最終話 「納豆星団」の slave heroine



 「…「納豆星団」と呼ばれる、M710惑星、このソーラーシステム、あるいは疑似惑星の集合体、は極めて希少な偶然の符合が集積されて生じた一種の”奇跡”で、全宇宙の座標上にも類似の現象が生じうるとは考えにくい。

 ジュール・ベルヌは「想像しうるものは存在する」と言ったが、想像力も、人類のそれはわれわれの所与の条件からしか機能しないし、人類の条件を凌駕しうる全く異質な次元の存在というのも、不可能な空想ではない…その一つの可能性のアリバイが、この「納豆惑星」が、現実に存在することだ。

 理解の及ばない要素が、99%を超えているこの「天体」において、識別しうるのは、複数の、個性を有する雑多な「意識」?が、内部に混在しているらしいことで、その実態も詳細も不明である。 

 「意識」…しかし、確かに理性やら知性、そう呼びうるパターンはあっても、どういうゲシュタルトであるかを科学的に説明、定義するのは困難で、私はこれを「不可知なだけのサルトル的実存」と、名付けた。

 「サルトル的実存」は、蝟集していても、人類の価値観からは全くの異質、異次元の存在形態だ。どうにか把握とかコンタクトしうる知識要素は、同調能力が高くて、なおかつ調和という方向にやみくもにベクトルを歪曲しようという不可思議な意図傾向が存して、そうしてほかの知性や理性に対する違和感を軽蔑に牽強付会しようとする単純な発想しかないようなナンセンスなもので…」


 「なんだと!😡」


 そこまで、ハコが報告をまとめていたところで、恐ろしく邪悪なニュアンスの鋭い叫びが耳に達した。


 「えっつ!!なにっつ?!」


 単なる「納豆の塊」と侮っていたぐにゃぐにゃの「色魔」?は、怒りのためか燃えるような真紅の、火焔地獄のような不気味な形態に変化していた。

 

 「お高くとまった嫌な女!性奴隷に堕としてやる!フヒヒヒヒ!」


 次の刹那、呆然としているハコの意識に、たちまち、納豆星団の集合的な「超意識」が奔流のようになだれこんで、ハコを心身ともに雁字搦めにした。

 

 … …

 

 「Ah💓 ああ💓  イヤン…」


 宇宙服を剥かれた、全裸の肉体に、想像上の黒い麻縄が食い込み、四肢を引き裂きつつ、引き締めていた。sensitive なハコのえちえちな弱点が悪魔にすぐすべて見抜かれ、的確に刺激されていた。責められていた。

 阿鼻叫喚の、地獄のような快感が、絶え間なく訪れて、嵐の船のごとくにハコは全身を揉みぬかれていた。


「ああん…!!イっちゃうん💓…」何百回目かの絶頂に襲われて、ハコは悶えた。もう脳味噌は痴呆のように、トロトロにとろけていて、意識混濁状態だった。


 精神だけが拉致軟禁の憂き目になっているハコの快楽地獄、羞恥地獄は、果てしなく続くのだった…多分、未来永劫。


<了>





 

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納豆の日 夢美瑠瑠 @joeyasushi

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