第37話 しっかりしてる人
『え、胡桃さん、女子大生なんですか?』
俺が風呂を上がっても、二人はまだ会話を続けていた。何というか大分打ち解けたのか、清水さんの話し方も少し砕けた物になってる、気がする。
「そうですよ。現役合格の大学生です」
『なんか話してる感じ対応しっかりしてて、もうちょっと大人だと思ってました』
「そ、そうですか?」
『私の元職場でも胡桃さんほどしっかりしてる人居ませんでしたよ』
言われた姉ちゃんは何だか照れ臭いけど、嬉しいのか頰が少し緩んでいる。
「どうですか、清水さん」
スマホはスピーカーモード。
俺も話に入っていく。
「上がったんだ。じゃあ、もう寝て良いよ」
「いや、それ俺のスマホ」
「朝には返すから」
「じゅ、充電だってしたいし!」
「私が充電しとくから」
どんだけ清水さんと話してたいんだ。
『あはは、ありがとね奈月くん』
「どういたしまして? ……いや、それでどうでしたか? 女子高生との会話の仕方とかで参考に出来そうですか? 姉ちゃん、大学生ですけど」
『取り敢えずは頑張ってみようかな。自己肯定感は上がった気するから』
俺と清水さんの話を聞いてた姉ちゃんが「あ、なら私、女子高生に仲良い子いるので紹介しましょうか?」と提案をする。
『え? いや、でも迷惑じゃ……』
「大丈夫ですよ。仲良いですし、その子『胡桃さんのお誘いならいつでも!』って言って断らなかったですし。ちょっとギャップありますけど」
『……どう思う、奈月くん』
俺に話を振られても、とは思うけど。
「良いんじゃないですかね。姉ちゃんも一緒にいるなら清水さんも問題ないはず、ですよね?」
『そうだね。胡桃ちゃんが「ちょっとトイレ」って居なくなる以外は悲惨な事になるとは思わないし』
それは大丈夫なのかな。
「なるほど。確かに気まずいかもですね。それじゃあ、その時は三人でトイレに行きます?」
『それもそれでちょっと嫌かも。私は荷物とか見てるから大丈夫だよ』
もしもの場合の作戦会議が始まってしまった。そこまで想定する物なんだ。
清水さんはトイレに行く時はその子を連れてく様にと、気まずい時間の排除を目論んでる。
「それじゃ、今度の土曜日の昼に」
『奈月くん、私のアカウント。胡桃ちゃんに紹介してくれる?』
俺は「分かりました」と答えてから、通話を切る。
「はい、姉ちゃん」
そうして姉ちゃんに清水さんのアカウントを紹介すると直ぐに通話が繋がって、また話し始めた。
「やっぱり人によるのかも?」
まあ、でも姉ちゃんは女子大生だし。
清水さんも年齢近かったから話しやすかったのかな。
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