83話 神谷傑と対面
※数日前に流行り病にかかってしまって暫く執筆出来ない状態になっていました。ご心配をおかけして申し訳ありません。まだ完璧に治った訳ではありませんが再開していきたいと思います※
★七瀬春香(side)
次の日、私と愛ちゃんと沙羅ちは傑にきっぱり諦めて貰う為に教室内でもイチャイチャを見せつけた。
「悪琉ー!」
悪琉が登校して来た瞬間私は抱きつた。
「おはよ、春香」
「おはよー!」
「おはよう、悪琉……」
「お、おはよう悪琉さん……」
「え?あ、おはよう愛、沙羅」
私が悪琉の正面に抱き着いたら、愛ちゃんと沙羅ちは凄く恥ずかしそうに左右の腕にそれぞれ抱き着いた。
悪琉はいきなりの事過ぎて凄くびっくりしている様だった。
クラスメイト達には協力を取り付けてあるので女子達は皆ニヤニヤしているけど……
男子は深くは触れないがちょっと視線が痛いかも……主に悪琉に対するね。
とは言え一人を除いてこの状況に文句を言いたそうな人は居なかった。
そんな感じで昼休みになった。
「春香ちゃん。ちょっといい?」
「え?うん大丈夫だよ」
その日の放課後、昨日情報をくれた内の一人でクラスメイトの花ちゃんが声をかけて来た。
「神谷の事なんだけど……」
「愛と沙羅ちも呼んだ方が良さそう?」
「そうかも……」
「わかった、じゃあそうする」
そう言われて私は愛と沙羅ちにLIMEで連絡した。
◇
「ごめんね三人共時間を使わせちゃって」
「全然大丈夫だよ!寧ろありがとう!」
「今日は部活がオフだしそれに……時間を使わせてるのはこっちの方だから」
「うん、昨日もそうだけどありがとう」
私達がそう言うと花ちゃんが笑顔になった後に真剣な表情になって話し始めた。
「実はね、昨日に引き続き神谷が皆に佐野君の事を言いふらしてるの、それも昨日より酷いことを……」
「え?昨日より酷い事って?」
「またなの……」
「……」
私は勿論、愛ちゃんも沙羅ちも既に気分が最悪だった。
「内容はね……」
私達は花ちゃんからその内容を詳しく聞いた。
曰く傑は皆にニヤニヤしながら悪琉が過去に何をして来たのかを話していたらしい。
女性を無理矢理襲っただの、お金を暴力で奪い取ってるだの、万引き何て当たり前にしているとかそんな事を嬉々として話していたらしい。
しかしその情報源を聞いても教えてくれないし、確かな情報筋とか全く説得力の無い事しか言わなくて、男子生徒ですら誰一人として信じる人は居なかったらしい。
悪琉が犯罪行為をしたなんて聞いた事は無かったから流石にそれは誰の信用も得られなかったみたいだ。
そんな事より凄くムカつく。
いい加減にして欲しい。
私が心の中でひしひしとそう思っていたら、愛ちゃんが口を開いた。
「なんなのよそれ!!!」
凄く怒気の籠った声に私も沙羅ちも花ちゃんもびくって反応した。
昨日も凄かったけど今の愛ちゃん完全にブちぎれている。
「ほんとに意味分からないね」
「うん……もしかしたらクラスメイト以外にも話してるのかな?」
「確かに、それはあり得るかも……」
「あぁっ!もういいよ!じっくり追い詰めるんじゃなくて今すぐに決着付に行くわ!!!」
「「愛ちゃん?」」
「ほら!行くわよ!!!」
愛ちゃんはそう言って教室に戻って行ったので私達も一緒に付いて行った。
◇
「傑!!!いい加減にしてよ!!!」
愛ちゃんは教室に入ると同時に帰りの支度をしていた傑に向かって言い放った。
ちなみに悪琉には用事があるからって先に帰って貰っている。
「は?何の話だ?」
「何の話だ?じゃ無いわよ!!!悪琉の噂を広めようとするのをやめろって言ってんのよ!!!全部でたらめじゃない!!!」
こことぞばかりに愛ちゃんは怒鳴っている。
余りの勢いだったので今は愛ちゃんに任せて私と沙羅ちは口を挟まない方が良いと感じた。
「全部ホントの事だけど?」
「んな訳無いでしょ!!!情報源も言えない奴が何を言ってるのよ!!!」
「それ教える必要あんの?」
「大体ダサいのよあんたは!!!私達があんたの彼女にいつなったのよ!!!あんたといつ寝たのよ!!!経験もない癖にダサいのよ!!!」
「なっ!!??」
愛ちゃんは感情任せに思っている事をぶちまけていた。
愛ちゃんからそんな事を言われると思っていなかったのか傑はプルプル震えて顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
教室に残っていた15人位のクラスメイト達はこそこそ笑っていた。
