第2話 高校1年 出会い編
高校の入学式。緑斗は、第一希望の私立高校へ進学していた。
その入学式なので、気合いを入れて髪の毛をバレない程度にセットして、るんるん気分で登校した。
(今日は何人と仲良くなれるかな、第一希望の推薦で受かったけど、俺と同じく推薦でこの高校受けてた人いなかったからな、一般受験でどれだけ友達がいるかが問題だな・・・)
「なぁぁぁんで!!!!!」
と叫んでしまいそうになったが、流石にヤバいやつなので堪えた榊山緑斗。
(仕方ないから、とにかく周りの人と仲良くなろう・・・)
そう思って、根気強く色々な人に話しかけ、交友関係を広げていった結果、男女分け隔てなく接する部分に惹かれて人が集まり、見事に1週間ほどでクラスの中心の立ち位置になることができた。
緑斗「やべーこのアストロノーツとかいう単語かっけー!」
クラスメイト1「かっこいいか?」
クラスメイト2「確かにかっけえな!」
クラスメイト3「アストロノーツは宇宙飛行士って意味だよ。」
緑斗・クラスメイト2「「やっぱカッケー!!」」
こんなふうに、緑斗の周りにクラスメイトが最低でも3人はいる光景が当たり前になりつつあった。
クラスメイト4「そういえばみんな、このクラスで1番可愛いと思う人誰だとおもう?」
クラスメイト5「えぇ〜、あ、俺マキナさん!全体的にちっちゃいし、顔もちっちゃいから〜」
クラスメイト4「マキナさんな!ちっちゃいよな〜」
クラスメイト3「え、クラスメイト4は誰が1番可愛いと思う?」
ク4「俺はな〜サクラさん!あわよくばRIMU交換したい〜!」
RIMU(ライム)とは、ほとんど日本でしか使われていない連絡アプリで、様々なRIMUスタンプが使えて便利。しかしそのスタンプを使うにはポイントを使ったり、課金をしたりする必要がある。
緑斗「サクラさんな〜清楚代表みたいな感じだよな。俺は可愛い子の話より、まだこのクラスで話してない人の話ししたい!」
ク3「それもいいな!ク2は誰とまだ話したことない?」
ク2「ちょうど今可愛いって話題で出たマキナさんとサクラさんだけまだ一回も話したことないんだよな〜、ク1は?」
ク1「ん、ごめん聞いてなかった。」
全員「「「「「お〜い〜聞けよ〜!」」」」」
・・・会話の内容は男子高校生丸出しで、頭の良さの欠片も見えない。
この会話の中で、緑斗は思った。
(うちのクラスでまだ俺が話してない人って誰だ・・・?)
パッと考えてみても思い浮かばなかったので、
「話してる話してる話してる話してる・・・あれ、この人話してないぞ?」
紅黄の席は、遠くとも、近くとも言えない、絶妙な距離感の場所にある。
そこに目をやってみると、机に突っ伏してイヤホンをつけている、ウルフヘアのような髪型をしている男性がいた。
近づいてみると、机の上に置いてある、イヤホンの紐が刺さっているスマホに目がいった。
その画面はついたままで、話しかける前に話題を拝借と思って画面を覗き込んでみると、そこに書いてあったのは、
緑斗「ボイパマン・・・フォロワー、8000?!」
思わず大きな声が出てしまった緑斗。その声は流石にイヤホンをしている人にも届いてしまったようで。
紅黄「うるさいな、今集中してるんだけど。あと、勝手に人のスマホ覗き見るとか趣味悪いね。大きな声出すのもダメでしょ、公共の場なんだし・・・」
緑斗(まずい。一度喋ると止まらない人だった。)
少し、「はい、すみません、はい・・・」と答えていると、満足したのか拗ねたのか、また先ほどの机に突っ伏している状態に戻った。
さて、ボイパマンについて追求するか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます