皇帝スキル持ちの俺、いつの間にか部下がチャンネル作って人気配信者になってた
@kyokurei
第1話 あの頃は若かったんだ
100年前、人類はエネルギーの枯渇問題に頭を抱えていた。
半永久的に環境を考慮したエネルギーは無いかと、人類は地球上にあるものや天に輝く太陽の光、色々と手を尽くしてもエネルギー問題は解決しなかった。
しかしある時、地中からダンジョンと呼称される不可思議な空間が現れ、そこに居る魔物と後に認定された動植物の確認もされた。
その魔物達は凶暴で探索に入った人間たちを殺し食らう危険な場所として立ち入り禁止区域として放置された。
だがダンジョン内に居た魔物達は、外に美味いご馳走があると、探索者を食らった一部のモノが外へと出てしまった。
そう、危険域に居る魔物達は、立ち入り禁止の為に立てられた金網をものともせず、外へ出て暴虐の限りを尽くしたのだ。
街の人間達は混乱してダンジョンの魔物達から逃げるよう街を出ていく者、逃げきれずに魔物達の餌になる者が出た。
当然街の惨状を知った国は、軍を派遣して魔物を軍の兵器で殲滅しようとするが、魔物に傷を負わす事はあっても倒すには至らなかった。
人類は絶望し、そのままダンジョンの魔物達によって終えるかと思われた時…
「…さて、何が起きたでしょう? そうだな、
「七大英雄がダンジョンの魔物を殲滅してダンジョンからエネルギー資源を持ち帰って、街とエネルギー問題の両方を解決した」
「その通り!」
先生の問に答えて俺はまた教科書に目を落とす。
七大英雄。
剣を持ってどんな魔物も切り裂きく剣士。
槍を手にどんな魔物も刺し穿つ槍使い。
弓を引き矢を放てばどんなに遠く離れた魔物も撃ち倒す弓使い。
馬を駆り、長槍を使ってどんな素早い魔物も逃がさず倒す騎兵。
杖を掲げ、火や雷を操りどんな魔物も炭に変えた魔術師。
短剣で魔物の背後から首を落とす盗賊。
魔物を目にすれば叫び、自身の拳で魔物を粉砕する拳闘士。
彼、彼女らの活躍で人類は今も地球で活動し、人間の可能性を魅せてくれた。
それ以降だ。
彼、彼女らに続いて特殊な人間が産まれて来た。 それはスキル持ちと呼ばれ、戦闘系スキルを持つ者は今後探索者として国から膨大な育児資金が給付され、生産系スキル持ちもまた国からの支援が認められてる。
そして俺はというと…
自身のステータスが書かれた生徒手帳を開く。
───────
名前
性別 男
スキル ジョブスキル:皇帝レベル3
∟内部スキル:城建築(再築・増築)
:騎士生成
:騎士育成
───────
まずはジョブスキルから、ジョブスキルとは普通のスキルとは違う。 普通のスキルは剣術、槍術、武術などだが、ジョブスキルは剣士、槍使いといった普通のスキルの上位的な存在で、俺のこの皇帝というのがどんなスキルか、一般的に知られておらず、世間ではジョブスキル:王、皇帝、女王、女帝系は外れスキルなんて呼ばれてる。
なんせ会社を運営するのがちょっと上手くなるとかそう言った偽情報で塗り固められてるからだ。
ジョブスキル:王系スキルは確かに運営技術が、他の人より高く、企業を興せば巨万の富を築く事が出来るが、それは単なるオマケ。
オマケでも普通は大当たりなのだが、今の社会、探索者で成功すれば簡単に億を稼げるのだ。
探索者界隈ではハズレもハズレだろう。
だがしかし、先も言ったようにこれはオマケの能力に過ぎない。
王系スキルの真骨頂は、高いMPと魔力値による国造り。
く に づ く り である。
勿論現実に空いてる土地にぽんっと作る訳じゃない。
まずはジョブスキルを認識する事から始まり、MPをジョブスキルに貯めていく。
規定値まで貯まったら、頭の中に声が聞こえる。 それは城を建築しますか?という問だ。 その問にイエスと返答すると、自分の頭の中に建築中という文字が思考の半数奪われる。
奪われた時はやべえもんに手を出したと頭を抱えたが、今ではいい思い出なわけがない、フザケンナ!
と、それはさておき、半年くらいだか建築中の文字が消えていた。 その時は受験で忙しかったから忘れていたけど、受験も終わってそういえば城どうなった?と考えたらいきなり城がデンッと出てきて椅子ごとひっくり返た。
自室だったのが唯一の救いだったかな。
そこからまたMPを貯める作業に入ってると、レベルが上がったのか、次はキャラクリが10人くらい可能になった。
この時、俺は思ったね。
ゲームかよ!って、実際ゲーム感覚でキャラクリしたんだ。 思い切って皇帝の盾、皇帝の剣に相応しいと思える存在を……
それがこちらと臣下ステータスを開く。
───────
名前
性別 女
レベル ☆☆☆☆☆☆
ジョブ 皇帝の騎士
スキル
剣帝レベル☆☆☆ 光魔術レベル☆☆☆ 土魔術レベル☆☆☆ 錬成術レベル☆☆☆☆ 聖剣錬成レベル☆☆☆
───────
……………まだ厨二病を患ってたし、キャラクリからカタナだけに費やした時間は膨大。
キャラクリに必要なのはMPのみだったし、MP足りなくなったら制作途中を保存してMP回復したら再開出来るチート使用だ。 さらに完成しても再編して上書き出来るんだからジョブスキル:王系のヤバさは分かってくれただろうか? 勿論忠誠ゲージというのがあるし、謀反も起こしちゃったりするけど、ぶっちゃけあってないようなものである。
なんせ自分好みに作った子だよ? 酷い扱いとかしないし、創造主に愛されて嬉しくない子は居ないと思う。
性格設定に不穏なのがあったけど…。
と、まぁいろいろあって、完成した我が騎士は現在何をしてるかと言うと…
キーンコーンカーンコーン
「おっと、授業はここまで」
「きりーつ、気を付け、礼!」
『ありがとうございましたー』
授業が終わり、スマホを出して探索者専用動画アプリを開いてとあるチャンネルに行くとライブ中となってるのを見てため息を一つ。
我が君に捧げよ我がダン活チャンネル。
登録者1000万人。
配信探索者しかも人類で最も深くダンジョンに潜った探索者として有名人として名を馳せてる。
配信名は聖剣ちゃん。
え、チャンネル名と配信名の温度差が違う? それも当然、このチャンネル名はカタナが作り、配信名は撮影係として新たにキャラクリした我が臣下なのだ。
その臣下のステータスがこちらになります。
───────
名前 ストーキング・チェイサー
性別 女
レベル 842
ジョブ 皇帝の暗部
スキル
隠密レベル98 暗殺術レベル20 撮影技術レベル☆☆ 編集技術レベル☆☆☆
───────
そして配信名はトーキング=チェイ。
創造されてすぐに配信というのに気付いて、我が騎士を巻き込んでいつの間にか大人気配信者となっていた…通りで撮影技術だの編集技術だの欲しいと言ってきた訳だ…暗部なのに自分の仕事のレベル上げろよ!!とチャンネルを見つけて思った第一声であり、チェイサーに説教した第一声でもある。
ああ、そうそうここまで来ると察しのいい人は居ると思うから歴史の真相というか七大英雄の正体についてだけど、当時最初に誕生したジョブスキル:王系スキル持ちが産み出した臣下達が七大英雄の正体です。
皇帝スキル持ちの俺、いつの間にか部下がチャンネル作って人気配信者になってた @kyokurei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます