第6話 繋がりの夜
「はー……今日も笑った笑った」
ソラジオが終わり、パソコンをシャットダウンしてから私は背もたれに体を預けた。ソラジオは今日も絶好調であり、コメント欄も賑やかだった。最近になって色々な名物リスナーさんがいるのもわかってきた事でより楽しさが増していた。
そしてソラジオを聴き終わった余韻に浸っていると、携帯電話が震え始めた。画面を見ると、雪月花とは別で作っていたトークルームに通話の通知が来ていた。
「なんだろ……?」
私はすぐにトークルームに入り、通話に参加した。
「もしもし……」
『あ、狐崎さん。お疲れ様です』
『……お疲れ、翔子』
「うん、お疲れ様」
オフモードになった二人の声を聞いて私はクスリと笑う。ギャル系ライバー羽場雪菜の魂である
そして小説家系ライバーの作山文花の魂である本山
「もしかしてソラジオの話?」
『はい! 本当に面白かったですよね!』
『それは同感。今回も面白かった』
「名物リスナーさん達も色々なコメントやおたよりを送っていたね」
『いつかその中の一人になってみせますからね! 名物リスナーの中に名を連ねますから!』
『そんなに名物リスナーになりたい理由がわからないな。どうしてなの?』
雪菜さんは少し恥ずかしそうな感じでボソボソと答えた。
『わ、私……結構礼儀などを厳しくしつけられてきたので、あんな風にはっちゃけた発言なんて中々出来なかったんです。なので、その……憧れがありまして……』
『雪菜は可愛い。結婚したい』
『ふえっ!?』
「栞菜さん、ステイステイ。まあでも、雪菜さんが名物リスナーになりたいなら応援するよ。どんなのになりたいかはわからないけど……」
『そうですね……怪人人面疽さんや変態紳士さんみたいにはなれないですし……』
『あれは特殊な例。難しいというか唯一無二な感じ』
「それはたしかに……」
そんな事を考えていた時、ふと私はある事を思い出した。
「そういえば、あの時のソラジオネームは単純すぎたかな……?」
『え、あの時?』
『翔子、説明して』
「あ、うん。私、初めてソラジオを聞いた時に子狐での活動についてソラジオにふつおたを送ったら読まれたんだけど、その時のソラジオネームが──」
『よ、読まれたんですか!?』
『ズルい。それも初めましてで読まれるなんて更にズルい』
「あ、えーと……」
言ってしまったと思ったけどもう遅い。覆水盆に返らずとはこの事なのだろう。
『ど、どのおたよりですか!? 今からアーカイブを再生して来ますから!』
『子狐は巫女服姿の狐耳のガワ、そして翔子のネーミングから巫女狐辺りだと思われるね』
「そ、そうだけど……」
『ズルい、ズルいでーすー!』
『明日はみんな休みで出掛ける予定だった。だから、その時に色々話は聞かせてもらうよ』
「は、はい……」
私の心の中の狐耳がペタンとなった。
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