71話 真理の家に行く(上)
皆で海に行った二日後、俺は真理の家に向かっていた。
今頃春香達は神谷の両親を話している頃だろうか……
少し心配だが、香織さんも居るから大丈夫か……
とりあえずその事は春香達に任せて俺は真理の両親と話す事だけに今は集中しよう。
そうして俺はLIMEで送られてきた住所を頼りに真理の家に着いた。
「大きいな……庭も凄い広いし……池や噴水まであるよ……」
ていうか良く考えたらこれから会う真理のご両親って俺の親でも頭が上がらないと言うか、恩人であり尊敬している人なんだよな……
そう思うと少し、いや結構緊張してきた。
「よし!チャイムをならそう!」
俺は改めて気合を入れてチャイムに手をかけた。
(ピーンポーン)
チャイムを押したら直ぐに扉が開いた。
「お兄ちゃんは誰ですか?」
そう言って顔を覗かせて来たのは、真理に凄く似ている小学生位の小さな女の子だった。
「えっと、お兄ちゃんはね、真理さんの恋人だよ、今日は真理さんのお父さんとお母さんに挨拶に来たんだよ」
俺がそう言うと不思議そうな顔をしていたのがぱあーと明るくなった。
「あ!知ってるよ!婚約者って言うんだよね!こっちだよお兄ちゃん」
そう言って女の子は俺の手を引っ張って歩いた。
「こっちだよお兄ちゃん」
「えっと、名前を聞いても大丈夫かな?」
「あ!そうだったね!私の名前は幸(さち)って言うんだよ!」
「幸ちゃんって言うんだね、幸ちゃんは今どこに向かっているのかな?」
「えっとね、幸のお部屋だよ!お姉ちゃんがね、今日婚約者が来るって言ってたから、幸が遊びたいって言ったら良いよって昨日言ってくれたんだ!」
やっぱりこの子は真理の妹ちゃんか。
それよりこのまま付いて行っても良いのだろうか……
ご両親にも挨拶していないしな……
いや、でもこんなにキラキラした目で見られて断る何てとても出来そうにないし……
「ここだよ!お兄ちゃん!」
そんな事を考えている間に幸ちゃんの部屋に着いたみたいだ。
「入って良いよ!!」
「それじゃ、少しだけお邪魔するね、幸ちゃん」
「うん!」
俺は幸ちゃんの部屋に入ったら直ぐに座って、真理に今の状況をLIMEでメッセージだけ送っておいた。
「それで幸ちゃんは今何歳なのかな?」
「幸はね10歳の4年生だよ」
「そうなんだね、学校は楽しい?」
「うん!友達もいっぱいいて楽しいよ!」
幸ちゃんは両手を広げながら跳ねてそう言った。
「そっか、良かったね、幸ちゃんは好きな事とかあるのかな?」
「えっとね、幸はね、お勉強が好きだよ!お勉強をするとね、お姉ちゃんとかお母さんが凄く褒めてくれるんだ」
「へー、お勉強が好きだなんて幸ちゃんは偉いんだね」
「ありがとうお兄ちゃん!後ね、今はアニメが好きだよ!皆みてるんだ!」
「そっか、何のアニメなのかな?」
「ちょっと待っててね」
そう言って幸ちゃんは何かを取って来て俺に見せて来た。
「これだよ!!」
あー、確か今小学生の間で話題のアニメだったよな……
見た事は無いからどんなアニメかは分からないけど……
「これって今小学生で流行ってるアニメだよね」
「うんそうだよ!幸はね、この子が好きなんだ!」
そう言って幸ちゃんが指を指したのは、キツネか猫か分からないけど可愛らしい動物だった。
「へー凄く可愛いね、この子は何て言う名前なの?」
「この子はね、パナちゃんっていってね、主人公の女の子のパートナーだよ!」
「そうなんだね!パナちゃんって言うんだね」
「うん!お兄ちゃんはお姉ちゃんの事が大好きなんだよね?」
幸ちゃんは笑顔でそう尋ねて来た。
「そうだよ!とっても大好きなんだよ」
