第55話

「ねぇね?」


うん?


「明日、私、仕事なんだよねぇ、、、」


頭では分かっているんだけど

やっぱり言われてしまうと心が痛んでしまう

なんて言葉をかければ良いのか?

どう言う表情で居れば良いのか?


「苦しいよね?、、、明日は、撮影じゃないから打ち合わせみたいな感じだから、、、遅くならないと思うよ」


打ち合わせ?


「来月の作品の内容とかイベントの日程とか決めるだけだよ、、、」


うん、、、わかった、、、大丈夫だよ


何を根拠に大丈夫と言ったのか分からないけど大丈夫と言う言葉はとても便利なものだ


「君の大丈夫は大丈夫じゃ無いんだよなぁ、、、ほらっ!」


彼女が座りながら両手を広げている


「早くこっちにおいでぇっ!」


僕は言う通りに彼女の胸に抱きついた。


まだ、、、なれないみたい、、、


「うん、、、良いよ、、、なれないで、、、慣れたら、、、私への愛が薄くなったって事でしょ?、、、君には辛い思いさせるけど、、、私は、その度に君の愛を感じれるから、、、」


慣れなくていいの?

毎回、こんなんなっちゃうよ

疲れちゃわない?


「いいよぉ、、、私は、君の全てを受け止めるよ、、、」


なんで、、、そんなに強いの?

僕はこんなにも弱いのに


「強く無いよ、、、私だって弱い、、、私からみたら君だって弱く無い、、、強がらなくて良いんだよ、、、君はその優しさを持っていて、、、人が弱っている時に寄り添えたり、、、相手の事を思って優しくなれたり、、、苦しい時にちゃんと苦しいって言えるって素直で、、、ちゃんと、、、相手をみて優しく出来る事が強いって事じゃない?」


優しいですか、ぼく?


「何も言わない、見て見ぬふりをする、何かで釣る、甘い言葉を発する、、、それは、、、本当の優しさじゃないよね、、、それは、、、自己満足と自己防衛じゃない?、、、嫌われない様にしている行動で本当の優しさを知っている人なら何も魅力的じゃないよ、、、私は君と出会ってその優しさを知る事が出来た、、、幸せ者だよ、、、私は、、、ありがと」


そんな、人間じゃないですよ僕は、、、


彼女は力強く僕を抱きしめた。


「君は君の魅力に気づいて無さすぎだよぉ、、、もう少し自分を信じて優しくしてあげなさい、、、私からの宿題です、、、どちらかが死ぬ時に答え合わせしようねっ!」


何十年後に答え合わせ

僕は彼女が望む答えをだせるのだろうか











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