第5話 “青活”最初の難関

 あれから二ヶ月の月日が流れ、今は六月である。

 関東で猛暑日が続き、全校集会をやると必ずといっていいほど、1人は貧血などの熱中症の症状によって具合が悪くなり、椅子からガタンと大きな音をたてて、落ちるとざわざわっとなるのがお決まりの展開であった。そんなただでさえ、憂鬱な夏だというのに学校に行きたくなくなるのが“定期テストの存在”である。これがもう、想像以上に大変なことだと俺は勉強していく過程で気づかされた。気づかされたというよりかは舐めていた。中学までは科目数も少なく、内申点などもそこまで重視されないため、適当にやり過ごしていた俺は非常に苦労した。特に苦労したのが数学Ⅰだった。中学とは比にならないくらい難しく、もともと数学が苦手だった俺は心が折れかけた。そんな中、俺の支えとなったのが、イツメン、友達だった。

「みんな、後2週間弱でテスト始まるけど、大丈夫~?」

「俺、まじで終わったわ……」

「秀は昔から勉強できないからな(笑)今回は教師役が他にもいるお蔭で楽できそうだわ~」と満面の笑みで言う優貴。

 お前に人の心はないんか。お前、ちゃっかりできるタイプだったもんな、そういえば。

「え、しゅーが勉強できないの結構意外かも。割と何でもできるタイプかと思ってた。あたし、数学と理科なら教えれるから、何でも聞いてちょ~」と意外にも勉強できるタイプなギャル女子、夏海。

クソ、ギャップ萌えで惚れそうだ。

「私も勉強なら得意だから遠慮なく聞いてね!」と安定の聖女発言をしてくる紗耶香。

「夏海も紗耶香もありがとう!!俺もむっさ苦しい男子じゃなくて女子に教えてもらえて嬉

 しいよ(笑)」

「ちなみに颯は勉強できるタイプか?」とからかってみる。

「僕は平均かなぁ。良くも悪くもないって感じだよ。」と苦笑しながらも答えてくれた。ちなみに颯の得意科目は体育で苦手科目は音楽らしいので、どちらも大きくは影響しなそうだ。

 そんなことを思っていると、紗耶香が外の景色を見つめながら、「じゃあ、勉強会でもやらない?」と言った。

「それ、めっちゃいい!あたしも人に教えることで復習にもなるし、やろやろ~」と夏海も賛同し俺らは特に異論がなかったのでこうして夏の勉強会を開催がされることとなったのだ。

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