第4話 同期と狂歌とソラジオと

『それじゃあ、まったねー!』

「ここまでのご視聴、ありがとうございました」

『おつかれー』



 コラボ配信も無事に終わり、私達は配信を閉じる。そしてすぐに始まる前に集まっていた特設の待機所に向かう。



「皆さん、お疲れ様でした」

『あ、たまもん! おつおつー!』

『玉藻、おつかれー。今日の配信も盛り上がったねー』

「はい、本当に」



 私は同期二人とお疲れ様を言い合う。元気いっぱいなのはギャル系女子高生ライバーの羽場はば雪菜さん。歯に衣着せぬ物言いが時にはトラブルを起こすけれど、その活発な性格と溢れるフレッシュさが人気の子だ。もう一人は新人小説家ライバーの作山文花ふみかさん。間延びした話し方が特徴的で、新人小説家ライバーという設定だけじゃなく本当に本まで出しているというスゴい人だ。


 そんな二人と私は同期であり、これまで色々な事を一緒にやってきていて、オフでも友達として一緒に出掛ける仲でもある。



『そういえば、たまもん。あちらの活動はどう? うまくいってる?』

「うーん、そんなでもないですね。今夜も同接が10人くらいでした」

『玉藻の時に比べるとかなり少ない印象だねー。やっぱり、事務所の力ってスゴい』

「それは痛感してます。あ、そういえば例のラジオ聞いてみましたよ、文花さん」

『お、どうだったー?』

「本当に面白かったです。二時間があっという間でした」



 私にソラジオの事を教えてくれたのが文花さんだ。滝菜さんが別件でいない時に最近面白いのを見つけたよーと教えてもらったのがソラジオで、やはりこの嬉しさはすぐに伝えたくなったのだ。



『お、何の話? ユキもまーぜて』

「小説家さんがラジオチューブでやっているラジオ配信ですよ。文花さんに教えてもらったんです」

『ソラジオって名前の配信だよー。因みに、それのパーソナリティーのソラこと月神奏空さんは私のリアフレでもあるのだー』

「え、そうなんですか?」

『うんー、そうだよー。前に色々な作家先生が集まるパーティーにお呼ばれしたんだけど、その時に知り合ったんだ。あ、それとユキが好きな狂歌先生とも会ったよー』

『え、マジ!? 良いなー、ユキにも紹介してよー!』



 滝菜さんは本当に羨ましそうに言う。狂歌さんというのは、ある探偵の虚構事件簿という小説を書いている小説家さんらしく、滝菜さんが大ファンのようだった。



『紹介というか、何かの形で対談とかはどうー? マネさんだってユキが狂歌さん好きなの知ってるから、お話がしたいって言えばお仕事として持ってきてくれるかもよ? まあその時は雪月花せつげつかでの話になりそうだけど』

『あーね。でも、それならそれでもいいよー? たまもんにも狂歌さんには会ってみてもらいたいし。そしてファンを増やすのだー!』

「雪菜さんったら……ふふ、でも楽しみですね」

『だねー。さて、スタッフさん達もまだみたいだし、もう少しだけソラジオについても話そうかー』

「はい」

『オッケー!』



 そしてスタッフやそれぞれのマネージャーさんが来るまで私達はソラジオの事について話を始めた。

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