第38話 斧田さんの思惑
ビルに着いて、俺は鷲尾さんと合流する。
「あ、鷲尾さん。おはようございます」
「おはよう奈月くん。じゃ、事務所に行こうか」
俺たちは他愛のない会話をしながら歩き始める。
「あ、そう言えば昨日ちょっと清水さんと電話してたんですけど、何やかんやあってウチの姉ちゃんとなんか意気投合しました」
「何やかんやって何……!?」
「女子高生無理でも女子大生ならイケるかな、と」
「成る程、それでイケたのね。まあ年齢的には大学生と清水さん近そうだしなぁ」
鷲尾さんも納得したみたいだ。
「で、なんか姉ちゃんの友達の女子高生誘って三人で遊びに行くみたいな話してましたよ」
「大丈夫、なのか……?」
「でも姉ちゃんも居ますし。清水さんも割と乗り気な感じでしたよ」
「なら良いのか、な……? いや、別に清水さんの問題だしな。うん。僕が心配する様な事でもないか」
そんな話をしてると事務所に着く。
俺と鷲尾さんで部屋を使って良いかの確認を取る。念の為だ。
許可が出て、早速部屋に向かおうとしたところで斧田さんがやってきた。
「あ、少し良いかな。鷲尾くんは先に部屋に向かっててくれ。またちょっと奈月くんを借りるよ」
俺は鷲尾さんと一度目を合わせてから「そういう事らしいので」と伝えれば、鷲尾さんも先に向かった。
「それじゃ、こっちにおいで」
斧田さんの後についていき、いつもの勉強で使わせてもらってる部屋とは別の部屋に入る。
「学校の事なんだけど、大丈夫かな?」
俺は「あ、はい。大丈夫です」と答える。一応パンフレットに目も通したし、正直俺も母さんもそれで納得したから。
「そっか。勉強も頑張ってるみたいだし、きっと編入試験も大丈夫だろう」
異常なまでの勉強の厳しさもないらしく、編入試験の難易度も難関校という程ではないとの事。
「よし。それじゃ勉強する目標は見つかった訳だし、より頑張れるかな?」
「そう、ですね」
分からんけど。
「んー……鷲尾くんにもお願いした方が良いのかな」
「何の話ですか?」
「まあ、色々あってね。でも、そうなると奈月くんも一緒だし構わないのかな?」
何だろう、何も分からないぞ。
でも、斧田さんの方で何やら答えが出たらしい。
「今日の帰りはいつも通りの時間かな?」
「そうですね。予定では」
「それじゃあ、帰りにまた事務所に来て私を呼んで欲しい」
話があるから、との事。
「ああ、それと。君たちのイラストとモーションは順調に進んでるよ」
斧田さんの用件は終わったようで、俺も鷲尾さんのところに行って良いと言われたため部屋を後にした。
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