69話 真理からの報告と提案

 愛と一夜を過ごしてから2日が経過した夜に、真理から話があるとの事だったので皆で通話で話していた。


『えっと、皆さんに共有しておくべき事があるんですが大丈夫でしょうか?』

『やっぱり前に言っていて神谷の事か?』

『そうです』

『何か分かった事があったの?』

『はい……いろいろとありましたね……』

『わたしは聞きたいです』

『そうね……私は立場的にも聞くだけになると思うけど……ご両親との話し合いもあるし……一応知っておきたいわ……』

『分かりました、では順を追って説明しますね……まずは斎藤原斗についてです……』


 真理から斎藤原斗の調査結果を聞いた。


『えっと、まとめると……斎藤原斗は女性には暴力とかは振っていないし、何なら優しい……それで私達が被害を受ける可能性は凄く低い。でも男子相手だとそうでもないから悪琉はどうか分からないって事?』

『そう言う事になりますね』

『んー、だったら結構安心できるかもな……でも皆は一応警戒してくれよ?』

『勿論よ……でもそれは悪琉も同じなのよ?』

『そうだよ悪琉君?私達の心配ばかりしているけど、話を聞く感じ悪琉君が一番危ないんだよ?』

『それは分かってるけど……俺が狙われる分にはどうとでもなると思うしな……』


 俺がそう言うと皆が呆れたようにため息を付いて、香織さんが話し出した。


『悪琉君は大丈夫っていうけどね?私達からしたら悪琉君が心配なのよ?悪琉君が春香達の心配をするようにね』


 そう言われて皆がため息を付いた理由に納得がいった。

 俺が皆を心配している様に皆も俺の事を心配していたら、こんなに軽く考えている俺にたいしてため息も出るわな……


『なるほど……分かりました、俺も最大限に警戒しようと思います』

『そうね……ならいいけど』

『悪琉さんも分かってくれたみたいなので次は神谷さんに付いて話したいと思います』


 そう言って真理は神谷にナンパされたことから全てを話してくれた。


『え?傑がナンパ?しかも斎藤原斗の名前を使って?正直想像出来ないね……』

『そうだよね……私も全然想像出来ないよ……』

『そうね……ていうか傑ってどんどん不良に染まって来てるわね……』


 確かにそうだ……

 ていうか何で真理にナンパしてるんだよ……

 絶対に一番手を出したらいけない人だぞ……

 俺も当然全力で敵に回る事になるし……何より神宮寺家が敵になっちゃうぞ……

 真理の立場を知らないのだろうけど……そんの事言い訳にならないぞ……


『うん……とりあえずは現状警戒って事で今と同じようになるのかな?』

『そうですね……後一応なんですけど皆さんにGPSを付けさせて貰いたいのですが……』

『俺は大丈夫だぞ……ていうかそうした方が安心できるしな』

『私も大丈夫よ』

『私も大丈夫ー』

『同じく大丈夫です』

『えっと、それって私もかしら?』

『はい、一応何があるか分かりませんし、香織さんも安全が確保出来るまでですが可能であれば……』

『そういう事なら大丈夫よ』

『ありがとうございます……それなら次会う時に皆さんに緊急ボタンが付いてるGPS付きのキーホルダーを渡すので、常に持ち歩いてください!』

『緊急ボタン?』

『はい!ピンチの時にそれを押すと神宮寺家に伝わるので街の至る所にいる関係者が直ぐに駆けつける事が出来るようになります……もし何かの間違えで押しても別に大丈夫なのでそんなに気にしなくても大丈夫ですよ』


 流石神宮寺家だな……規模が違い過ぎる……


『凄いわね……流石神宮寺家ね……』

『ほんとにね……』

『でもありがとー真理ちゃん!おかげで安心できるよー』

『そうだな……助かるよ真理』

『ふふふ、権力はこういう時に使わないとですよね♪でも皆さんはちゃんと注意していてくださいね……何が起こるか分かりませんから』

『はーい』

『そうね……』

『うん……分かったよ』


 流石に頼もし過ぎるな……神宮寺家……


『さて♪とりあえずこの話は一回終わって次の話題です』

『まだ何かあるのか?』

『はい!次の話題は……皆で海に行きましょう♪勿論神宮寺家のプライベートビーチなのでいくら騒いでも大丈夫ですよ♪』

『行くー行きたいー』

『そうね、良いんじゃないかしら』

『うん、私も行きたい!』

『そうね、プライベートビーチだったら私も行こうかしら』

『やったー!!おかーさんも一緒だ!』

『そうですね、香織さんも行きましょう!俺も楽しみです』


 香織さんも一緒に過ごすのは久しぶりだから凄く楽しみだ。


『それじゃそれで決定って事で日時は……木曜日でも大丈夫ですか?』

『俺は大丈夫だぞ』

『私も……特には予定無いわね』

『私は何時でも大丈夫ー』

『私も大丈夫だと思うよ』

『おかーさんはどうー?』

『んーそうね、木曜日は空いているし……大丈夫だわ』

『ふふふ、それじゃあそれで決定ですね♪』


 そんな感じでプライベートビーチに行く事が決まった。


 それにしても、真理が居てくれて良かったな……

 もし真理が居なかったら俺達はプライベートビーチは勿論、神谷とか斎藤の事もあって夏休みを楽しむ事は絶対に出来なかったよな……

 本当に感謝だな……


 それでもまだまだ警戒をしていかないとな……


「あっと、そうだ、真理のご両親に挨拶に行きたいって言わないとだったんだ」


 俺はそう思い真理に連絡をした。


『真理ー』

『悪琉さんどうしたのですか?』

『そろそろ真理のご両親に挨拶に行きたいんだけど良いか?』

『そうですね、勿論大丈夫ですよ』

『都合の付く日って分かるか?』

『つけようと思えばいつでも大丈夫ですがそうですね……なら皆さんが神谷さんの家に話し合いに行く日なんてどうでしょうか』

『んーそうだなー、俺は特にする事も無いし、そうしようか』

『はい!ではそのようにお父さんとお母さんに伝えておきますね』

『あぁ、よろしく頼むな』

『はい♪お父さんもお母さんも悪琉さんと会うのを楽しみにしているから喜こぶと思いますよ♪』

『そっか、なら俺も楽しみにしておくよ』

『はい♪よろしくお願いしますね♪』

『あぁ、後改めてありがとうな……色々と動いてくれて』

『いえいえ、私だって皆さんが困っているなら助けたいんですよ……私達はもう家族みたいなものですし……』


 真理が珍しく、照れくさそうにそう言った。

 家族か……確かにそうだな……

 そう思っても全く違和感ない……

 そこまで長い時間一緒に居た訳じゃないのに、色々とあったからなのか……長く一緒にいた感覚だな……

 

 春香達と仲良くなってからまだ半年も経って無いんだけどな……


『そうだな……もう家族と言っても良い位なのかな……』

『はい……なので私も皆さんの力になれてれば嬉しいです……』

『真理は十分過ぎる位には力になってくれてるぞ?』

『ふふっ、そうですか、なら良かったです……私はそろそろ就寝の時間なので失礼しますね』

『あぁ、お休みな』

『はい♪おやすみなさい悪琉さん♪』


 プライベートビーチもあるし、真理のご両親にも挨拶が出来るし、楽しみな事が多いな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る