第10話 話の続き
不破さんと別れて教室へと戻った。
戻るのが遅かった俺を不思議に持った
授業を受けている間、俺は砂を掃除したときのことを思い出していた。
いや全く素晴らしい連携だった...お互い初対面とは思えない一体感だった...。
やはり不破さんも、「日常生活を超能力で便利にしたい」とか考えたりしてたんだろうか。
なんてことをボーっと考えながら授業を受けていたら、放課後になった。
俺は再び空き教室へと向かうべく、荷物を片付ける。
すると八浪が声をかけてきた。
「おーい
「悪いけど放課後はちょっと用事があるんだ。また誘ってくれ。」
俺が遊びの誘いを断ると、八浪は唇を尖らせて不満を漏らす。
「なんだよー、昼休み終わってからもずっとボーっとしてるしよー。あっ...もしや...」
八浪は何かに気づいたようで、ニヤニヤ笑いながら言う。
「お前も不破さんを見ちゃったんだな?そうだろー綺麗だったろー?昼休みに見かけて一目惚れちゃったんだろー?だから帰ってくんの遅かったし授業中もボーっとしてたんだろー?「放課後に告っちゃおう!」みたいなこと考えてんだろー?俺、ついてっちゃおうかなー?」
「
「恥ずかしがんなって!ちゃんとフラれるとこは見届けてやるから!」
フラれる前提かい...まぁそうだろうけど...。
まずいな...このまま八浪に絡まれると長い...不破さんを待たせてしまうし、最悪八浪が空き教室までついてきそうだ。
どうしようか迷っていると、耳元で突然、美しい声が囁く。
「図書室の隣、資料室まで来なさい。窓を開けておくわ。」
不破さんだ。どうやら空き教室から俺の耳元に小さな窓を開け、そこに向かってしゃべっているようだ。
凄いな、ワープは応用すれば即席のトランシーバーにもなるのか。
突然聞こえた声に少しビクッとしながらも、怪しまれないように何とか平静を保つ。
「分かりました」
と、八浪に聞こえないように応じる。八浪の方を向き
「違うんだって、資料室に用があるだけだ。時間があったらカラオケにも顔出すから、さっさと帰れよ。」
と言い放ち、そのまま急いで教室を出る。
「頑張って来いよー!!結果は絶対聞かせろよなー!!」
八浪は勘違いしたまま、俺に声をかけた。無視して資料室へ向かう。
歩きながら時々後ろを振り返ると、慌てて物陰に隠れる人間が、八浪を含め2,3人見えた。
八浪との会話を、何人かのクラスメイトに聞かれたようだ。出歯亀どもめ...。足早に資料室へ向かう。
資料室に入ると正面に、不破さんの窓が現れた。
ドアを閉めて、廊下から資料室の様子が見えないようにし、急いで窓へ飛び込む。
窓を抜けると、正面に不破さんが机の上に足を組んで座っていた。
不破さんはからかうように笑って言う。
「破廉恥な友人がいるのね。」
「助かりました、このままだと友人がついてきそうだったんで。」
「私の”声かけ”もよかったでしょう?あなたがビクッとした所、中々面白かったわ。」
どうやら窓から口だけでなく目も繋げていたようだ。
「声を上げなかっただけでも褒めてほしいですね。」
そう言って俺は入ってきた窓が消えていくのを眺める。
八浪達は今頃、資料室にいるはずの俺が居ないのに気付いて困惑しているだろう。
明日どうやって言い訳しようかな...。
「さて」と言って不破さんは机から降り、俺の方に向き直る。
「話の続きをしましょうか。」
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