよろしくお願いいたします。
敷島製錬所
十五坂
上司にはとりあえず状況確認だけのメールを送っておくか。なんならteams も。
再三感じる。なんで摩訶不思議な場所に来てまで俺はメールに返信しているんだろう。ただやはりメールが見れるのが気になる。もしかして圏外になっているが電話はできるのか?
何とはなしに自分の私用携帯の電話番号を押し電話をかけてみたが電波の届かないところにいてつながりませんと聞こえてきた。
「電話はつながらないと」
「さて、これからどうするか、とりあえず水や食料は探さないとだめだろうなあ。」
空を見上げて途方に暮れていると会社携帯に着信が入った。
「え、鳴ってる」
見ると携帯のディスプレイにはキーホール 渡会の文字が映し出されていた。
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