大文字伝子が行く293

クライングフリーマン

『きりこを救え!』

 ====== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダー(平和への案内人)または行動隊長と呼ばれている。。

 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのエーアイ(アナザー・インテリジェンス)と呼ばれている。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。現在、産休中だが・・・。


 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。通称『片づけ隊』班長をしている。

 斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。

 久保田嘉三管理官・・・EITO前司令官。警察とEITOのパイプ役もするが、『交渉人』が必要な場合は、柴田管理官と交替で交渉人も行う。

 久保田誠警部補・・・警視庁警部補。あつこの夫。通称『片づけ隊』を手伝うこともある。

 橋爪警部補・・・愛宕の相棒。丸髷書生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』

 を手伝うこともある。

 西部警部補・・・高速エリア署生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』

 を手伝うこともある。早乙女愛と結婚した。

 草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。

 渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。

 河野事務官・・・警視庁から出向の事務官。警察、自衛隊、都庁などの連絡も受け持つ。


 増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。

 馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。

 高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。

 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。

 江南(えなみ)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。

 工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。

 西部(早乙女)愛・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向だったが退職。EITO準隊員。

 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。

 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。

 下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。

 飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。

 財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。

 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。

 七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。

 大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。

 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。

 青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。

 馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

 井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。

 筒井隆昭警部・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

 新里あやめ警視・・・警視庁テロ対策室勤務。あつこの後任として、村越警視正の補佐を行っている。

 原田正三警部・・・元新宿風俗担当刑事。戦闘の記録及び隠しカメラ検索を担当。

 本郷隼人・・・EITOシステム開発部課長。

 大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。

 藤井康子・・・伝子の仕切り隣の住人。モールで料理教室を開いている。EITO準隊員待遇。


 =================================================

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==


 午前9時。EITO東京本部。会議室。

「これが、ゴシップ誌お楽しみジャーナルがNew Tubeで流した映像かね。何かぼやけてるな。白藤達は後ろ姿だし。」と、理事官は言った。

「原田。本郷君から渡された妨害装置は、どこに置いた?」と、伝子は原田に尋ねた。

「本堂の中です。その映像は、妨害装置により、映像にスクランブルをかけてあります。それと、敵のカメラは、賽銭箱の中にありました。詰まり、同じアングルの撮影をした筈です。」

「元々は、送信妨害装置のアップグレードにする予定でしたが、妨害装置の『いたちごっこ』になるよりは、隙を見せようという大文字さんの案を採用しました。」と、マルチディスプレイの向こうの本郷が言った。

「水天宮戦から、宇佐美長官の件を類推したのは、『送信させた』からです。画像の周波数の妨害の装置にさせたから。でも、結果、みちる達は後ろ姿だから、素顔は公表されずに済みました。大阪支部のヘレンの事件は再発防止しないといけません。で、お楽しみジャーナルは、EITOの素顔に迫ったみたいに言ってますが、明らかにダークレインボーからのリークでしょう。」

 大阪支部のヘレン隊員は、週刊誌にユニフォームを脱いで顔を拭いている所を『激写』、スクープされた。そのため、道を歩けなくなった。今は、大阪支部の通信士をしている。

「本郷君。送信された映像データを復元する可能性は?」夏目警視正が尋ねると、本郷は「ないとは言えません。だが、『別動隊』のコスチュームだけですね。」と、笑って応えた。

「このデータをネタに警視庁やEITOに確認と称して取材しても『ノーコメント』で通す。何せ『参拝客の反乱』だからな。」そう言ったのは、マルチディスプレイの久保田管理官だった。

「管理官。日焼けですか?映像のディスプレイの調子が悪いのかな?」と、なぎさは言った。

「君も、そんな冗談を言うようになったんだ。接待ゴルフさ。優勝NGの・・・待て。敵の挑戦状だ。Redを開け!」

「あっ!!」捻挫で病院に行っている草薙の替わりにPCを操作した渡が、司令室からマルチディスプレイの画面を出した。

[きりこを救え!明日だ!!]

