26 俺の世界

 クリスマスの夜、都会のある高級ホテルでうみちゃんとセックスをした。

 帰りたくないって言ってる女の子を強いて送ってあげる必要はないから、さりげなくホテルに連れていった。うみちゃんは可愛いからさ。正直、芸能人レベルだと思うほど、スタイルもいいし、顔も可愛い。その顔を見ると我慢できずすぐ興奮してしまうから困る———。


 だから、ずっとホテルのベッドでうみちゃんとくっついていた。


「一馬くん、今日もありがとう。ふふっ」

「ああ、それずっと欲しいって言ってたやつだよね? 似合うよ、うみちゃん」

「へへっ」


 俺がプレゼントしたネックレスをつけて、裸姿で喘ぐうみちゃんは本当に可愛い。

 そして、うみちゃんがあいつの彼女だったのが俺をもっと興奮させた。その優越感がやばすぎる。それに、付き合っているのを隠していたのもそうだ。自分と釣り合わないって知っていたからだろ? 奏多はずっとうみちゃんに裏切らないってそう信じていたはずだから、俺はもっともっとうみちゃんとやりまくる。


 その背徳感———。最高だった。


「うっ———♡」

「可愛いよ、うみちゃん」

「えへへっ……。一馬くん…………♡」


 うみちゃんに付き合って一年くらい経ったって言われたけど、ハグしたこともないし、キスしたこともないし、セックスはできるわけないか? 可哀想だな、奏多。

 そして、そんな彼女と一緒に過ごす予定だったクリスマスを俺が奪ってしまった。


 俺たちはほぼ半年以上この関係を維持してきたけど、奏多は何も知らない。

 その顔がとても面白かった。


 あいつの女を奪ってやりまくる。

 そして、ちょうどいいタイミングでもらった写真。それで奏多を潰す! 理由? そんなことあるわかないだろ? 面白いから! 理由はそれだけだ。クラスメイトたちに責められて、うみちゃんに捨てられて、何もできないその姿が面白いからさ! スリルを感じる。


 ああ、これだよ。心が満たされる。

 それだけが俺の生きがい! ずっとそのままでいてほしかった。奏多。


「…………」


 でも、ひなちゃんの登場とともに俺の楽しい学校生活が少し変わっていく。

 うみちゃんは相変わらず可愛いけどさ、なんっていうか……なぜか征服欲を感じない。いつもの通り……、俺たちはみんなの知らないところでこっそりセックスをしていたけど、少し足りない。俺は、うみちゃんを俺の物にしたかった。


 俺の奴隷、俺の物、俺がいないと何もできないそんな女の子。

 そうしたかったけど、うみちゃんは少し違った。

 俺の話通りにやってくれるけど、それは俺に合わせてくれるだけ。そんな感じだったから嫌だった。もっともっと……、俺を満足させてほしかった。俺のためならなんでもするそんな女の子になってほしかった。


「あっ……♡ 一馬くん、好き……」


 いつもの通りセックスをしてもさ。

 なんか、足りない。

 そして、俺は転校してきたひなちゃんに惹かれる。


 ひなちゃんはマジですごかった。

 うみちゃんより背も低いし、可愛いし、献身的な女の子だったからさ———。

 みんなに責められている奏多を庇って、雰囲気を鎮める。そして、堂々と手を繋いで自分たちの関係をみんなに証明した。そんなひなちゃんを見て、俺は興奮する。もし、ひなちゃんが俺の女だったら……? うみちゃんが満たしてくれない感情をひなちゃんが満たしてくれるなら? その好奇心はいつの間にか好きに変わる。


 また……、お前の女を奪いたくなった。奏多…………。

 てか、奏多。周りにいい女ばかりだな……。マジで羨ましいよ。

 冬子ちゃんもそうだったし、うみちゃんもそうだったし……、今度はひなちゃんかよ。


 でも、お前みたいな暗いやつと一緒にいるなんて……、釣り合わない。

 だから、俺の女にする。

 ひなちゃん……。


 ……


「一馬くん、宮内に言われたことを気にしてるの?」


 5階の空き教室、俺はうみちゃんとキスをしていた。


「あいつが何を言っても俺にはノーダメージだから」

「でも、ファミレスであったことを知っているみたいだけど、そっちは一馬くんがどうにかしてくれるよね?」

「当たり前だろ? どうせ、あんな噂は長く続けないし。クラスメイトたちも奏多より俺たちの方をもっと信頼してるからさ」


 そこで声を上げたら、俺が悪い人になってしまうから笑いながらその話を聞き流した。

 それに、俺を見ている人々の視線。それはちょっと気持ち悪いけど、どこまで知っているのか分からないから慎重に話さないといけない。


 面白いね、宮内奏多。


「うん♡」

「心配しないで、うみちゃん。主人公は俺たちだから」

「うん!」


 この体も気持ちいいけど、ずっとひなちゃんことばかり考えていた。

 そして、うみちゃんはひなちゃんのことを意識しているみたいでそれも可愛い。あれをやったのはうみちゃんだろ? 本人が直接やったとは思わないけど、多分誰かにやらせて、それを指示したのはうみちゃんだと思う。面白い。


「ねえ、そろそろチャイム鳴るけど?」

「そうだね。戻ろうか」

「うん。でも、もうちょっと———」

「うっ———♡」


 でも、どうして奏多にはあんなに従順なんだろうな……。

 それも気になるけど、奏多もひなちゃんのためならなんでもするって顔をしていたからさ。ドキドキする。早く見たい、また俺に自分の女を奪われた奏多はどんな顔をするんだろうな。


 教室を出る前、俺はまたうみちゃんとキスをした。

 欲しい、新しい刺激が欲しい…………。


「…………」


 そして、お前らは仲良くそこでくっついていた。

 そういえば、幼馴染って言ってたよな。二人とも。


 なんか、面白くなってきた!

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