第21話 幸せな時間の終わり
二男が生まれて、生活は一変した。
でも、元夫も二男が可愛くて仕方ないようで…
どんなにウロウロしようとも帰って来てお風呂に入れてくれた。
二男は、なかなか寝ない子でお風呂に入れたら疲れて寝るかなと思っても寝てくれない…
テレビが砂嵐になって、それを聞いていたら、寝てくれるかなと思っても寝てくれない。
車に乗るとすぐ寝るので
夜中に元夫と3人でドライブをして、寝かせたりしていた。
元夫は、私の母乳がよく出るようにと団子や大福を買って来てくれたり、
クズだけどマメな人だった。
私は、二男の寝顔を見ながら自分も横で寝る時に、すごく幸せを感じていた。
ささやかな幸せ…
生活保護の担当が、個人病院でも出産費用が出ると言ったから個人病院にしたのに…
いざ聞いてみると、一部しか出ないと言う。
自分はそんなこと言ってないと…
個人病院は高いので
20万くらい差額が出てしまった…
病院に行って
分割にさせて欲しいとお願いしてみた。
快く良いと言ってくれたから良かったけれど…
ささやかな幸せを感じながら
生活する毎日…
可愛くて仕方なくて…
赤ちゃんの頃の二男は
なんとなく…母に似ていると感じていた。
そんな毎日も
もうすぐ崩れていく…
1度目の人生では
そんなことなんて思いもせず…
幸せを感じていた。
二男が生まれて1か月半経った頃
元夫は、いつも通り出かけて行った。
借りていた駐車場は遠くて
いつも歩いて駐車場に行っていた元夫。
元夫が出かけて少しして
電話が鳴った。
「鞄を取りに来て欲しい」
と言われたが、周りがなんだか騒がしい…
少しして電話に代わったのは
刑事さんだった。
5度目の逮捕…
「私は、これからどうやって一人で二男を育てたらいいの?」
涙も出なかった。
本当に悲しい時は、涙も出ないんだ…
そう、思っていた前回の人生…
今回は、分かっていたけれど…
心も体も正直で…
眠れないし
急に汗をかいたり色んな症状が出る。
自分ではどうしようもなかった…
元夫の逮捕を父に知らせたら
「生まなければ良かったな…」と言った…
悲しかった…
また父に悲しい思いをさせてしまった…
元夫は、接見禁止で会えない。
でも、刑事さんから
差し入れをしに来て欲しいと連絡があった。
しかも、時間を指定され、
着いたら警察署の裏にまわるようにと…
「いったい、なんだろう?」
と思いながら、二男を連れて警察署の裏に行ってみると…
取調室の窓から、元夫が顔を出した。
涙が止まらなかった…
元夫も泣いていた。
私は毎日、二男を連れて警察署に行った。
接見禁止の間も、差し入れをしに行くと
それに合わせて取調室に連れて行ったり
取調室から戻ったりと、
元夫が待ち合いの前を通るように配慮してくれた。
小さな子供を置いて
懲役に行かなければいけない元夫を不憫に思ったのだろう…
その時の担当の刑事さんには
本当にお世話になった。
これから、まだまだ色々なことが起きる。
でも、順調に1回目の人生と同じことが
起こっている。
このまま、頑張っていれば
いつか「あの人」に会える…
心も体もボロボロだけど
それだけが支えだった…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます