第2話『同級生の絆』
ー「学校帰り」ー
学校帰りの夕方、翔斗と海輝は並んで歩いていた。夏の終わりを感じさせる心地よい風が二人の頬を撫でる。
「翔斗、覚えてるか? 小学校の頃、初めて一緒に遊んだ日のこと。」
「うん、覚えてるよ」と翔斗は即答した。
「あの時はまだお互いに緊張してて、何を話していいか分からなかったけど、ゲームのおかげで一気に打ち解けたんだよな」と海輝が笑いながら言った。
「懐かしいな。あれからずっと一緒にいるなんて、」と翔斗が感慨深げに言った。
「お前がいつも一緒にいてくれたから、俺もここまで頑張れたんだ」と海輝が真剣な表情で言った。「これからも一緒に頑張っていこうな。」
翔斗は力強く頷いた。「もちろんだよ、海輝。」
ー「その晩」ー
翔斗はその晩、ベッドに寝そべりながら、海輝との会話を思い出していた。心地よい風の感覚がまだ頬に残り、その日の思い出が彼の心を温めていた。
「海輝との小学校時代の思い出は、本当に大切だな」と翔斗はひとりごとのようにつぶやいた。海輝との友情は時間が経っても変わらず、互いを支え合い、共に成長してきた証だった。
翔斗は窓の外を見つめながら、未来への希望と決意を新たにした。チームの挑戦、そして海輝との絆を深めるために、明日からもっと練習に励もうと心に誓った。
「これからも海輝と、そしてチームの仲間たちと共に、成長し続けるんだ」と翔斗は静かに決意を固めた。そして、心地よい風が窓を揺らす中、彼は夢の中へと静かに眠りについたのだった。
ー「翌日の授業中」ー
翔斗は授業中、窓の外をぼんやりと見つめていた。先生の話はすでに理解していて、授業の内容に飽きてしまっていた。頭の中はバレーボールのことでいっぱいだった。
「羽立くん、何を笑っているの?」先生の声が教室に響いた。突然の質問に、翔斗は慌てて姿勢を正した。
「すみません、先生。ちょっと考え事をしていました。」
「考え事?それは授業に関係のあることかしら?」先生は鋭く問いかけたが、その表情には優しさが感じられた。
「いえ、バレーボールのことです…」翔斗は正直に答えた。
「そうですか。バレーボールは大事ですが、今は授業に集中しましょう。」先生は少し微笑みながら言った。「でも、試合に向けて頑張ってくださいね。君たちのチームがどれだけ成長するか楽しみにしています。」
「ありがとうございます、先生。」翔斗は少し照れながら答えた。
授業が進む中、翔斗の目は再び窓の外に向かった。頭の中にはバレーボールのプレイや戦術が次々と浮かび、試合に向けての意欲がますます高まっていった。彼は心の中で決意を新たにした。絶対に勝つ、と。授業が終わると、彼はすぐにチームメイトにこの気持ちを伝えようと思った。
翔斗の心の声
「海輝はディフェンス、山田先輩はスパイカー、佐々木先輩はリベロとなると俺は…」
彼は自分のポジションについて考えを巡らせた。自分の特技である反射神経とジャンプ力を最大限に活かせるポジションとは何だろうかと、心の中で問いかける。
「セッターかな…?」と心の中でつぶやいた。
セッターはチームの司令塔として、攻撃を組み立てる重要な役割を担う。そのためには優れた反射神経と判断力が求められる。翔斗は自分の特技がセッターに向いているかもしれないと思った。
海輝が小声で「バレーのことだろ?」と隣からささやいた。翔斗は苦笑いしながら頷いた。
海輝の心の声
「そういえばフォーメーションどうするんだ?あいつならセッターもできるかもしれないけど…」
ー「授業後」ー
「なあ、翔斗。セッターやってみない?」
翔斗は、海輝からの突然の提案に戸惑いを隠せなかった。
彼は翔斗の肩に手を置き、優しい声で続けた。
「翔斗、お前のプレーはみんなに影響を与える力があるんだ。セッターとしてチームを引っ張ってくれるなら、もっと強くなれるはずだよ」
翔斗はその言葉に耳を傾けながら、内心で葛藤していた。セッターになることの責任感、そしてその重圧。彼は深く息を吐き、少しの間、黙り込んだ。
「でも、俺がセッターになったらみんながついてきてくれるのか分からない。責任が重いんだよ」
翔斗の声には、自信のなさと不安が混じっていた。海輝はそんな彼を見つめ、力強く頷いた。
「心配するなよ、俺たちはお前を信じてる。だから、チャレンジしてみないか?」
海輝の言葉は、まるで翔斗の心に響く鐘のようだった。彼はしばらく考えた後、決意を固めた表情で海輝に向き直った。
「分かった、やってみる。でも、もし失敗したら……」
海輝は即座に答えた。「その時は俺たちが支えるさ。一緒に頑張ろう、翔斗!」
翔斗はその言葉に勇気づけられ、不安が少しずつ消えていった。彼は心の中で決意を固め、新たな挑戦に向かう準備が整った。
その日から、翔斗の新たな物語が始まるのだった。彼の心には不安と期待が入り混じっていたが、友達の支えがある限り、どんな困難も乗り越えられると信じていた。
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