描写課題「深夜の公園、ベンチ、発行体」
万事めぐる
第1話
考えを纏めようとあてもなく 夜の街を彷徨っていた私は、ちょうど目についた公園で休むことにした。程よい暗がりの中にあったベンチに1人腰掛け目をつむり、五感の全てを自分の内に向け、真っ暗な思考の海に身を委ねる。
より深く、より曖昧に。私という船の中で私の存在は縮小し、現実の風音や草木の匂いは船を叩くさざ波となり、遠洋への呼び水となる。そうしていざ見つけた断片を手にしようとした刹那、瞼を焼く強烈な閃光によって海は赤く染まる。それを切っ掛けに私の意思は強制的に体に押し込められた。
何事かと目を開けると、いつの間にか街灯と思うには無理がある、まるでウミホタルのような光たちが頭上にあった。
しかもそれは一切の前触れもなく、今も一切の音を立てずに、深海に沈むマリンスノーのように目の前に降っている。
呆気にとられたまま目で追っていた私だったが、その光の一つがちょうど私の面前で静止した。そしてまた前触れなく発せられた閃光は今度こそ私の眼球に突き刺さり、私の意識は望まざる闇穴に放り込まれてしまった。
描写課題「深夜の公園、ベンチ、発行体」 万事めぐる @bari3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます