第一章 逃げ出した少女
第一話
とある宇宙。その中にある1つの惑星は、いつからかその星で一番強い知的生物が星の意思に選ばれて犠となり、統治するようになった。その星の名を
★★★★★
暗闇の星の準首都にあたるこの街には聖ライトシャイン学院がある。ここは幼等部から大学部まであり、未来の希望という願いを込めた生徒を育てる場所。この星の中で最高位の学院である。
この学院は大きな校門を通り抜けると中庭へと続く道がある。中庭の中央には“未来”をイメージした独創的に美しい…大きな噴水があり、そのまわりにそびえ立つ6つの建物はまるで貴族や王族のお城を思わせる。
そんな中庭から各方向へと続く道。お城を思わせる建物は幼等部から大学部の校舎と教員棟だ。
そして、これから午前の授業が始まるため高等部の校舎へ続く道を歩いている複数の生徒達。その中を楽しそうに話しながら歩く4人の女子グループにこの物語の主人公である黒髪の少女、ルキア・ダークネスがいる。
「昨日のドラマやばくない!?」
「あれでしょ?泣いてる女王様にナイトが!」
「“オレがそばにいて守るから、泣かないでくれ!”って抱きしめるシーン。マジでヤバい!」
「私もあんなこと言われたいよ〜」
昨日はこの星で放送されている人気ドラマの放送日だった。この星に住む女子ならば、一度は昔話として語られる女王とナイトの恋物語に夢見たことがあるだろう。歴代の女王とナイトのラブストーリーはこの星の歴史でもあり、歴史書を飛び出して昔から子供が読みやすいように絵本で描かれていたり、それを元にしたドラマや映画、アニメなどと色々な形で展開されている。今やっているドラマも数ある中の1つで、昔から何度もリメイクされた作品であるが、この星で人気アンケートを取れば上位に入ること間違い無しの最強で一番の王道の人気作だ。
「ルキアもナイトみたいな彼氏欲しくない?」
「え〜私にはそんなカッコいい人現れないよ〜」
ルキアがそう遠慮がちに言えば、この中で一番背が高い仁奈が一歩前に出て後ろを振り返りながら可愛く頬を膨らませて“ありえないでしょ”と言って言葉を続ける。
「あたしと違ってルキアは弱くて守られるのに?」
「仁奈
仁奈達が言う“それ”とは、種族の話だ。見た目には変わるところは無いはずなのに、この暗闇の星には4種類の種族が存在する。仁奈は肉体能力が一番高い“鬼”という種族であり他の2人は“ヴァンパイア”で、ルキアは最弱と言われる“人間”という種族である。種族間の差別意識や優劣関係などはここ数十年で改善されてはきているが、まだまだ年配の方々には根強く残っていたり、犯罪になることが社会問題としてニュース番組などで取り上げられることもあるくらいデリケートな話でもある。
「それ言っちゃうとさ〜私、仁奈に食べられちゃうじゃん?ガリガリって」
「ルキアは大切な友達だもん!食べたりしないよ〜」
ごめんと、仁奈が自分より小さいルキアを抱きしめる。他の2人も“血を吸ったりしない”とさらに抱きついてくるため地味に重いし動けない。どうやっても人間であるルキアに肉体能力では彼女達には勝てない。
そう、社会的問題とは決定的な肉体能力の差と、鬼とヴァンパイアの食欲的な本能にある。
鬼は本能的に人間を食べるし、ヴァンパイアは本能的に人間の血を吸血する。人間は抵抗しても意味がないのだから…だからこそ、人間が進化した種族である“マジシャン”という種族が存在する。
「お前達、騒いでないで早く教室に行け!」
高等部の生徒玄関から聞こえる大きな男性の声。風紀委員会の顧問で生徒指導でもある先生だ。
仁奈達は面倒な小言を言われる前にと、“はーい”と返事と挨拶をして生徒玄関から校舎内に入って行く。やっと仁奈達が離れてくれてルキアは落ち着いて肺いっぱいに息ができる。
「こんな世界なんて・・・・・」
これが彼女の日常だ。
ルキアも仁奈達に置いて行かれないように後を追いかけた。
ーーー仁奈達が嫌いなわけじゃない。でも、どうして…私は人間という種族に生まれたのだろうか。
数日後、女王が玉座から下りたという知らせが星中に駆け巡った。その少し後に、新しい女王が選ばれていることも大々的に星中に知らされた。
今まで女王についていたナイトが、女王の城を出て新しい女王を探している。この星に住む人々が新しい女王が早く見つかり、速やかに玉座につくことを望んでいる。
女王が不在であれば、この星は災いや災害が起きるのだから。首都から遠い場所では、いつ自分達に災いや災害等が降りかかってくるのか分からない。
ーーーーーー
(前女王はいったい何をしているんだ!)
(早く新女王を探し出せ!)
(新しい女王様、私達をお守りください)
(どうか我々にご加護をください)
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