76話 神谷傑 破滅の一歩
神谷傑(side)
「はぁ、イライラする!」
両親と仕方なく話してからは、顔も合わせたくない……まじでウザい。
食事も家では食べたく無いからずっと外食だったりコンビニ弁当だ……マジで余計な出費だ。
大体なんだよ!俺が悪い事をしている訳じゃ無いだろ!!
全部佐野が悪いのに何で俺ばっかり責められるんだよ!
そんな時LIMEが鳴った。
スマホをみると佐藤と坂口の三人のグループLIMEだった。
『傑!お前最近どうしたんだよ!』
『そうだぞ!クラスメイトが不良と一緒に居る所を見たって……それに夏休みに入ってから連絡すらくれないし!!』
あー、遊んで無いとは思ってたけど、思えば連絡もしてなかったな……
でも今は二人と話したい気分じゃないし……夏休みが終われば元通りになる予定だし適当にすますか。
『そうだな、別に二人が気にする事じゃないし、連絡しなかったのは忙しかったからだ』
『忙しいって不良と一緒に遊んでるのにか?』
『何があったのか知らないけど、お前は一番不良が嫌いだったじゃねーか!!!』
そう言えばそんな事もあったな。
別に今も不良は嫌いだけどな。
斎藤と居るのは少し悪く無いと思っていた時もあったが、俺があいつらと居るのも夏休みまでだし。
『だから気にするなって……』
『佐野の事だって謎に滅茶苦茶嫌ってたじゃねーか』
『佐野……』
ッチ!その名前を聞くとマジで気持ち悪い……
一気に気分悪くなったわ
『何も無いって言ってるだろ?しつこいぞ?』
『はぁ!こっちは心配で言ってるんだぞ!』
『だからそれが余計なお世話だって言ってるの?考えて分かるだろ?』
『はぁぁ?』
『二人とも落ち着けって……』
落ち着いて無いのは坂口だけだろ。
『傑……夏休み前から思ってたけど……お前少し考えた方が良いぞ?』
『は?考える?』
『あぁ、どう考えたって今のお前は不幸になる未来しか見えないぞ……』
なに言ってんだよこいつは!!!
不幸にならない為にやってるんだろうが!
何も知らない癖にごちゃごちゃ言いやがって!!
『ふざけるな!何も知らない癖に!!!知った様な事言ってんじゃねーよ!!!』
『いや、だから落ち着けって……』
『はぁ?お前が意味の分からない事を調子に乗って言うからだろうが!!!』
『はぁ、駄目だな……暫く連絡しないよ……頭が冷えてからまた話そう……』
『俺も今の傑とは話したくないわ……じゃあな』
クソ!!どいつもこいつも好き勝手言いやがって。
駄目だ散歩でもして落ち着こう……
◇
「あーダメだ、全然気分が晴れない!」
散歩でもすれば少しは落ち着けると思ったのに!
あいつらまで意味分からない事言いだしやがって!!!
俺がイラついていると、大きな家の門から見覚えのある少女が笑顔で出て来た。
「っ!!!!!」
あれは間違いない!!!あの時の女の子だ!!!
やっぱり美し過ぎる……
あんな女性、今までの見た事がない……
あの女の子が欲しい……
絶対に欲しい……
よし!次に会ったらアタックしようと決めていたんだ!
せめて連絡先位は絶対に交換しよう!!
俺がわくわくして歩き出そうと思った、その時だった……
大きい男の影が見えた……
この角度からだと丁度物陰に隠れて顔が見えない……
てか……男いたのかよ……
なんなんだよ……
いや、アレが恋人とは限らない……もしかしたら兄弟とか親戚の可能性もある。
そうだ……あんなに笑顔なんだ……きっと家族かなんかだ……
俺がそう思った瞬間大きな男が動いて顔が見えた……
は?は?????
なんで……あいつが……
俺の目に映ったのは佐野の野郎だった……
なんでだよ……なんで……
なんで!いつもあいつなんだよ!!
いつもいつも邪魔しやがって!!!
なんで全部お前に奪われなきゃいけないんだよ!!!
春香も愛も沙羅も全部俺の物だったんだぞ!!!
その上あの子も奪いやがって!!!
なんであの子がよりにもよって佐野の野郎と同じ家から出て来るんだよ!!!!
なんでなんだよぉぉ!!!
俺は力が出なくなってその場に座り込んだ。
スーツ姿の男にの運転で高そうな車に乗って何処かに行く二人を俺は見る事しか出来なかった。
「くそ!くそ!くそ!くそ!くそぉぉぉーーーー!!!!」
その瞬間俺の中で何かが切れた音がした……
「佐野ぉぉぉ!!!絶対に潰してやる!!!!!!!」
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