72話 真理の家に行く(下)
少し緊張しつつも部屋に入ると、真理の両親が座って待っていた。
「悪琉君いらっしゃい」
「はい、初めまして、知ってると思いますが、佐野悪琉です。よろしくお願いします」
「あぁ、よろしく頼むよ、それより座ってくれていいぞ」
「はい、では失礼します」
そうして真理と隣り合って座り、テーブルを挟んで真理の両親が居る。
「悪琉君、先ずは来てくれてありがとう、緊張しなくていいからな」
「いえ、寧ろありがとうございます」
「それにしても本当にイケメンね、真理が好きになる訳だ」
「お母さん……別に好きになった人がたまたまカッコよかっただけですよ」
「ふーん」
「本当ですからね!!」
「はいはい、悪琉君、私はクレアって言うからクレアちゃんって呼んでね♪」
「悪琉さん、クレアさんでいいですからね」
「もー真理ちゃんたらー」
何か思ったより全然フレンドリーな方だな……
「じゃあクレアさんって呼びますね」
「ははは、それじゃあ私は正和だから呼び方は何でもいいぞ」
「それでは正和さんと呼びますね」
「それで悪琉君……真理とはどんな感じかな?真理からは聞いているが悪琉君からも聞いておきたいからな」
「そうですね、俺的には真理とは凄く仲良くなれたし、とてもいい感じだと思いますね」
「そうか、では真理の事はどう思っているのかな」
「はい、凄くしっかりとしているし、とても助けられています、それでいて可愛い一面も凄く多いので俺はもうすっかり惚れていますよ」
「ははは、そうかそれは良かった、悪琉君、これからも真理の事をよろしくな」
「はい!勿論です」
その後俺は真理と真理の両親と楽しく話した。
最初は緊張していたが、クレアさんが場を凄く和ませてくれていたし、正和さんも優しかったので直ぐに緊張は解けた。
「悪琉君、是非夕食を食べて行かないか?」
「そうですね、是非お願いします」
「それじゃあ、夕食までまだ時間があるから、この後は若い者同士で楽しんでくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
そして俺は真理と部屋を後にした。
「緊張しましたか?悪琉さん」
「そうだな、緊張したよ……でも直ぐに慣れたから良かったよ」
「そうですね……お母さんはあんな性格ですが、そのおかげで空気も和んでましたしね」
「思った以上にフレンドリーな人でびっくりしたよ」
「そうなんですよね、お母さんの良い所だと思います」
「あぁ、俺も素敵な人だと思ったな、クレアさんも正和さんも」
「そうですか、ありがとうございます」
真理はそう言って微笑んだ。
「所で悪琉さん……今日は泊まっていきませんか」
「え?それって……」
「そうです……悪琉さんが思って居る意味で会っています」
その少し震えている声からは緊張しているのが伝わった。
「いやいや、流石にマズいよ……ご両親もいるし幸ちゃんもいるんだから」
「親は大丈夫です……婚約者だったら問題無いって前に言ってましたし……」
「もうそんな話までしてたのか?」
「はい……私は思った事は後回しにせずにその時に解決したいタイプなので……お父さんは最初は渋っていましたけど、お母さんが私の味方になってくれたので」
「えっと、てことは正和さんも許可したって事か?」
「はい、元々お父さんは私の事を兄弟姉妹の中でも特に信用してくれてますし、そこにお母さんの説得があったので割と直ぐに許可してくれましたよ」
「そうなのか……」
「まぁ、それ以前にお父さんとお母さんは夜に仕事関連で家を出て行くので居ないんですけどね」
お嬢様だからそう言った事は結婚してからだと思っていたが……
意外とそんな感じでもないんだな……
ていうか、ご両親は夜いないのかよ……
「ご両親の事は分かったよ……でも幸ちゃんは……」
「その事なら、幸が寝た後だったら大丈夫ですよ……部屋も離れているし……何より防音がしっかりとしてますしね」
話を聞く限りだと問題はないのだろうけど……
しかし家が広いとは言え、相手の家族がいるのにするのは少し抵抗があるな……
でも、折角の機会だし……
「えっと、一応聞くけど……避妊道具は……」
「今日の為に用意してますよ♪」
てことは元々今日は泊まらせるつもりだったのか……
ここまでしてもらって断るのは駄目だな……
「分かった、でも絶対に幸ちゃんが寝たのを確認してからな」
「はい♪勿論ですよ、お父さんとお母さんには私から全部話しておくので悪琉さんは何も気にしないでいいですからね♪」
真理は笑顔でそう言った。
それにしても真理は3人と違って意外とガツガツ来るタイプだったんだな……
流石に少し照れはあるようだけどな……
「分かった……」
「それでは、今から話してくるので、先に幸の所に行っててくださいね」
「あぁ、よろしくな」
そう言って俺は真理と別れて幸ちゃんの部屋に向かった。
◇
★神宮寺真理(side)
私は悪琉さんと別れた後大きく息を吐いた。
「危なかった……」
私はいかにも余裕そうな感じを出していたが、前世も含めてまだ処女だ……
流石に緊張している。
表情に出さない様にするのに精一杯だった。
まぁ、別に隠す必要も無いんだけどね……恥ずかしいですから……
春香ちゃんと沙羅ちゃんと愛ちゃんの後に誘うと決めていたので、今日が良いタイミングだ。
悪琉さんの事だから、私は結婚の後じゃ無いと親が許可してくれないと思って居ると思っていたら、案の定そうだった。
幸は一回寝たら絶対に起きないし、両親は私の事を凄く信頼してくれている。
それにお母さんはそう言った事に寛容だから、婚約者だったら全く問題無いって前に言ってくれた。
だから今日泊まると言っても全然許可してくれるだろう。
お父さんとお母さんに今日すると言うのは流石に恥ずかしいけど……
ていうかさっきは思い切って言ってみたけど……そう思ったら凄く恥ずかしく思えて来た……
でも今更今度にしようとも言いずらいし……
「だめだ!折角勇気を出したんだから頑張ろう」
私はそう思って両親の下に足を進めた。
◇
「悪琉さん、幸、遊んでますか?」
俺と幸が遊んでいると真理が来た。
少し顔が赤いな……
「うん!お兄ちゃんとゲームしてるんだよ!」
「そうなんだ、良かったね幸」
「お姉ちゃんもやろう!」
「ふふふ、そうだね、一緒にやろうか」
ゲームをしている途中真理が幸に言った。
「そういえば幸?」
「どうしたのお姉ちゃん」
「今日は悪琉さんが夜ご飯を一緒に食べて、家の泊まって行くからね」
真理がそう言うと幸ちゃんが目を輝かせて言った。
「ほんと!やったー!ならいっぱい遊べるねお兄ちゃん!」
この子は初対面なのに何故ここまで懐いてくれているのだろうか……
「幸ちゃんは?お兄ちゃんと初対面だけど、怖くなかったの?」
「え?何で怖いの?」
「いや、だってお兄ちゃんは体が大きいし……」
俺がそう言うと幸ちゃんが首を横に振って話し出した。
「お姉ちゃんがすっごく楽しそうにお兄ちゃんの事を話していたから、私は全然怖く無かったよ……一緒にいて楽しいし」
そう言われ俺が真理の方を見ると、何も言わずにニコってして来た。
「そっか、なら今日はいっぱい遊ぼうか、真理も一緒にな」
「うん!!!」
「ふふふ、そうですね」
その後一緒にゲームをしてから皆で夜ご飯を食べた。
クレアさんはずっとニコニコしていて、浩二さんは少し不満そうな顔をしていたが、終始優しかった。
◇
俺と真理は真理のご両親が家を出た後、風呂を済ませて部屋で話していた。
「それにしても真理はこういう時でも緊張しないんだな」
「実は緊張してますが、表に出さないだけですよ」
「ん?どうしてだ?」
「いえ、特に深い理由はありませんけど、昔からそう生きてきから自然とそうなったんです」
「そっか……真理も緊張してるのか……」
「当たり前ですよ……」
もしかしたら楽しみにしているのは俺だけなんじゃないかと思って居たから、それを聞いて安心した。
「そう言えば幸ちゃんはもう寝たのかな?」
「どうでしょうか……さっきまではしゃいでいたので疲れて寝る頃だと思いますが……ちょっと様子を見てきますね」
真理がそう言って立ち上がろうとした時だった。
(がちゃ)
ドアが開いた。
「お姉ちゃん……お兄ちゃん……一緒に寝よ」
幸ちゃんが眠そうに目を擦りながらそう言って来た。
どう返事をすれば良いか分からなかったので、俺は真理の方を見て返事を任せた。
真理は仕方ないか……という風な表情になって口を開いた。
「そっか、さっきまで一緒に遊んでたから、一人じゃ寂しいだね」
真理は幸ちゃんに笑顔でそう言った。
「うん……」
「それじゃあ、今日は3人で寝よっか」
「ありがとう……お姉ちゃん……」
幸ちゃんは眠そうな声でそう言った。
「それじゃあ、幸……枕だけ部屋から持って来れるかな」
「うん、もってくる……」
そう言って部屋から出て行った。
「枕位俺が持って来るのに……」
「ちょっとだけ悪琉さんと話したかったので……」
「そうか……」
「はい……今日は無理そうなので後日悪琉さんの家にお泊まりしても良いですか?」
「それは勿論いいぞ」
「ふふふ、それでは近いうちにお邪魔しますね」
「いつでも来てくれていいぞ」
「ありがとうございます……楽しみにしておきますね」
「あぁ、俺もだ」
俺がそう言うと真理は嬉しそうにそうに微笑んだ。
その後幸ちゃんが来て。
俺、幸ちゃん、真理の並びで並んで眠った。
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