第31話

 俺はハイペースでサブクエをこなした。

 100のサブクエをクリアするとギルドの職員が拍手をする。

 

「たくさんの奉仕依頼を受けて頂きありがとうございます」


 ストラクタさんが前に出る。


「おめでとう。所で、他の依頼を受けてみないか?」

「どういう依頼でしょう」

「盗賊の討伐だ、ダークネス家は盗賊と繋がっている。その力を削ぎたい」


 俺の父は兄とは関係ないと言って罪を逃れた。

 調査部隊はダークネス家を潰したがっていたようだが証拠が無かったのだ。

 そしてどの盗賊がダークネス家と繋がっているかは分からない。

 なのでギルドとしては片っ端から盗賊を潰しておきたい。


「分かりました。どこに行けばいいですか?」

「街の外にある盗賊の屋敷だ」

「……一番大きい所に行くんですね」


「ああ、明日の夜に奇襲をかける」

「パーティーだけで今日奇襲して見ていいですか? もちろん迷惑なら辞めますが」

「いや、無事に帰ってこられるならそれでもいい、ただな、敵の盗賊は恐らく100人を超える、無事に街まで逃げられるか?」


「大丈夫です。モモは置いてスレイアと2人だけで行きたいです」

「分かった、だが、無理だと思えばすぐに逃げて欲しい、門番には言っておく」

「分かりました」



【町の外、盗賊ボス視点】


 俺は魔装武器の刃を伸ばして肉に突き刺して刃を縮める。

 すると遠くにあった肉が俺の前まで移動する。

 肉に食らいつき、そして笑う。


 明日の夜にギルドのやつらが奇襲をかけてくる。

 情報は漏れてんだ。

 俺達の盗賊団にだけ情報を流す冒険者がいる。

 尻尾は出していない。

 向こうはそれが分からないようだ。

 その隙に俺達はギルドを襲ってカウンターを仕掛ける。


 精鋭のいないギルドは簡単に襲撃できる。

 1度でも襲撃を受ければギルドのやつらはギルドの守りを固めるしかなくなる。

 そうなりゃ俺達を倒せる人間は街にいなくなる。


 厄介だったデュラハン教は何故か死んだ。

 ダークネス家は勢いを失った。


 そして厄介だった手練れの暗殺者ギルド、あいつらは依頼が無ければ街に来ない。


「へ、へへへ! 早く明日の夜が来ないか楽しみだぜ」

「親分、やる気だな」


「ああ、やる気だ、俺が鉄等級のゴルドを殺した時も簡単に倒す事が出来た」

「また親分の自慢話か、もう聞き飽きたぜ」


「まあ聞け、俺はゴルドに力を見せちゃいない。俺の武器は形状を自在に変えられる。ナイフだと思って避けさせた瞬間に刃を剣のように伸ばす、それだけで敵は攻撃を受けて皆死んでいった。そう、俺は目の前に現れた敵をすべて倒して来た、だから今生きている。また驚いた顔をして斬られた後に気づくあの顔を見たい。ギルドの受付嬢を攫って女にして楽しむのもいい。早くギルドを奇襲したいぜ」


「銅等級のストラクタには勝てるか?」

「勝てそうな相手ではある、だが確実じゃねえ。お前らに教えといてやる。殺す時は確実に殺せると思った時以外は慎重に慎重を重ねろ。死んでしまえば終わりだ。多分勝てるで挑むのはバカのする事だ」


「おーこわ! 親分に確実に殺せると思われれば殺されるってか」

「そういう事だ。ギルドの襲撃は確実に成功する、その自信がある」

「所で、見張りが戻ってこねえな」

「またナイフダーツでもしてるんだろう」




【ノワール視点】


 街を出て盗賊の建物に来た。

 サーバントは収納に入れているが出してはいない。

 建物を隠す気は一切無く、ヤクザの事務所のように堂々と立派な建物が建っていて高い塀で囲まれている。


「おいお前! ここで何してやがる!」


 ガラの悪い男たち3人が走って来る。


 俺は闇魔法で弓矢を作って3人を射殺した。

 無言で死体を回収する。


「とりあえず、闇のオーブを使う。モンスターを盗賊にぶつけたい」

「でも、そのオーブはヒビが入ってたよね」


 何回も何回も闇のオーブでモンスターをおびき寄せた結果オーブにヒビが入ったのだ。


「うん、ゲームでは壊れなくても、現実のマジックアイテムは壊れるのか、リアルだな」


 そう言いながら闇のオーブに魔力を込める。


 パキン!

 闇のオーブが粉々に砕けた。


「「あ!」」


 いつもより大きな黒い霧が広がる。

 モンスターの足音が聞こえる。


「やっば!」

「まずいよ!」


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!


 たくさんのモンスターが盗賊のいる建物に向かって行った。


「撤退する!」

「逃げるよ!」


 2人で走って街まで逃げた。


 門兵が慌てて俺達を通す。


「盗賊の建物にモンスターが大量に押し寄せている!」


 門が閉じて防壁の上に登って盗賊の建物を確認する。

 モンスターが塀の扉を攻撃して中に入っていく。

 1000を超えるモンスターが盗賊と戦う。


 モンスターより盗賊の方が強そうだけど、数はモンスターの方が多い。


「ふう、モンスターの異常発生か。まさか、デュラハン教の仕業!」


 俺は大きな声で叫んだ。

 スレイアが俺の顔を見たがすぐに盗賊のいる方向に視線を戻す。


「ストラクタさんに報告しよう。何が起きたのかさっぱりわからない」


 2人でギルドに向かった。




【町の外、盗賊ボス視点】


「何が起きた!」

「モンスターが突然攻めてきやがった! 数は100や200じゃない!」

「な、なんだと、何が起きてやがる! くそが、俺が出る!」


 建物を出ると塀の中にモンスターが入って来る。


「ブヒー!」

「フシャー!」

「グオオオ!」


「グギャアア!」

「ブオオオ!」


 スライム・ゴブリン・オーク・ポイズンスネーク・ウリボー・サーベルベア、たくさんのモンスターが手下に襲い掛かる。


「助け、助けてくれえええええ!」

「腕を噛まれて! うあああああ!」

「親分! 助けてくれ!」


 どうなってやがる!

 なぜモンスターが急に襲い掛かって来た!

 近くにいるモンスターは倒していた!

 俺は前に出た。


「くそが! うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 奇襲をするつもりが全く関係ないモンスターの奇襲を受けてやがる! 訳が分からなねえぜ!

 何人生き残る?


 半分も助かるのか?


 俺は戦い続けた。



 そしてモンスターをすべて倒した。


「はあ、はあ、はあ、はあ、訳が、分からねえ」

「手下がほとんど死んじまった。親分、ギルドの奇襲は無理だぜ」

「ああ、今はしばらくおとなしくして隠れる」

「お、親分! ストラクタと冒険者達がやってきやがったぜ!」


「な、何だと!」


 俺達の前に100近い冒険者が現れた。

 ストラクタの横にいたノワールは何故か横を向いてストラクタから目を逸らしていた。


 ストラクタが前に出る。


「好都合だ、全員生きたまま捕らえる!」

「ストラクタ! 舐めるなあああああ!」

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