第4話『試合前夜』

金鋼鉄高校との練習試合まで「あと1日」


 翔斗は朝の練習に向けていつものように制服に着替え、食卓に向かった。キッチンからは朝食のいい香りが漂っている。じいが心を込めて作った焼きたてのトースト、そしてスクランブルエッグがテーブルに並んでいた。


「おはよう、じい。」翔斗は笑顔で言った。


「おはよう、翔斗。今日も練習かい?」じいは微笑みながら翔斗の顔を見た。


「うん、金鋼鉄高校との試合まであと2日だから、みんな気合が入ってるんだ。今日は戦術の確認をする予定だよ。」


 朝食を終えた翔斗は、玄関で靴を履きながらじいに別れを告げた。「行ってきます、じい。」

「行ってらっしゃい、翔斗。頑張っておいで。」じいは優しく見送った。


 ー「学校にて」ー


 翔斗が学校に到着すると、すでに体育館では部員たちが集まり、練習の準備をしていた。海輝が手を振って翔斗に合図した。

「おはよう、翔斗。準備はできてるか?」

「おはよう、海輝。もちろん、バッチリだよ。」

 二人は笑顔で挨拶を交わし、他の部員たちと共に練習に励んだ。体育館には熱気が漂い、部員たちの掛け声が響いていた。


 ー「準備」ー


 翔斗と海輝が新たな仲間たちと共に練習に励んでいる間、学校のバレー部は試合に向けた準備を着々と進めていた。金鋼鉄高校との試合まで残り2日となり、部員たちはそれぞれの役割を確認し、戦略を練っていた。

 体育館にはバレー部のメンバー全員が集まり、監督の佐藤先生がホワイトボードに戦術を書き込みながら話し始めた。


 ー「ホワイトボード」ー


 羽立翔斗:エーススパイカー

 東条海輝: セッター

 山田一郎:ウィングスパイカー

 佐々木太郎:リベロ

 南城誠:ミドルブロッカー

 白羽幅田:ウィングスパイカー


 「みんな、金鋼鉄高校は全国で最も守りが固いチームだ。彼らのディフェンスを突破するのは簡単ではないが、我々にはそれに対抗するだけの力がある。特に、南城のブロックと白羽のレシーブ、そして翔斗のジャンプ力には期待している。」


 南城は自信を持って頷き、仲間たちに目を向けた。「みんな、俺たちのチームワークを信じて、一致団結して戦おう。個々の力も大事だが、何よりもチーム全体の力が試される試合だ。」


 ー「練習の様子」ー


 翔斗はネット越しに海輝とアイコンタクトを取り、ボールをスパイクしながら練習を続けていた。新たに加わった白羽は、鋭い目でボールを追いかけ、的確な位置でレシーブを行っていた。

 練習が終わり、みんなが疲れた顔で汗を拭いている中、翔斗は白羽に話しかけた。          「白羽、今日のレシーブ、本当にすごかったよ。君がチームに入ってくれて、本当に助かるよ。」

 白羽は少し照れたように笑い、「ありがとう、翔斗。僕もみんなの役に立てるように頑張るよ。」


 ー「帰り道」ー


 練習が終わり、みんなで帰る途中、翔斗と海輝は再び一緒に歩いていた。夕焼けが二人の影を長く伸ばしている。翔斗はふと立ち止まり、海輝に言った。「海輝、ついに明日だな。やっぱり緊張するな。」

 海輝は笑い、「そうだな。でも、俺たちはやれることを全部やってきた。それを信じよう!」


 ー「夜」ー


 試合前夜、翔斗はいつも以上に早くベッドに入ることにした。じいが部屋のドアをノックし、そっと入ってきた。

「翔斗、明日の試合に備えて早めに休むのはいいことだ。でも、緊張しすぎて眠れないかもしれないから、少し話そうか。」

 じいはベッドの横に座り、翔斗の手を握った。

「翔斗、君は今まで本当に一生懸命に頑張ってきた。明日の試合はその努力の成果を見せる絶好の機会だ。でも、結果がどうであれ、君が全力を尽くせば、それだけで十分だ。」

 翔斗はじいの言葉に少し安心し、深く息を吸った。「ありがとう、じい。僕たちのチームはまだ結成されたばかりだけど、みんなすごく努力してきたんだ。明日はその力を試す場だと思って、全力で戦うよ。」

 じいは優しく微笑んで言った。「それでいい。翔斗、君は決して一人じゃない。チームのみんなが君を支えているし、私もいつも君の味方だ。」

 じいと話した後、翔斗は心が少し軽くなったように感じた。ベッドに横たわりながら、明日の試合のことを考える。頭の中には金鋼鉄高校の強固なディフェンス、そして自分たちの練習の成果が浮かんでいた。

 「明日、僕たちは必ずやれる。」そう自分に言い聞かせ、翔斗は目を閉じた。


 ー「朝の準備」ー


 翌朝、翔斗は早く目を覚ました。窓の外はまだ薄暗く、静かな朝の空気が漂っていた。じいがキッチンで朝食を準備している音が聞こえてくる。

 翔斗は静かにベッドを出て、顔を洗い、ユニフォームを手に取った。鏡の前に立ち、自分自身を見つめる。

 リビングに降りると、じいが温かい笑顔で迎えてくれた。「おはようございます。翔斗様。朝食を準備しておきました。」

 テーブルには焼き魚と味噌汁が並んでいた。翔斗はじいに感謝の気持ちを伝えながら、朝食をゆっくりと味わった。


 ー「最後の確認」ー


 朝食を済ませた後、翔斗は部屋に戻り、試合の準備を始めた。ユニフォームを着て、シューズをしっかりと締め、玄関に立ち、じいに別れを告げるとき、じいは心配そうな表情で言った。「翔斗様、お怪我だけはお気を付けてください。」

 翔斗はにっこりと笑い、「ありがとう、じい。心配しないで、僕は大丈夫だから。」と応えた。


 次回、「いざ、決戦」金鋼鉄高校との練習試合の行方は――?

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