覚醒
「フォース・オブ・マーベリック!」
そう叫ぶと、全身に魔力とは違う
その力でオレを拘束していた器具をぶっ壊す。
「くたばりなさい!!」
闇属性の魔力を纏った爪で攻撃してくるフランカ。
「喰らえ」
手を翳し、
「何なの!!」
不思議な力でフランカは飛ばされ、闇の魔力はかき消される。
「くっ、あんたたち、やっちゃいなさい」
幻術の分身で攻撃を仕掛けてくる。
「無駄だ」
「なんで!!」
幻術でできた分身は紙のように簡単に斬れ、消えていく。
「これならどう!」
今度は猛獣たちを
「幻術はもう通用しない」
「この!!」
フィールド全体がマグマに覆われる。
だが
「もうお前の攻撃は通用しない」
「うわああああぁぁぁー!!」
やけくそになったフランカが、攻撃を仕掛けてくる。
しかしオレの剣撃が闇をかき消し、
「もう、終わりにしよう」
剣に炎を纏わせる
フランカの懐へ入り込み、燃え盛る炎を斬り上げる。
すぐさま流れ落ちる瀑布の如き振り下ろす一撃を放つ。
さらに雷の如き光速の剣で払う。
息をつく間も与えることなく、3属性の斬撃を喰らわせる。
これでフランカの獣化した爪は折れ、攻撃を無力化する。
「終わりだ」
剣を上段で構え、
「四光の剣技」
最後の一発は正面に
銀髪の狼少女は意識を失い、地へと伏す。
「終わったんだな」
剣を鞘へとしまう。
久しぶりだ。命を落とすかもしれないと感じた戦いは。
オレはいつも自分のために戦っていた。
自分の命を守るため。
自分だけが生き残るため。
だがこの戦いはいつもとは違った。
友人たちの思いを背負って戦っていた。
まさか友人たちとの絆がオレのゾーンを顕現させるとは……わからないものだ。
倒れているフランカに寄る。
息はある。外傷はあるが、気を失っているだけだ。
月に照らされた銀色の髪と狼の耳が美しい。このまま殺すのは惜しい。色々な意味で。
「剥製を飾る趣味はオレにはないんだよ」
しかしああは言ったものの、オレの独断ではフランカは救えない。
さて、どうしたものか。
* * *
攻撃を受ける度、意識が遠のいていく。
その剣はとてもゆっくりと振られる。違う、あたしがゆっくりと感じているだけだ。
これが走馬灯ってやつなんだろう。
あたし……死ぬんだ。
消えていく意識の中で思い起こされたのはお母さんの姿だった。
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