68話 矢野愛の気持ち
★矢野愛(side)
悪琉と一夜を過ごした次の日の夜、私は皆に報告をすると約束してたので連絡することにした……
というよりは、春香が凄く楽しみしているようで、言わざるを得ない……
悪琉以外の女子5人が入っているグループでチャットを送った。
『えっと、帰って来たわよ』
何て送ろうか迷った結果こんな文章になってしまった。
『お帰りー愛ちゃん!楽しかった?』
『えぇ、凄く楽しかったわよ……』
『良かったよ愛ちゃん!おめでとう』
『本当におめでとうございます!愛ちゃん♪』
『ふふふ、私は皆が楽しそうで嬉しいわ、おめでとう愛ちゃん』
『やったー良かったね愛ちゃん♪』
こう祝福されると凄く恥ずかしい気分になるわね……
でもそれよりも嬉しい気持ちになるな……
『ありがとう皆……』
『愛ちゃんったら凄く緊張してたもんね』
『そうですね♪凄く可愛かったですよ』
『そうね……その際は本当にありがとう……アドバイス通りにしたら上手く行ったわ……』
『だったら良かったよ!』
『本当に良かったね!』
その後もあれこれ聞かれたので私は答えれる事は答えたが、恥ずかし過ぎる事は濁して答えた。
こうして皆で話せるって凄く楽しいなって改めて思った。
凄く恥ずかしかったけど……
皆との会話が終わった後、私はベッドの上でゆっくりしながら考えていた。
今でも昨日の事は鮮明に覚えている……
やっぱり恥ずかしい……
でも凄く嬉しいし幸せに感じれる。
「春香と沙羅もこんな気持ちだったのかな……」
二人からある程度の話は聞いていたけど、恐らく同じ気持ちだったのだろう……
心の中が温かくてとてもフワフワしている。
悪琉とも更に仲良くなれた気がする……
良くドラマとかで人を好きになるって凄く幸せな事だっていっていたけど、昔の私は良く分からなかった。
でも今はハッキリと分かる。
私の初恋は悪琉だろう……
そして初恋が悪琉で良かった……
人を好きになる幸せを凄く感じられる……
悪琉は凄く優しいし凄く頼りになる……
そして私の事を良く理解してくれる。
それが凄く嬉しい。
凄く安心する。
お母さんとお父さんも本格的に認めてくれたし、本当に良かった。
流石にお母さんとお父さんに彼氏を紹介するのは凄く恥ずかしかったけどね……
悪琉の家に着いて悪琉と話していたが、私は少し不安に思っていた。
春香と沙羅はどうだったのか分からないけど、私はそう言った事の知識が全くないからだ。
私がそれを悪琉に素直に伝えた。
そうしたら悪琉君が言ってくれた。
「大体初めてなんだから上手くなくてもおかしくなんてないぞ?ていうか俺に任せてくれていいし……初めてなんだからさ……」
私は嬉しくも恥ずかしくもなって、居ても立っても居られなかったのでお風呂に行った。
私はお風呂の中でこの後の事を考えてしまった。
そうしたらかつてない程に心臓が暴れ出した。
自分の意思で納める事の出来ない位にドキドキしていた。
お風呂を上がって悪琉がいる部屋に行く時にもそのドキドキは続いていた。
顔が赤くなっているってバレるかなとは思ったけど、案の定バレバレだった。
「えっと、愛?大丈夫か?」
「な、何がかしら」
「顔真っ赤だぞ?のぼせたか?」
「そっ、そんなんじゃ無いから大丈夫よ……ほら悪琉も早くお風呂に行って」
その後にこんなやり取りがあったが本当は恥ずかしかったので、早くお風呂に行って貰いたかっただけだ。
悪琉がお風呂に行った後どうにかして心を落ち着かせたかったのだが無理だった。
そこで私は凄く恥ずかしかったけど皆に相談する事にした。
『皆……その……今悪琉がお風呂に入っていて私は部屋で待ってるんだけど……その……心臓がドキドキし過ぎて凄く大変なの……止めようとしても止まらないしどうすれば……』
