第3話 空を飛ぶ猫

これも私が高校生の頃の出来事です。


時刻は夕方といってもまだ暗くない時刻。

片側二車線の道路の左端の路肩を自転車で走っていました。


この道路は交通量は多いのですが歩く人はとても少ない道路です。中央分離帯は柵だけで街路樹はありません。そして自転車は視界が広いので対向車線側の歩道もよく見えます。


調子よく走っていると対向車線側の歩道から何やら白っぽい物が浮かび上がりました。


コンビニの袋が風で飛ばされたのかな。

ふわっとした。そんな感じの物体です。


それはふわふわと飛びながら車道へと出てきました。飛ぶ高さは一から二メートル位。

非常にゆっくりです。

その物体は一度も地面に落ちることなく車の上を飛び、中央分離帯まで飛んできます。


そして近づけば近づく程、それがビニール袋では無い別の物である事が解ってきます。


「あれ? 猫に見えるな。」


物体は中央分離帯の上を越えました。


「んん? 猫みたい?」


物体は追い越し車線を超えます。


「ええ!? 猫!?」


私は有る事に気づきます。


このまま進むとあの物体と衝突する!


私は自転車の漕ぐ力を強めました。先に通り抜けようと考えたのです。


が、その物体も時を同じくして急加速!


ガイン!

ギャオオオオンン!!


「うわああ!! 猫猫! 猫だあ!」


その猫らしきものは自転車の後輪に当たり、激しい鳴き声と共に走り去って行きました。


ぶつかった時は確かに猫でした。それも成猫。

でも猫がそんなに飛べるのでしょうか?

片側二車線、合計四車線を飛んだ事になります。


反対側の歩道には誰も居ません。

もし人が投げたとしても四車線分、投げられるでしょうか。成猫は体重四キロ以上あります。


それとも、私が知らないだけで猫って飛べるんですかね。


_____________________


短いのでオマケです。


私は仕事で早朝から出かける事が多いのですが、何匹か居る猫の一匹がいつも私が起床すると後をついてきます。

この日も寝ぼけながら歩いていると後ろから・・・


「それでねえ・・・」


と話しかけられました。


振り向くといつもの猫しか居ません。

そしてじっと私を見つめるだけ。


その言葉の続きを私は聞きたかったのですが、残念ながら話してくれませんでした。

何が言いたかったのでしょうかね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る