第3章:追跡

 美憂は琉花の行動を密かに追跡し始めた。図書館の防犯カメラ、SNSの情報。これらを駆使して、琉花の動きを把握しようとする。


「ごめんね、琉花ちゃん……」


 心の中で謝りながらも、美憂は調査を続けた。琉花を守るためには、真実を知る必要があると信じていた。


 ある日、美憂は琉花が人気のない路地に入っていくのを目撃した。好奇心に駆られ、後をつける。


 琉花は廃屋のような建物に入っていった。美憂は恐る恐る中をのぞき込む。


 そこで目にしたのは、信じられない光景だった。


 琉花が手を翳すと、やはり周囲の物体が宙に浮き、自在に操られていく。そして、それらは慎重に積み上げられていった。よく見ると、それらは最近の事件で盗まれたものばかりだった。


 美憂はショックを受けた。しかし同時に、琉花の表情に深い悲しみと孤独を感じ取った。


「琉花ちゃん……」


 美憂は琉花に正面から向き合うことを決意する。しかし、その矢先、琉花は姿を消してしまった。


 町では更に大きな事件が起こり始め、警察も本格的に動き出した。


「このままじゃ……」


 美憂は焦りを感じていた。自分だけが琉花を救えると確信し、独自の捜索を開始する。


 図書館の記録、街の噂、過去の事件資料。美憂はあらゆる情報を集め、琉花の行動パターンを分析した。


 そして、ついに重要な手がかりを見つける。


「きっとここだわ……」


 美憂は地図上のある地点に赤い付箋を貼った。そこは、琉花の両親が事故で亡くなった崖っぷちの道路だった。


「待っていて、琉花ちゃん」


 美憂は決意を胸に、その場所へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る