第5話『いざ、決戦』

 金鋼鉄きんこうてつ高校との練習試合「当日」


 ー「試合会場」ー

 

 試合会場に到着すると、チームメイトの南城なんじょう山田やまだ佐々木ささきは軽快な動きでウォームアップをしていた。真剣な表情で海輝かいき白羽しらははそれぞれの役割、作戦を確認していた。翔斗しょうとは皆に挨拶した。


「みんな、準備はいいか?」と翔斗が声をかけると、「おう!」と力強い返事が返ってきた。そして、チーム全員の目が輝いていた。

 金鋼鉄高校の選手たちもウォーミングアップをしているのが見えた。彼らの動きは鋭く、一見して強敵であることが分かる。金鋼鉄高校は全国で最も守りが固いチームとして知られている。


 監督の佐藤さとう先生がメンバーに最後の指示を出した。「みんな、金鋼鉄高校のディフェンスは強力だが、チームワークで突破しよう。翔斗、海輝、白羽、南城、山田、佐々木、それぞれの役割をしっかり果たしていこう。」


 翔斗たちは頷き、コートに立った。


 ー「第1セット」ー


 試合開始のホイッスルが鳴り、最初のサーブを海輝が打った。ボールは金鋼鉄高校のコートに飛び、相手のレシーバーが必死に受け止めたが、翔斗が素早くネット際に走り込み、エーススパイカーとして強烈なスパイクを決めた。


「ナイススパイク、翔斗!」南城誠が声をかけた。


 翔斗は軽く笑って、「ありがとう、南城さん。」


「さすがだね、翔斗くん。」と金鋼鉄高校のエース、怜央れおが感心したように言った。


「貴方もなかなかだよ、怜央さん。でも、この試合は譲れない。」翔斗は軽く挑戦的な目をして言った。


 怜央は微笑み、「その意気だ、翔斗くん。」と返した。


 その後も、海輝の的確なセットアップと山田の力強いウィングスパイク、佐々木の鉄壁のリベロとしての守りが光り、チーム全体の連携が見事に機能した。白羽の安定したレシーブもあり、第1セットは25-18で金鋼鉄高校に勝利した。


 サイドラインに戻った翔斗は、チームメイトたちに声をかけた。「よし、この調子だ!みんな、次のセットもこの勢いでいこう!」


 南城が笑顔で頷き、「翔斗のスパイク、ほんとにすごいよ。見てて惚れ惚れする。」


「全員がうまく連携してるからこそ、あのスパイクが決まるんだよ。」と海輝が言った。


 白羽も笑顔で加わった。「確かに。みんなのプレーが一つに繋がってる感じがする。」


 佐々木がボールを手に取り、「次も俺が守るから、みんな思いっきり攻めていこう!」と力強く言った。


 山田が拳を突き上げ、「よし、次のセットも俺たちのペースでいくぞ!」と意気込みを示した。


 チーム全員が一つになり、第2セットに向けての決意を新たにした。翔斗はその絆を感じながら、次のセットも全力で戦うことを誓った。「さあ、みんな。次も勝ちに行くぞ!」


「よし、この調子だ!」翔斗は仲間たちに声をかけた。


 ー「第2セット」ー


 第2セットに入ると、金鋼鉄高校は守備を固め、翔斗のスパイクは次第に金鋼鉄高校のブロックに阻まれ始め、得点が思うように取れなくなってきた。


「気をつけろ、翔斗。相手も本気だ。」海輝がアドバイスした。


 怜央も冷静にチームメイトに指示を飛ばしていた。「翔斗くんのスパイクは要注意だ。ブロックをもっと強化しよう。」


 金鋼鉄高校のディフェンスはますます固くなり、巧みな戦術でポイントを重ね、第2セットを22-25で取られてしまった。


 ー「第3セット」ー


 第3セットも金鋼鉄高校のディフェンスは崩れず、翔斗たちの攻撃をことごとく防いだ。白羽のレシーブや山田のスパイクも相手のブロックに阻まれ、得点が伸びない。


 佐藤監督はタイムアウトを取り、メンバーに声をかけた。「みんな、焦るな。落ち着いて、自分たちのプレーを信じていこう。」


 怜央は再びチームを鼓舞した。「この調子で守り続ければ勝てる。攻めも忘れずに、バランスを保とう。」


 しかし、金鋼鉄高校の守りは揺るがず、第3セットも20-25で金鋼鉄高校に敗れてしまった。


 ー「第4セット」ー


 第4セットも厳しい戦いが続いたが、金鋼鉄高校のディフェンスを突破するのは難しく、翔斗たちは次第に疲れが見え始めた。相手チームの戦術と守りの強さに圧倒され、最終的には15-25で試合に敗れた。


 ー「試合後」ー


 試合後、翔斗たちは悔しさを感じながらも、全力を尽くしたことに誇りを持っていた。佐藤監督がメンバーに声をかけた。


「みんな、よく頑張った。結果は悔しいが、この経験を次に生かそう。金鋼鉄高校のような強いチームと戦えたことは大きな財産だ。」


 怜央も近づいてきて、翔斗に声をかけた。「翔斗くん、素晴らしい試合だった。次回も楽しみにしているよ。」


 翔斗はうなずき、「そうだね。次は絶対に勝とう、みんな。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る