#018 呪いの装備と魔法銃
俺は怨念を付与する、つまり『アイテムを呪う』能力があるわけだが、出来れば脇差の近距離攻撃だけでなく遠距離攻撃にも活用したい。
しかしここで問題が発生した。魔法杖に呪いを付与すると、肝心の魔法制御にノイズが発生してしまうのだ。杖ではなくタブレットに呪いを付与する方法も試したが、結果は思うようにいかなかった。やはり魔術は繊細で『どこでもいいから付与すれば効果が出る』というものでは無いようだ。
「これは火薬の代わりに最低限の爆発魔法で弾丸を押し出す"魔法銃"で、見てのとおりコンパクトで、威力も結構あるのよ」
「その代わり、魔物の回復を阻害する効果は無い」
「アハハ。知っていたか、魔法銃の弱点」
「まぁな」
そこで考えたのは投げナイフや矢に呪いを付与する方法だ。魔法装備でないならノイズは問題にならないし、魔法耐性が高い相手への回答にもなる。
ともあれ、これはこれで運用上の制限がある。ナイフは嵩張る(持てる数に制限がある)ので使うタイミングを悩むだろうし、矢は弓も含めて繊細でさらに嵩張る。サバイバルなどの劣悪な環境下でコンディションを維持できるとは思えない。
「いちおう弾丸に毒を仕込むとか、爆発の魔法なんかを仕込む解決策もあるんだけど……」
「まわりくどそうだな」
「ごもっともです」
投げナイフや矢なら、状況に合わせて適切な毒を塗るとか、矢じりだけ交換する手も使えるが、弾丸だと加工が大変な上にリロードも面倒そうだ。
「弾丸や銃は、自前でメンテナンスできるのか?」
「そこは大丈夫! というかほとんど自作だし!!」
「ギフトか」
「そういうこと」
戦力外なのは戦闘面であり、経済や、魔物に効果の薄い武器の適性者は存在する。その役割を勇者に任せるのは勿体無いかもしれないが、こうして存在しているのだから活用しないのはもっと勿体無い。
「ちなみに、杭を打ち出すとかはできそうか?」
「それは…………魔法でやるのはちょっと。火薬や推進装置(ミサイル)がないとじゃない現実的じゃないかな」
魔法も万能ではない。向き不向きがあって、簡単に『置き換え可能な上位エネルギーではない』ということなのだろう。
「いいだろう。その勝負うけてやる」
「ホント!? いや~、助かるな。助かるし~、最近、戦う相手がいなくて、退屈してたんだよね」
そういえばコイツ、サバゲーの勇者だった。あくまでサバゲーであって、サバイバルではないのが何とも戦力外らしいが…………まぁいい。負ける気はないが、負けても銃を活用するつもりなら結果は同じ。足枷がつくかどうかの違いだ。
「それでルールはどうするんだ? どうせ、サバゲーなんだろ??」
「ルールは簡単! 3本勝負で……。……」
こうして俺は、エイミとサバゲー勝負をする事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます