第32話
ストラクタさんとボスが前に出た。
「ストラクタ、一騎討を申し込む!」
「いいだろう!」
大分展開は変わったけどゲームと同じストーリーか。
となればゲームと同じ手口を使ってくる可能性が高い。
今回は俺が目立たず勝とう。
「へっへっへ、俺はなあ、立ちはだかる敵をすべてこの魔装で倒して来た」
「そうか、腕が鳴るな」
「ゴルドも俺が殺した、あいつはストレージの中がさみしかったなあ。なすすべもなく俺にやられて、へっへっへ、鉄等級じゃ俺の足元にも及ばねえよ」
「お前は銅等級の力がある、そう言いたいのか?」
「へっへっへ、さあねえ」
確かこいつ、武器を伸ばすボスだ。
「確かこいつ武器を伸ばす魔装を使う奴じゃね!? 伸ばすだけじゃなく武器の形状を変えられる! 街でそういう噂を聞いた事があるぞ!」
「ば! な、何言ってやがる!!」
「あれえ? 相手がノワールの言葉で焦っているね! もしかして本当に武器の形状を本当に変えられるのかな!?」
スレイアも大きな声で言った。
冒険者も大きな声で叫んだ。
「そう言えば私も同じ話を聞いたことあるよ! 」
「ノワールが前言っていたな、警戒するとしよう」
「俺達は手下を捕まえようぜ!」
このボスは一騎打ちと言いながら雑魚をけしかけてくる。
俺はサーバントを4体だけ出した。
サーバントが矢を放ち雑魚の脚を打ち動きを止めていく。
更に俺は叫んだ。
「あれええ、みんな疲れてて弱いぞお! 弱いサーバントが攻撃してもみんなすぐに倒れていくう!!」
これでサーバントの弱さをアピールできる。
冒険者も叫ぶ。
「モンスターと戦った後で弱ったか!」
「今がチャンスだ!」
「本当に弱いわ! みんなヘロヘロね!」
冒険者が雑魚を倒していく。
まだだ。
ストーリーでは建物の2階から矢を放つ伏兵がいる。
このボスは人を騙してくる。
「建物の中も探索だあ! サーバントも来い!」
俺は叫んで建物に入る為走る。
「ばか! お前!」
ボスが焦るとストラクタさんがボスに剣で斬りつけた。
ガキン!
武器でつばぜり合いをする。
「何を焦っている?」
「な、何でもねえよ!」
建物の中に入って2階に上がると伏兵がいた。
闇の剣で斬ってベランダの窓から投げ飛ばす。
「わあ、偶然建物の中に伏兵がいたぞお! あっちの方は調べてないからまだいるかもしれないなあ! びっくりしたあ! まさかこの弓使い達でストラクタさんを狙おうとしていたのかあ!?」
冒険者が俺の言葉に反応する。
「なんだと! 一騎討と言っておいて卑怯だぞ!」
「建物の中にいる奴らを炙りだしてやる!」
「いや、俺達が潰すぜ!」
冒険者も建物の中に入って敵を探し始めた。
ストラクタさんは右手に剣を、左手に魔導書を発生させて魔法でボスを攻撃する。
良い戦い方だ。
いくら武器が伸びても遠距離から魔法を撃たれれば何も出来ないままボスは倒れるだろう。
ボスがストラクタさんに近づけないまま弱っていく。
そしてボスが倒れた。
「がはああああ! く、くそがああ」
「腕の骨を折る」
「や、やめろ」
「安心しろ、どうせポーションで治る」
ボキ!
「ぎゃあああああああああああああああああああ!」
「足もだ」
「やめ、やめてくれええええ! ぎゃあああああああああああああああ!」
冒険者が全員を捕まえて宝を回収して建物を燃やす。
これにより街で一番大きい盗賊団を倒した証明になる。
ストラクタさんの指示で犯罪者をギルドの地下にある牢屋に入れた。
ストラクタさんが俺の肩を叩く。
「大活躍だったな」
「いえ、大活躍はストラクタさんです」
「いや、ノワールのおかげで俺は戦いに集中出来た。後ろに回り込んだ盗賊や建物から矢を放ちそうな敵、すべてを未然に防いでくれたおかげで速やかに鎮圧出来た」
ストラクタさんは俺の行動を見切る。
だから言い訳も考えてある。
「そうじゃないんです」
「何がだ?」
「怖かったんですよ、ストラクタさんと戦ったあの敵は兄と同じ目をしていました。兄ならどんなことでもやってきます。もしあの敵が兄と同じ性格だったらと考えると、卑怯な手を使ってくるんだろうなと思いました。僕は敵を見ながら兄を見ていたのかもしれません」
実際に兄とあのボスは性格が似ていた。
言っている事は間違っていない。
「それと、見張りだけでも倒すために盗賊の所に行ったらモンスターが出てきました。最初は盗賊が操っているのかと思いました。それもあって怖かったです。それが逆に良く出ただけな気がします」
「そうか、俺の目は曇っていたようだ。実はな、ノワールの言葉がワザとらしく感じていた。まるで先が読めている様にも感じていたが、あれは恐怖だったか、うむ、恐怖は悪い感情ではない。俺だって恐怖心はある」
「ストラクタさんでもですか、良かったです」
「恐怖心が無い冒険者は早死にする事が多いからな、その感情は大切にした方がいい」
「はい!」
ストラクタさんは勘違いをしてくれた。
モモが出てきた。
モモにはお留守番をして貰っていた。
「無事でよかったです」
「ああ、ただいま」
「お帰りなさい」
モモは前より笑顔になった。
モモの顔を見て温かい気持ちになった。
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