「それじゃあ幸と一緒だね」
そう言って幸ちゃんは微笑んだ。
「幸ちゃんもお姉ちゃんの事大好きなんだね」
「うん!とっても大好きなんだよ!」
「そっか、お姉ちゃんのどんな所が好きなの?」
「えっとね、幸に優しくて、何でも出来てかっこいいし、クラスの皆もお姉ちゃんに憧れてるんだ!それでね幸はお姉ちゃんみたいな大人になるんだ」
うん、幸ちゃん可愛すぎるな……
こんな妹がいたら真理も可愛がるわけだ……
俺も幸ちゃんが妹だったら凄く可愛がってると思うしな……
「お兄ちゃんはお姉ちゃんのどこが好きなの?」
「んーそうだな、とてもしっかりしていて頼りになるし、幸ちゃんが言ったようにとてもかっこいいんだけど、笑顔や仕草が凄く可愛いんだよね」
「お姉ちゃんもね、お兄ちゃんの事凄く大好きなんだよ!ずっと優しくてかっこいいって言ってるんだよ!」
真理がそんな事を言っているのか……
意外だけどめっちゃ嬉しいな。
「お兄ちゃんがお姉ちゃんの好きな所はもっといっぱいあるんだよ、例えばな……」
(ガチャ)
俺が続きを話そうとしたら扉が開いて真理の姿が見えた。
真理はどことなく照れたような顔をしていた。
「あ!お姉ちゃん!どうしたの」
「えっとね幸?ちょっとお父さん達と話さないといけないからね、お兄ちゃんの事借りて良いかな?」
「えーー、まだ少ししかお話出来て無いのに……」
幸ちゃんは真理の話をきいてしょぼんとなった。
「お父さん達とお話が終わったらまた遊べるからね」
「分かったよ……」
「それじゃあ、行きましょうか悪琉さん……幸も少しだけ待っててね」
「そうだな……また後でね幸ちゃん」
「バイバイ、またね!お姉ちゃん!お兄ちゃん!」
そうして俺と真理は廊下を歩いていた。
「ごめんなさい、悪琉さん、まさか幸に捕まってるとは……」
「ははは、大丈夫だぞ、幸ちゃんと話せて俺も楽しかったしな」
「それなら良かったですけど……」
「真理は凄く幸ちゃんに好かれているんだな……」
「はい、それでずっと一緒にいますし凄く可愛いので遂甘やかしてしまうんですよね……」
「でも凄く良い子に育っているから良いんじゃないか?甘やかしても」
「そう言われてみればそうかもしれませんね
「それにしても、少し時間過ぎちゃってるけど、ご両親は大丈夫か?」
「それなら大丈夫ですよ、幸に捕まったって言ったら笑ってましたからね」
「そうか、だったら良かったよ」
時間過ぎちゃってるし怒ってたらどうしようかと思ったけど良かったな……
「それにしても大きい家だな」
「そうですね、でも大変でもありますよ」
「まぁ、確かに部屋の移動とかは少し大変そうだよな……」
「はい、掃除も雇って何とか追いつく程ですからね」
「そういえば他の家族もこの家に住んでるのか?」
「この家に住んでいるのはお母さんと私と幸とお父さんだけですね、他のお父さんの妻達とその子供は別の県に住んでいますよ、仕事の都合とかもありますしね」
どうりで他の人を見ない訳だ。
「真理の父親はずっとここに住んでいるのか?」
「お父さんの仕事の拠点はここですからね……でも定期的に会いに行ったりはしていますよ、勿論こちらに遊びに来る事もありますけど、皆なかが良いので特に問題はありませんね」
「色々大変そうだな……」
「慣れてしまえばそんな事無いってお父さんは言ってましたよ」
なんか複雑そうだけど色々あるんだな……
「それじゃこの部屋ですので、行きましょうか悪琉さん!」
「うん!行こうか」
そうして俺と真理は部屋の扉を開けた。
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