『大丈夫だよ愛ちゃん!初めては皆がそうなるからさ!』
『そうだよ愛ちゃん!私だって同じ気持ちだったよ!』
『緊張するなら、早く事を初めてしまえば良いんですよ、始まってしまえば直ぐに緊張も無くなると思いますよ』
『確かに私もそうだったきがする……』
『だったら愛ちゃん!気持ちをちゃんと悪琉がお風呂から上がったら伝えちゃおうよ』
『そ、そうね……うん、分かった……そうしてみるわ……』
そうしてスマホをいじっていたら悪琉がお風呂から上がっていて後ろから声を掛けられた。
私はびっくりし過ぎて別にスマホを隠す必要も無いのに遂隠していた。
そして私は悪琉に正直に話した。
「悪琉……正直に言うと今私……いままでにないくらい心臓がバクバクしててちょっと苦しいの……落ち着かせようとしても無理なの……」
「だからさ……その……早く……は、始めましょう……」
私がそう言うと悪琉が私にキスをして押し倒した。
朝起きたらあり得ない位恥ずかしくなった。
夜の事を思い出すと、何かをして紛らわしたくなったのでとりあえずお風呂を借りる事にした。
だけどシャワーを浴びても少ししか変わらなかった。
部屋に戻ると悪琉が起きていた。
「おっ、愛おはよ」
悪琉が笑顔でそう挨拶をして来た。
「おっ、おはよう……」
私は凄く動揺していたがどうにかそう返事をした。
でも動揺しているのがバレバレで心配された。
「えっと……大丈夫か?」
「なっ、何がよ……」
「何か凄くよそよそしくなってるぞ?」
「そっ、そんな事……」
「じゃあ、顔見せてよ?」
とてもじゃ無いけど今は顔を見れる気がしなかった。
「えぇ、でも少しはっ、恥ずかしくて……」
「そっか……じゃあ」
そう言って悪琉は抱きしめてくれてこう言ってくれた。
「これで顔を見なくても大丈夫だぞ?落ち着けるまでこうしてていいか?」
私はそれを聞いて悪琉の事をぎゅっと抱きしめた。
悪琉の大きな体に抱きしめられて安心感が凄かった。
荒れていた心臓がどんどん落ち着いていくのを感じた。
次第に落ち着いたのでもう大丈夫と伝えた。
「そっか……だったら良かったよ……それより……折角風呂に入ったのに抱きしめちゃって大丈夫だったか?」
悪琉はそんな事を聞いて来てが全く気にしていなかった。
そんな悪琉を風呂に送り出した。
お風呂から上がってご飯を食べた後に私は悪琉に言われた。
もっと甘えて欲しいと……もっと頼って欲しいと……
それを聞いて凄く嬉しいと感じた半面、確かに自分に素直になり切れていなかったと思った。
確かに私から悪琉に何かを求めたり、キスをしたりしていなかった。
基本的に常に受け身だったと思う……
春香ほどは無理だとしても、沙羅みたいには出来るようになりたいと思った。
私はもっと自分に素直になると心に決めた。
その初めの一歩として私は自分から悪琉にキスをした。
やっぱり受け身と自分からするのでは全然感覚が違った。
キスをした後に恥ずかしくなって顔が赤くなった。
私は照れ隠しとして言った。
「そう言えば私から悪琉にキスした事はなったわよね……これは自分に素直になる一歩としてよ……」
悪琉はそれに対して言ってくれた。
「そう言えばそうだな、これからは愛の方からもどんどんしてくれて良いからな……ていうかそうしてくれたら俺も嬉しいよ」
嬉しい……悪琉は笑顔でそう言ってくれた。
そんな事を言われて私まで嬉しくなった。
私から悪琉にキスをしたら悪琉は嬉しく感じてくれるんだなと思いながら私は言った。
「そ、そう……分かったわ……楽しみにしててよね……」
私からしたら完全に照れ隠しでしか無かった。
私は今日から悪琉にたいしてもっと素直になって接する事が出来る気がした。
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