第6話私が天に立つ
「ん……あ?」
チュンチュンと朝野定番の鳥の囀りと暖かな日差しが俺の目に当たる。
あれ……俺……確か……。
俺は体をゆっくりと起こすと、ゆっくりと記憶を辿る。
ステップ1少女と出会う。
ステップ2少女が家に入る。
ステップ3俺の資料を見られる。
ステップ4抱きしめ……。
はッ!と思い出し、直ぐに少女が居ないか確認する。
だが、どれだけ見渡しても少女の姿はなく、代わりに部屋が変だった。
多分今ここがちょっと前に話題になった8番〇〇の異変だったら、俺はすぐに元きた道を戻るだろう。
だが、ここは駅のホームでも無ければ、電車の中でも無い。
俺の自室なのだ。
こんなに言っておいて何が変か?
まぁそうだよねぇーこれ漫画じゃないから今見てる人は俺の部屋なんて見れるわけ無いしさ〜
(おいコラメタ発言すな)
おっと……疲れてるのかな……まぁ気を取り直して。
なんと言うことでしょうか?
俺のナウシカの樹海のような部屋がまるで初日の出を見に行った無邪気の子供の景色のような綺麗さがあった。
「すっごいな……あの子がやったんかな」
スンスンと鼻を啜ると、美味しそうな匂いがし、その匂いに向かっていく。
そこには以前他の資料の山となっていた机が綺麗になっており、そこにご飯に味噌汁、次に日本文化の定番シャケ……最高だなぁ。
食べ物の横にはメモがある。
メモには「失礼ながらお部屋を掃除させて頂きました。学校がありますので先出ていきます要件を伝えられなかったのでまた伺います」……と。
要件?……なんだろうか。
まぁそれは後で考えるとして、俺は少女が作ったであろう朝食を食べ終える。
「ふぅ……食った食ったァ」
流石の美味さ……ヤバイぜ。
女子高生の手料理は最高だぜ……あれこのセリフヤバイのでは?
食べ終わった食器を片付けながらふとそう感じる。
荒い終わると、執筆の為、ノートパソコンが置いてあるテーブルの方に行く。
「……」
パソコンを起動すると、キーボードに手を置く。
もう画面が文字を打ち込まれるのを待機していた。
「はぁ……はぁ……」
指を動かそうとした時、また息苦しくなる。
息をゆっくり吸おうとするが中々うまく吸えず苦しくなり、無意識に自身の首に手をかける。
「狂歌さん!おっじゃまぁしまーす!」
……騒がしい奴が来やがった。
俺は我に返るとパソコンを閉じ、玄関先に行く。
そこにはテンション爆アゲのバカこと
「何の用だ疫病神」
「失敬な!私は疫病神じゃなくて〜あなたのスランプを助ける天使です」
「そうですか、ならその翼をもいでやるもう二度と飛べねぇようになぁ」
そう言い放つと同時に俺は原笑の顔面を鷲掴みにし、力を込める。
「あ、それマジでやめてください!めちゃくちゃいてぇ!!頭割れちゃう!頭割れたあとバカになっちゃうから!!」
「うっるせぇ!てめぇは元からバカだよ!」
「そんな事ないっスよ!私は完璧で究極の編集者なんすから!!」
おいおい誰がアイドル風に言えと言ったんだ?
大体自分で完璧とかいう奴は信用ならん。
自身で自信満々に言っておいて失敗したらどうする?
辛くなるだけだろ?
「ほら早く帰れそして二度と来んな、要件あるなら電話か事務所に呼べ」
「相変わらず言葉遣い荒いっすね!それだと恋人とかファンに会った時大変」
「滲み出す混濁の紋章」
「は?」
「不遜なる狂気の器」
「な、何言って……ってあれぇ?なんか段々と痛みがァ!!頭がぁ!!」
「湧き上がり否定し痺れ瞬き眠りを妨げる」
俺は込める力をゆっくりと上乗せしていく。
心做しか、めちゃくちゃ今楽しい。
「跛行する鉄の王女絶えず自壊する泥の人形」
「は!詠唱の終わりってことは!先生!ー待って待って!!要件なら」
「結合せよ反発せよ地に満ち己の無力を知れ」
「ちょま!」
「黒〇〇!!」
その掛け声と共に全力で力を込めると、俺の部屋中に骨が砕ける音が聞こえてくる
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