第4話 後悔

「お主は使命を忘れたのか?」

私とミツキは共に手を取り合い、地球の平和を実現するために生まれてきた。


「わかってるよ〜ん」

「それは絶対違う」

「かわいい、かわいい、かわいい、かわいい」

「手鏡を見るでない」

「ねえ、ユミナ。私、アイドルになろうと思うんだ」

「脱線するべからず」

「してないよ〜。だってアイドルになれば、みんなの注目の的でしょ?私たちの使命も果たしやすくなるってもんじゃない。ユミナも一緒になろうよお」

「断る」

「どうしよう、一秒前よりかわいくなってる」

「手鏡から目を外せ」


頭が痛い。

このナルシストと一緒に使命を果たしていかねばならぬとは。

限りなく先行き不安である。


「はっ!」

「どうした?」

「私、気づいちゃった!」

「ようやくお主も覚醒したか?」

「鏡の中の左右反転の私もかわいいわ」

「ヤメレ」

「ねえユミナ、二人でかわいいの国を作ろう」


私は後悔している。大魔王時代にこの馬鹿を滅ぼしておかなかったことを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る