第二話
“星の意思”は女王をえらんだ。
人々は、女王が玉座につくことを望んでいる。
この星の平和と安定を維持するには、女王の存在と心の安定が必要不可欠なのだから・・・・・
★★★★★
ここは遥か遠い昔から、この
ライトシャインは聖域とされ、関係者以外は入ることが許されず、常に強い結界が張られている。この城の名はダーク・ジェイル。
ここだけ唯一、時間の神・アイオーンの影響を受けずに時間が止まり、独自の時間が流れている。そのため女王とナイトは“今まで生きた世界と時間”を捨てなくてはならない。否、この星に住む人々のために、それらを捧げるのだ。
そして、女王はそれに加えてこの星の、世界の安定のために“星の意思”にすべてを捧げることになる。
そう、この星は女王のすべてを…“心”を蝕んでいる。
女王とは名ばかりであり、その他大勢のため平和のための“犠”にすぎない。
ダーク・ジェイル城内にある女王の執務室に3ヶ月前に女王の玉座を下りた前女王であるリオン・アンジェルと2人のナイトの姿があった。
「
リオンが女王の玉座を下りたと同時に始めた新しい女王探し。女王の能力である世界の声を聞く能力は女王の証であると同時に、とても辛い能力であるとリオンは身を持って知っていた。自分の先代もそのまた前の女王もきっとそう思ったに違いない。
「女王なんだから
リオンの新しい女王を心配する顔は見ていてとても辛い。そんな彼女に言葉を返したのはリオンのナイトの1人であり、現在恋人のユウガ・フィリアードである。
「世界の声を聞いて1人でいるなんて、きっと耐えられるはずが無いんです…」
今にも泣き出してしまいそうな顔をリオンは両手で隠した。そんなリオンの姿を見ていられず、ユウガは彼女を優しく抱き締めた。
抱き締め合う2人から目をそらし、今まで黙っていたもう1人のナイトである魁人は黙って後ろを振り返り、執務室のドアに向かい出て行こうとした。
「リオン、きっと大丈夫だ」
ユウガはリオンに声をかけながら執務室のドアを開けた魁人に目を向ける。執務室を出てドアを閉めるついでに魁人もユウガに視線を合わせる。長年リオンのナイトを務めた仲だ。それだけで意思の疎通はできる。
最後にドアが閉まる音だけが響いた。
「今も、新しい女王は泣いているかもしれません…」
「魁人が探しに出たから、きっと見つけてくる」
リオンは、自分も経験をしてきた“
ーーー早く新しい女王をダーク・ジェイルに連れてこなければ…
常に強い結界に守られている聖域内は“世界の声”を和らげてくれるが、聖域の外は容赦無くすべてが聞こえる。そして、そんな女王を守り支えるためにナイトが存在するのだから。
「私は早く、あなたのナイトを選んで差し上げたいのに…」
リオンはユウガの胸から顔を上げ、窓から外を見上げた。
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