「うるせーよ!!!黙れよクソどもが!!!俺を裏切って佐野の野郎に尻尾振りやがって!!!結局はイケメンが好きなんだろ?俺をずっと馬鹿にしていたんだろ?」
「は?ふざけんじゃないわよ!!!私達はあんたに何度も何度も言ったじゃない!先に変わったのはあんたなのよ!!!私達を先に裏切ったのはあんたなのよ!!!」
愛ちゃんは怒りながらも悲しそうにそう言った。
「はぁ?黙れよ!!!お前らはずっと俺の物たったじゃねーか!!!それを裏切ったのはお前らだろ!!!」
「どこまで堕ちたのよあんたは……もう手遅れみたいね」
物って……そんな事を思っていたの?流石にあり得ないよ……
この発言には愛ちゃんも沙羅ちも完全引いている。
クラスメイトも同じ反応だ。
そして傑の顔を見ると今にも愛ちゃんに襲い掛かりそうなくらい鋭い目つきで見ていた。
傑は怒り過ぎていてに周りにクラスメイトがいる事を忘れているみたいだった。
私はマズいと思って割り込む事にした。
「傑……流石に落ち着かない?」
「はぁ?黙れよお前にだけは言われたくないわ!」
「え?」
「お前はどうせ佐野以外にも股を開いて来たんだろ?中学生の頃からそうだったんだろ?」
「は、え?」
私は何を言われているのか理解出来なかった。
悪琉以外に抱かれた事なんてある訳無いのに……
「よくよく考えたらそうだよな、中学生の頃からよくイケメンの先輩やお金持ちの同級生達と楽しそうに話してたもんな」
「それはただの……」
「ただの友達だって?ふっ、まぁそう言う事にしておいてあげるよ」
傑に滅茶苦茶言われているけど不思議とそこまで焦る事も無かったしイライラもしなかった。
悪琉の悪口を言われるよりは全然マシだとも思えていた。
周りを見渡しても傑の話を信じている人はいなそうだし、何より今の私には神谷傑という男の言葉が空気みたいに軽く感じていたからだ。
「ふっざけんじゃないわよ!!!!!!」
「そうだよ!!!春香ちゃんはそんな人じゃないよ!!!10年以上一緒に居た癖に何言ってるのよ!!!」
私は冷静だったけど、愛ちゃん、更には沙羅ちまで本気で怒っていた。
沙羅ちがあんなに怒鳴っている姿は始めてみた。
「はぁ?俺はしっかりと春香と佐野がラブホに入ってるのを見てんだよ?あんなに簡単に行くような人間が初めてな訳無いだろが!!!」
「拗らせ過ぎよ!!!大体恋人だったら普通の事じゃない!!!」
「ふっ、口だけだったらいくらでも言えるよ、大体あの時付き合ってたかどうかも分からないしな」
あの時がいつの話か分からないけど、悪琉と初めて寝た日は既に付き合ったしそんな事を言われる筋合いはない。
「うっさいわね!!!」
「それにな?仮に付き合っていたとしても股を開くの速すぎなんだよ?これがビッチじゃなかったら何なんだよ?」
確かに付き合った初日だったけど、私はそんな軽い気持ちじゃ無かった。
心の底から悪琉と繋がりたいと思っていたし、今後も悪琉以外には考えられない、一生を悪琉と過ごす気持ちでいた。
「それだった私もビッチって事になるわね!!!私も悪琉と経験済みよ!!!」
「私もそうだよ!!!悪琉さんに抱かれてビッチって言われるならそれでいいけど、そう思ってるのは傑君だけだよ!!!」
二人ともヒートアップし過ぎじゃ……
クラスメイトも居るんだけど……
普段とは逆だけど今回は私が冷静にならないとだね。
そう思った矢先のことだった。
「ふ、ふはは、ふはははは、やっぱりお前らもそうだったのか……もう既に……このクソビッチどもが!!!」
そう言って私達に殴りかかろうとしてきたのだが、教室に居た男子生徒達が取り押さえてくれた。
「おい三人とも今日は取り敢えず帰った方が良い」
「ふぅー、そうね……」
「皆さん騒がせてすいませんでした」
男子生徒の声で二人は冷静さを取り戻したみたいだ。
「あのー皆、さっきの話は……」
「大丈夫だよ春香ちゃん、春香ちゃんがそんな人じゃないって事は皆分かってるから」
花ちゃんがそう言うと残っていた女子達、それに普段悪琉に嫉妬の視線を送っている男子までもがうんうんと頷いた。
「そう、ありがとう」
「ここは私達に任せて先に行っちゃってね」
「うん」
そうして私達は教室を後にした。
その際に傑が「待てよクソビッチども」とか言っていたが全くどうでも良かった。
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