「どういうことだ!」と理事官は叫んだ。

「お見合いパーティーじゃないな。邪魔者を妨害しろ、という『ドリフト・アイス』様からの『指令』だな。」と、伝子は呟いた。

「ああ。文面の様子が違う。大文字。ピスミラだ。ダークレインボーは、俺達を雑巾か何かと思っているのか。しかし、『きりこ』だけでは、情報が少なすぎる。」

 筒井が言った通りだ。渡が気を利かせて、検索をした。

「東京美術館で『デ・キリコ展』を開催中。中止していた『江戸切子祭り』が中央区銀座の東銀プラザ銀座で行われます。明日、明後日です。」と渡が言った。

「前に東京美術館が狙われた時は、大上が傷つけないように配慮した。今回は、そうは行かないだろう。念の為、要人にも当たっておこう。渡さん。」

「今、調べましたよ、アンバサダー。先頃発表された『内閣府本府幹部職員名簿』によると、大臣官房参事官に田中霧子さんという方がいらっしゃいます。」と草薙の声がした。

「よし。なぎさ。作戦会議だ。」

 皆は気を引き締めた。

 翌日。午前9時。参議院議員会館。

 登庁して、書類を受け取って移動中の、田中参事官を数人の賊が襲った。

 田中参事官と秘書は、柔道の技で、賊を、あっと言う間に『退治』した。

 賊の持っていた、サバイバルナイフはヤクに立たなかった。

 参事官と秘書は、実は早乙女と工藤の変装だった。

 午前10時。中央区銀座。東銀プラザ銀座。

『江戸切子祭り』が突如、『準備不足の為』という理由で、開催を午後6時に変更になったという貼り紙が貼られていた。

「残念だったな。」と、あつこ率いるチームが、暴漢達十数名の前に立ちはだかった。

 開店前に並んでいたお客には、クーポン券が渡され、本日の開店が正午になった、と店員に告げられていた。

 警備員によって、入場禁止にされていたビルに、押し込んだ賊は、状況が急に変化したことを悟った。

 彼らは、腹にダイナマイトを巻いていた。

「風邪引くわよ。」と言った馬越の合図で、結城、静音、江南、大空、仁礼は、一斉に水流ガンとフリーズガンで賊を攻撃した。

 フリーズガンとは、文字通り、飛び出すと瞬時に凍る、液体窒素を応用した液を放出する銃で、水流ガンとは、飛び出すとグミ状になる水を放出する銃である。30分も経たず、彼らのダイナマイトは爆発不能となり、腹に撒いたダイナマイトは、爆発物処理班によって、解体された。

 午前11時。東京美術館。

 エマージェンシーガールズが到着した時、既に引火、燃え広がっていた。美術品は、予め、東京都知事の御池によって、移管されていた。

 エマージェンシーガールズは、消防車の消防隊に消火を任せ、付近の避難誘導に専念した。

 薬剤を使用しているようなので、化学消防車が登場した。

 午後2時。

 遅れて到着したMAITOの消火弾がトドメを刺して鎮火した。

 MAITOとは、空自の、オスプレイによる緊急消火支援チームであり、EITOの救援にも連携してやって来る。

 名越がやって来て、なぎさに尋ねた。

「予期されていたんですか?」

「私も、それを聞きたい。」と、消防の隊長も尋ねた。

 なぎさが事情を話すと、「ふうん。敵にも意地があるんですね。」と名越は言い、「ご協力ありがとうございました。」と消防隊長が言って、去って行った。

 突然、白馬に乗った男がやって来たが、すぐに帰った。筒井達は、不審に思い、ホバーバイクで追跡した。馬の頭には『角』が付いていた。

 ホバーバイクとは、民間開発の『宙に浮くバイク』のことで、EITOが採用、改造して運搬や戦闘に使っている。

 午後4時。EITO東京本部。司令室。

 筒井から、連絡が入った。「まかれたよ。まあ、馬の方が早いよな。何者だろう?敵とは思えないが。つまり、ダークレインボーとは思えない。」

「ピスミラの犯罪は防げたんだから、いいさ。EITOガーディアンズも直帰してくれ。」と、伝子は言い、「了解。」と返事した筒井の通信は終った。

 午後6時半。伝子のマンション。

「白馬の騎士ね。角があったなら、ユニコーンの騎士か。きっと、寝坊しちゃったのよ。」と、綾子が言い、高遠は、口の中の素麺を吹き出しそうになった。

「結果オーライね。やっぱり、三輪の素麺は旨いわね。」と、藤井は舌鼓を打った。

「ダークレインボーがピスミラの始末を言って来るのは、初めてじゃないけど・・・筒井さんの言うように、EITOを雑巾かモップ替わりに使うとはね。あ、まだ兵隊が調達し終えてないんだね。」

 高遠の言葉に、「両方正解かな。とにかく一人も死傷者が出なくて済んでよかった。都知事も喜んでたよ。東京美術館の一部は焼けちゃったけどね。午後から、展示はしたそうだよ。知らなかったけど、ファンも多いんだね。」

 そして、夜中に・・・。

 ―完―


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