第5話 弁当
学園生活の中で、最も忌むべきは弁当の時間である。
「やった〜!お弁当の時間だ〜!」
私の前の席で子どものようにはしゃいでいるのは、もちろん御手洗ミツキである。
「ねえ、ねえ、ユミナ。今日のお弁当、何持ってきた?」
「平常通りだ」
私は食事を憎んでいる。
元大魔王であるこの私は、すでに食物からエネルギーを摂取するという低次元な段階など、とうの昔に卒業しているのだ。
ただ本来であれば太陽エネルギーさえあれば十分なのだが、一応まだ人間の肉体を維持せねばならないということで、一日一食フルーツだけは食す。
それはミツキも同じはずなのだが。
「ねえ、ねえ、見て見て。今日のミツキのお弁当、クマさんだよ」
「またキャラ弁か。幼稚な発想だな」
そこに割り込んできた別のクラスメイトがいる。
中森ウララである。
「ミツキの弁当かわいいな〜」
「キャラ弁、いいでしょ〜」
「でもウチの方がかわいいんよ」
「ウララのは何?」
「ホヤ弁や」
「ホヤ弁?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます