シャワー
午後十一時。
今日は残業があったので、いつもより帰りが遅くなってしまった。ご飯は外で済ませたので、堅苦しい服を脱ぎ捨て、真っ先に浴室に向かう。
「今日はシャワーでいっか。」
気分を優先して浴槽に浸かるのを諦め、蛇口を捻りシャワーからお湯を出す。十分に水温が上がってきたところで、首の後ろからシャワーを浴び始める。
「…。久しぶりにアレやろうかな…。」
残業のときは、もうすっかり恒例になってしまっている私の楽しみ。足の裏が天井に向くように片足を後ろにあげ、そこにシャワーの水圧を当て始める。
「ふっ…ん、くすぐったい…。」
何故だかわからないけど、疲れていればいるほどくすぐったいと感じることに最近気がつき、残業も悪くないな…いや、やっぱ悪い、というようなことを考えながらも水圧を当て続ける。
もう片方の足の裏にも、同じように水圧を当ててだんだん気持ちよくなってきたところで、次は、膝立ちの状態になり、両足の裏に同時に水圧が当たるように、シャワーを片手で固定する。
「んふっ…、くっ…、は…はぁ…。」
さっきよりもくすぐったい気持ちを、足の指に力をいれたり抜いたりして我慢しながらも、シャワーから出るお湯を両足の裏に当て続ける。
「あっ…はぁ!きも…ちいい、きもちいい!」
さらに気持ちよくなってきて、疲れていたことを忘れるくらい何も考えられなくなってきたところで、今度はシャワーを持っている手を小刻みに揺らし始める。
「あぁ…!だめだめだめだめっ!」
すると、今まで同じところに当たっていた刺激が、まるで誰かにくすぐられているかのように、ランダムに当たり始める。
「あっ、ゆらすのだめっ!くすぐったい…!きもちいい!きもちいいきもちいいきもちいい!んっ、あっ!もう…だ…め…っ!!!」
一日のストレスがすべて吹き飛ぶ瞬間。気持ちいい反動で声も出ずに体を震わせている浴室の中は、シャワーの音だけが響き渡っていた。
「はぁ……、はぁ…。またやっちゃった…。」
自分の変人さに呆れながらも、今日はいつもより少しだけ長く余韻に浸っていた。
足を使ったストレス発散法 裸足ストーリー @hadashistory
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。足を使ったストレス発散法の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。