第7話

 スレイアは黒髪のボブカットで赤い瞳をしている。

 胸が大きく魔装から半分近く胸がこぼれるように見えている。

 ローブの丈が短く太ももも見える。

 

 スレイアは悪役キャラだが転生した今、性格的にはおっとりしていてかなり話しやすい。

 そして悪役でもキャラデザが良すぎる。


 ゴクリ。

 今のスレイアはとても魅力的だ。

 JKとベッドの上でスル?

 だが、こんなファンタジーってある?


 待てよ、待て待て、俺は優しくなったスレイアの言葉で勘違いをしている。 

 こんなファンタジーはありえない。

 俺はきっと自分の都合のいいように勘違いしている、そうに違いない。


「スルというのは、パーティーを組む、そういう意味だよな? おー危ない。イヤらしい意味で勘違いする所だった」

「イヤらしい意味で言っているよ」


 スレイアが真っすぐに俺の目を見たまま言った。

 距離が近い。

 

「ちょ、ちょっと待ってほしい、俺は悪役だ」

「私も悪役だよ、私の事が嫌?」

「嫌じゃない、性格もいいとお思うしキャラデザも好きだ」

「私もノワールのキャラデザが好き」


「……んっと」

「バンパイア顔で、細マッチョで、適度に背が高くて、それに、優しい」

「優しくは、無いと思うぞ」

「優しい人は自分の事を優しいとは思わないよ」


 いいたい事は何となく分かる。

 前世で『俺優しいから』とか『俺はまともだから』とか言う人間は優しくないしまともじゃない人が多かった。

 本当に厄介な人間は自分の事を真人間だと思っていて何かあっても自分だけはまともだと思い続ける。


 まともな人間は常に自分が『出来ていないんじゃないか?』『自分にも悪い部分はある』と謙虚に考え自分を変えていく人が多い。

 25年生きて来て自己申告ほどあてにならないものはない。

 それは分かる。


 それでも俺は良い人間じゃない。

 だが、勘違いした人間よりは悪くはない、のかもしれない。


 スレイアから誘われて断るのは違う。

 この世界ではゴブリンとかオークに襲われても子供を産まないように避妊魔法をかけている。

 お互いに気持ちよくなりたいと思っている。

 どちらも相手が嫌がる事はしていない。


「そ、そうか、うん、魔装を解除しよう」


 シュン!


 俺は魔装を解除して下着姿になった。

 スレイアも俺に合わせて魔装を解除した。


 そしてスレイアが下着を脱いでいく。

 下着を外すその姿が上品でそれもまた興奮する。

 俺も同じようにする。


 お互いに正座をして向かい合う。 


「えっと、最初は、どうすればいいのかな?」


 ゾクゾクゾクゾク!

 スレイアは前世も含めて初体験か。

 俺も初体験だ。

 でも、ヤリ方くらいは知っている。


 俺はスレイアをベッドに寝かせた。


 そして体をまさぐる。


 スレイアが声を抑えるように口を押えた。

 

 夜が始まる。



 ◇



 チュンチュンチュンチュン!


 朝日で目が覚めた。


「おはよう」


 スレイアが俺の顔を見ながら言った。


「ああ、おはよう」


 スレイアが俺に抱き着く。

 俺は昨日したのに恥ずかしくなって言った。


「今日は草原に行こう」

「いいよ」


 スレイアの囁き声で一気に目が覚めた。


「もしかして、信頼をして貰う為にシタの?」

「違うよ、好きだったから」

「え?」

「訓練をしているノワールをよく見ていたから」

「そ、そっか……うん、行こう」


 スレイアとパーティーを組もう。

 俺から言おう。

 夜の間悪い事は何も無かった。

 むしろ、良かった。

 

「スレイア、パーティーを組もう」

「うん」


 俺はその日、スレイアとパーティーを組んだ。



【スレイア視点】


 私の前世は日本の女子高校生だった。

 高校では男子生徒から何度も告白された。

 でも、男子生徒が子供に見えて付き合う気にはなれなかった。


 私は学校では優等生で清楚に見えるらしい、勉強も運動もそれなりにしていた。

 両親は凄く優しくて良い環境で育った方だと思う。


 でもそんな私は家ではワンピースを着てお菓子とジュースを食べながらゲームをする、そんな生活をしていた。

 そして、BL同人と男向けの寝取られ同人誌が好きだった。

 特にノワールの見た目が好きでノワールの同人を電子で買っていた。


 私は優等生でも清楚でもない。

 そういう人間だ。


 そんなある時ゲーム、ファンタジーフロントをプレイしていると異世界に転生した。

 その時、パーティーの全員が転生した事が何となく分かった。


「一旦、席に戻りましょう」


 最初に会話を進めたのはノワールだった。

 パーティー全員の顔を見て思った。


『ノワールが一番信頼できる』


 その後もノワールが丁寧に話を進めた。


「あの、一旦、解散しませんか?」


「皆も、今転生したのかな?」


「なんで、転生したか分かる人とか、いる?」

 

 そしてノワールが兄であるライングラフレイム・ダークネスに殴られてバカにされる時の動き方を見てノワールは大人だと思った。


 ノワールに声をかけた。


「ふう、前世でノワールは社会人かな? あ、私は高校生だったけど」

「25才のサラリーマンだった」


 話し方を見て分かった。

 ノワールはやっぱり大人だ。

 

「うん。助けられなくてごめんね」

「いや、あれは首を突っ込めば首を跳ねられるかもしれない所だった。それに兄のパンチを避ける事が出来なかった。今の俺達じゃ勝てない相手だ」


 責任感があって私の話に丁寧に対応してくれた。

 もし子供っぽい男子生徒なら『何で助けなかった!』と怒り出していただろう。

 

 そしてその後の行動も良かった。

 誰もが嫌がる鬼教官ストラクタの訓練を受ける。


 私は一緒に訓練を受けつつノワールを見ていた。


 頑張るあの顔、表情。


 指導は素直に聞くけど人のせいにせず自分の責任で考える言葉。


 ノワールの内面にも惹かれていった。


 ゲームのノワールはキャラデザだけは好きだった。 

 でもゲームのノワールは性格が良くないと思っていた。


 今のノワールは見た目、人格両方がいい。


 ああ、そうか、私はノワールの事が好きなんだ。

 訓練場を頑張って走るノワールを見てそれに気づいた。

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