#005 騎士と班分け

「それではコチラが、勇者様たちの活動を直接ささえてくださる"騎士"の方々です」

「「…………」」


 翌日、俺たち召喚勇者は広場に集められ、お目付け役と顔合わせする事となった。


 ちなみに王様がいる事でもわかるとおりこの国は階級社会で、この地位特権は絶対。平民の兵士なら、階級がどれだけ高くても貴族相手に権利を強制(貴族なら拒否できる)できない。つまり騎士は(騎乗兵士ではなく)貴族軍人の総称となる。


 そして召喚勇者の階級は"準貴族"に相当するらしく、これは平民と下級貴族の間。『貴族になるかもしれない有力者』くらいの立ち位置で、まぁ要するに『騎士>召喚勇者>一般兵士』だ。


「私が隊長の"レイオス"だ。そして部下の……。……」


 お目付け役の騎士は5人で、見るからにベテランっぽいのが隊長のレイオス。コイツは騎士の纏め役で、直接指導にあたるのは残りの4人になる。つまり頭数が足りないのだが、そこはあくまで指揮官。必要に応じて剣士や魔法使いなどを別途加えて調整する方針らしい。


「まずはコチラでパーティーを組ませてもらった。あとは実際の動きを見て調整していく」

「「……………………」」


 勇者たちの表情に昨日ほどの余裕はない。一晩たってようやく状況の深刻さを理解したのか、結局俺たちは命懸けの戦いを強いられる奴隷兵士。これからこの国の人間たちが敵わない相手と戦わされ、大半が戦死する。


「それでは1番見込みのある選抜組・S班のメンバーを発表する。まずは"トーヤ"、"ショー"、そしてモモヨの3人だ。担当官は"アイン"で……。……」


 呼ばれなかった。別にショックとかそういう訳では無いのだが…………予想だと俺は選抜組確定だったのだが、オーラの見立てを外した事になる。


 ともあれこのオーラ、どうも状況から推測するに直接魔力が見えている訳では無いらしい。いちおう魔力も感知できるのだが、それはあくまで副産物。能力の本体はもっとスピリチュアルな方面で、残留思念や魂を感知する能力のようだ。


「モモヨさん、それにショーも、よろしく」

「選抜か、悪くないな。よろしく!」

「えっと、私に務まるのかな……」


 あの3人なら総合トップがトーヤで、次点は戦闘能力のみならトーヤに匹敵するショー、そして担当騎士のアインは魔法使い。モモヨは身体能力こそ劣るがサポート役として抜擢されたのだろう。こうしてみると、パーティーとしてのバランスを重視した印象だ。


 ま、まぁ、そういう事なら仕方ない。自慢じゃないが俺はチームワークとかリーダーシップ的なのは苦手で、あの中に入れられても上手くやっていく自信は無かった。


「次のA班だが、戦力外などと言うつもりはない。メンバーは……。……」

「…………」


「次だが、言ってしまえばここから2軍になる。主力のサポートが主な任務となるだろうが……。……」

「……………………」


 おい、さすがに2軍ですらないのはおかしくないか!? どうみても戦力外なヤツもいるぞ。いや、戦闘力だけでは語れない。希少な特殊能力を持っているのだろう。たぶん。


「それでは"フィーア"、残りは任せた」

「は、はい」




 どうやら俺は、残りもの枠だったようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る