#006 戦闘適正と心持ち
不味いな、いきなり予定が狂ってしまった。
私の見立てでは、一番強くて性格的な適性もあるのはコウヘーだった。あのときはまだ手探りの状態だったが、それでも有望株に飛びついた私の判断は間違っていなかったはず。
しかし誤算だったのはその有力者が戦力外となり、性格の問題で"無し"と思っていたトーヤたちが
「その、さすがに3人って少なくないですか? それに私より……」
「もちろん人数を増やすこともあるだろうが、重要なのは役割分担だ。なにより、この班分けはあくまで最低単位。じっさいの作戦では合同で……。……」
そんな事はどうでもいいんだよ!
今からでもトーヤに鞍替えするか? いや、落したあとにまた入れ替えがあったら台無しだ。ここは八方美人で行くか、いっそ全員と……。
「安心してモモヨさん。キミは僕が守るから!」
「おっと、俺も忘れてもらっちゃ困るぜ。魔族だか何だか知らないが、俺たちが力を合わせれば!」
「あぁ、うん。頼りにしてるよ」
何がダメってコイツラ、『魔族に勝って地球に帰れる』と思っているところだ。それが出来るのなら魔族なんてとっくに滅んでいるし、地球に帰還した能力者が魔法や異世界の存在を広めているだろう。
*
「……ことで、魔法無しで戦ってもらいます」
「なるほど、わかりました」
「その……」
「??」
「いえ、理解していただけて、助かります」
俺が戦力外なのは、どうやら俺の適性が"呪術魔法"だったかららしい。呪術は精霊魔法や死霊術とも近い『外部の力を利用する魔法』グループなのだが…………細かい分類はさて置き、この国では禁忌に指定されている。まぁ、人を踏み台にしてピラミッド構造を形成する階級社会(とくに権力者)にとって呪術が驚異なのは理解できる。
人類の存亡をかけて戦うのに禁忌もクソもあるかって言いたいところだが、そこは腐っても勇者であり人類の代表。国を救った救世主が禁術使いでは格好がつかない。
「そ、それより、私たちはこれからどうしたら」
「私、戦いどころか運動だって」
さすがは戦力外。口々から不安や愚痴が漏れる。気持ちは理解できるが、この場で泣き言を言っても何も始まらない。重要なのは建設的な思考であり、流されるだけのヤツは権力者の食いものになって終わりだ。
「アイツラは適当な兵士に任せて、早く剣術や魔法を教えてください。呪術以外(の魔法)なら問題ないんですよね?」
「え、はい。それなら大丈夫です」
べつにやる気なんて無いし、この国もむしろ滅んでくださいって感じだが…………それでも
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